約10年ごとぐらいに繰り返し起こる八味地黄丸(八味丸)の流行。

高齢者を中心とした頻尿や夜間尿、腰痛、足腰の冷えなどに使われる処方です。韓国では強壮剤としても有名な処方です。

 

一度どこかの製薬会社が広告をすると、1年半ほど流行して下火になっていくということを繰り返しています。もちろんよく効いたという方もあるでしょうが、どちらかというと少数派で、ほとんどの人が頻尿や夜間尿にはあまり効かなかっという話をよくお聞きします。

 

これは理由がいくつかあって、まずこの八味地黄丸ですが、原典の金匱要略(きんきようりゃく)という漢方の古い書物に載っている処方なのですが、これが約2000年ほど前になります。2000年以上も使い続けられている処方なのですが、この書物が書かれているころの人間の平均寿命が40歳に満たないぐらいと調べてみるとなっています。つまりこの頃の高齢者というのは30代後半ぐらいの方のことで、この八味地黄丸は30代後半から還暦ぐらいの方によく効く薬剤と考えたほうが良いのではないかと思われます。実際に店頭でも虚弱な体質で痩せていて、胃腸はまあ丈夫で冷え性で疲れやすいという方におすすめすると調子が良いという方が多いです。

 

ところが還暦を過ぎたぐらいからはこの処方だけでは調子はなかなか上がってくれないことが多いです。

 

これは八味地黄丸だけでは老化した体を支えきれないということから来るのではないかと思われます。

 

現在の80以上まで生きる方が多い状況では八味地黄丸だけではなくもっと薬力のある動物性生薬(鹿茸やオットセイのペニスなど)や蟻やカマキリの卵(桑螵蛸といいます)の配合されたものなどを一緒に服用しないとなかなか症状の改善は得られないようです。

 

また八味地黄丸は、内容に2種類あってできれば附子(ぶし)の配合のある方が効果が良いです。2000年前の原典に近い作り方で製造してくれている製品はよく効きます。

 

よいち漢方 薬剤師 小林