現在では味覚というと「甘味、苦味、酸味、塩味、うま味」となっているようですが、東洋医学では「酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味」という五味のことを言います。

最近店頭で調子の悪い、特に神経性の症状や倦怠感を伴う症状の方のお話を聞いて食事のチェックをしているとおおむね「酸味、苦味」を摂取していない方が特に目立つようになっています。

最近読んだ雑誌の記事で「老衰の原因は細胞のある変化が起こす現象」というのがあります。
最近の研究では「老化した細胞から炎症性のサイトカインという免疫物質が大量に産出される。この物質が細胞外に放出されると周りの細胞に老化を促し、体の臓器や組織を形成する細胞に広範囲にわたる炎症が引き起こされる。この広範囲の炎症状態が組織や臓器の機能低下をもたらすことが引き起こされる」というのです。


年齢を重ねると顔がきつい感じで何かをこらえている顔つきになる人が多いといいますがこれは常に体のどこかに痛みがあってそれを耐えているからそんな顔つきになる人が多いという子t場にあるように、炎症として検査で検知できない程度の弱い炎症が生じてくるというのは老化や体の調子の低下には大きな影響があると推測されています。

慢性疲労症候群も少し前の研究では「理化学研究所(理研、野依良治理事長)、大阪市立大学(西澤良記理事長兼学長)、および関西福祉科学大学(八田武志学長)は、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎(CFS/ME)[1] の患者は健常者と比べて脳神経の炎症反応が広く見られることを陽電子放射断層画像法(PET)[2] で確認し、炎症の生じた脳部位と症状の強さが相関することを突き止めました。」といわれています。


漢方薬では炎症は「苦味」の薬をよく使います。

「苦寒」といって苦味は体の熱を冷ます、つまり炎症を抑える働きがあると考えて使われます。黄連、黄芩、黄柏という三黄薬をはじめ、梔子などもそうですし、センソ、熊胆、センブリ、十薬、板藍根など様々な苦い生薬を薬として使ってきた歴史があります。
特に年配の方の薬にこういった苦い薬を常薬的に使用していくと調子がよくなる方が多いのは上にあるように細胞から出てくる炎症性サイトカインを抑えてくれているのかもしれません。ですから年配の方の不調感に苦い薬飲んでいただく様な処方に漢方薬はなっていたりします。


こういうことを東洋医学では観察によって知識として蓄えてきたのでしょう。
食べ物でも年齢が上がってくると動物の胆や苦いお茶などを好むようになるのも大切な養生方になっているのでしょう。

残念ながら最近の食事では特にこの「苦味」を食したり飲んだりすることが少し前に比べて非常に減っています。

お茶は「苦いもの」に入りますがペットボトルのお茶のほとんどは苦味が弱くなってしまっているので、できればお茶をたてて飲むほうが健康にはよいのでしょう。

「良薬は口に苦し」は心身の健康と老化には欠かせない言葉のようです。