[源氏物語] 鏡餅・歯固 (第22帖・初音より) | コンデジ片手に出かけよう

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源氏物語にも出てくるお正月にはつきものの「鏡餅」。平安時代にもその風習があり「もちひかがみ(餅鏡)」もしくはたんに「鏡」といったそうです。
お正月にはお雑煮などにお餅を入れて食べますが、そのお餅は「歯固(はがため)の餅と言われて、餅などの固いものを歯を丈夫にし長寿を祝ったそうです。


一方、鏡餅は一定期間食べすに飾っておきますが、あれは年神様の力を宿らせるため。そして固くなったお餅を「鏡開き」と言って食べて、無病息災を願ったそうです。



源氏物語では、第22帖初音(はつね)の帖で、正月の様子が次のように書かれています。
「ここかしこに群れゐつつ、歯固めの祝いして、餅鏡さへ取りよせて、千歳のかげにしるき年の内の祝い事どもして、そぼれあへるに、」

 




平安時代の宮中の新年行事では、健康長寿を願って「歯固めの儀」「餅鏡(鏡餅)の儀」が行われていた様子です。健康と長寿のためには丈夫な歯が大切だと考えられていたのですね。
現代でもある「おせち料理」という形は平安時代にはありませんでしたが、「歯固めの儀」は、新年に鏡餅、猪肉、ダイコン、アユの塩漬け、ウリなどの固いものを食べることがあったそうです。




<補足情報>
お正月に食べられる和菓子で「花びら餅」というのものがあります。京都検定の公式テキストには次のように記載されています。



京都の正月を代表する伝統菓子のひとつ。丸い白餅に紅の菱餅と味噌餡を置き、甘煮にした牛蒡(ごぼう)をはさみ、半円状に折ったもの。もともと宮中の正月行事食である菱はなびらが原型。明治時代以降、茶の湯の初釜(裏千家)で使われるようになった。