[源氏物語] 垣間見【かいまみ】 (第5帖・若紫他) | コンデジ片手に出かけよう

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垣間見(かいまみ) は文字通り、垣根の間から見る事。現代だったら”覗き見る”といったかんじになります。そして源氏物語で言うと第5帖・若紫で逃げた雀を追うために若紫が軒先に出てきたところを光源氏が垣根の間から見るシーンです。
※引用写真は、土佐光吉作 源氏物語画帖の若紫の図(京都国立博物館蔵)になります。



源氏物語の原文で、このシーンは次のように書かれています。
「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる。伏籠(ふせご)のうちに籠めたりつるものを」とて、いと口惜しと思へり。
このゐたる大人、「例の、心なしの、かかるわざをして、さいなまるるこそ、いと心づきなけれ。いづ方へかまかりぬる。いとをかしう、やうやうなりつるものを。烏などもこそ見つくれ」
とて、立ちて行く。
<現代語意訳>
『(かわいがっていた)雀の子を、友達の犬君が逃がしてしまったの。(逃げないように)伏籠の中で飼っていたのに」と悔しそうに言った。
そばにいた女房(女性の使用人)が『やっと雀がかわいくなったのに、烏に見つけられたら(殺されるから)大変だ』と言って去っていきます。

 



源氏物語は長編恋愛小説と言われることが多いですが、江戸時代には子女のしつけの教科書的な役割をしていたとも言われます。
そして男性が、屋敷内の女性に会うためは通常は次の流れになります。
① 男性から懸想文(和歌など)を送る
② 送られた懸想文などを女性が気に入ったら、返事
③ ①と②を数回繰り返す
④ 女房(姫君に仕えている女性)の事前チェックがある。
⑤ 女房の事前チェックで問題なけれは、男性は姫君に会える。
ただ、男性が気になる女性を見て、それまでのルールを無視して、女性の元を訪れ関係を結んでしまうシーンが源氏物語では複数あります。第2帖・帚木(ははきぎ)で光源氏が「雨夜の品定め」とも言われる女性についての談義(ボーイズトーク)の後に、方違(かたたがえ)に訪れた中川の家で、空蝉の寝所に忍び込み関係を持ってしまうシーンがそうですね。


※写真は、宇治市源氏物語ミュージアムの展示物


源氏物語で不注意で男性にその姿を見られてしまう女性には「朧月夜」「女三宮」がいますが、あまり良くは書かれていない様子です。そして、この二人の女性は、光源氏の人生にダメージを与える出来事を起こしています。



<補足事項>
2024/1/7の「光る君へ」では、まひろが不注意で飼っていた鳥を逃がしてしまうシーンがありましたね。そして源氏物語での若紫と光源氏の出会いのシーンを連想させるとネットで話題になっていました。

◎若紫の場合:犬君が鳥が逃げるきっかけを作った
⇒人生が変わることのきっかっけとして他人がかかわっている
◎まひろの場合:自分の不注意で鳥を逃がしてしまった
⇒人生がかわるきっかけを自らが作った


今後も数々の源氏物語を連想させるシーンが「光る君へ」に出てくるでしょうけど、その扱い方にも注目ですね。