魔法使いのお爺さんになりました!?
今では治療の仕事をすでに廃業してしまっていて家族以外を治療することはないのだが、ときたま知人に依頼されることがある。
いつも申し訳なく思うのだが、治療できる体制も設備もないこともあって、その度にお断りする。
ところが先日、従姉妹から親友の一人が痛みで苦しんでいるので、どうしても対応して欲しいと云ってきた。
どうにも断りにくいこともあって、ついつい承諾してしまった。
従姉妹が連れてきたのは七十過ぎの女性であったが、右の股関節の痛みが3ヶ月以上続いているのだという。
相当に難儀な様子であって、前屈みになって歩くのも不自由そうで、痛みがあるのでどうしても跛行状態になってしまうようだ。
医療機関にも掛かっていて、専門的な検査やMRI検査をしてもらったが、これまでのところ一向に痛みが改善しないのだという。
一体どういうことであろうか?
始めに立位での姿勢を確認したあとそのまま横になってもらったが、腰部には異常はなかった。
右の股関節部に痛みがあるということであったが、下肢を他動的に動かしてみるとわずかな痛みはある程度で関節の可動域は制限されては居なかった。
股関節の機能そのものは正常なのに、右の鼠径部にだけ痛みが集中しているということなのである。
発症の原因に心当たりがあるかどうかを尋ねると、起床時に両手を一杯に伸ばして背伸びをしたとき、鼠径部辺りがいきなりビリッとしたのだという。
それ以来、その部分を中心にして徐々に痛みが酷くなっていったので市内の医療機関に掛かったと云うことであった。
肝心なその鼠径部の痛みというのは、女性の妊娠中に発生しやすい恥骨痛・恥骨離開の症状に似ていると思った。
妊娠中にみられる恥骨結合炎の痛み方の特徴といえば、やはり恥骨周辺に放散痛を感じるわけで、それも指で押しても激痛がある。
安静にしていてもズキズキ痛むし、足を曲げてズボンを履く動きでも痛みが伴うほどである。
就寝時の寝返りや起床時にも痛みを感じるわけで、立ち上がって動く瞬間にもズキッとする鋭い痛みが発生する。
鼠径部、股関節部に激痛を伴う場合が多く、次第に歩行が困難になることが少なくない。
今回の女性の場合も、症状としては恥骨離開の症状にそっくりと云うことになる。
とはいえ、目の前の女性は七十代であって、妊娠などはしていない。
男性に比較すると女性は年齢に関係なく恥骨結合自体が多少動きやすいと考えられるわけだが、今回のケースもそれに該当するのではと思った。
もっとも痛みの酷い箇所を確認すると、痛む部位は恥骨沿いに右側鼠径部に集中している。
そのため歩行時にも痛みが股関節の運動に連動して感じられるということなのだ。
前面中央の恥骨結合部そのものが痛んでいるのではなく、痛みが右側に偏在しているというのであれば、これは右側の恥骨部分に歪みがある証拠でもあるのだ。
こうした僅かな歪みがあると体の筋肉は異常な緊張が現れてきて、大きく呼吸しただけでも歪んだ箇所に痛みを感じることさえある。
そうした歪みがあるときは、その歪みを取り除くように軽く押圧を加えて調整していくシンプルな治療法がある。
今回も骨盤全体を調整したところ、幸いにも直後に患部の痛みが少しずつ軽減してきた。
確認のため立ち上がって歩いてもらうと鼠径部の痛みもなくなり、先ほどまで続いていた跛行状態がすっかりよくなったことで、女性は一瞬にして笑顔になった。
「あらっ、痛くない!魔法みたい!」と、おっしゃる。
しかも、直前まで前屈みの年寄り然としていたはずなのが、背筋も伸びてもとの姿勢に戻ったようにみえると皆が口にする。
股関節部分の痛みをかばうようにして歩いていたために、姿勢がいつの間にか不自然に前屈みになってしまっていたのだ。
どうやら、これで右の股関節をかばわなくても普通に歩ける状態になったようである。
翌日、その女性から鼠径部や股関節の痛みがなくなったという連絡を受けた。
3ヶ月間も苦しんできた痛みがわずか二,三十分で解消されたのだから、本人にしたらこの上なくハッピーであるに違いない。
人の体というのは、わずか数ミリ単位でゆがんでも違和感や激痛に襲われることがある。
それこそ、そこに発生したわずかな筋肉の緊張さえもが、敏感な神経を刺激してしまうのだから微妙な話しである。
こうした恥骨結合や股関節周辺の痛みの改善という手技治療は、短時間で効果が出るということもあって、女性からは非常に喜ばれる。
最初の出産後に恥骨周辺に同様の症状が出て苦しんでいた方が短期間に改善され、その後無事に第二子をもうけられたということで、かわいいお子さんたちの写真が送られてきたこともあった。
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