そのチームでエースの少年は、いつもドリブルで中央突破していく。
相手選手をかわして、ゴール付近までボールを運ぶ。
そして、毎試合必ずシュートを決める。
いつも観ていて、そのボールキープ力に驚かされる。
少年が体調不良を訴えて、控えにまわった。
あれ？珍しい……。
どうやら、気持ちが悪いらしい。
そこで、ホメオパシーのレメディーを一粒あげた。
すると数分後、突然マーライオンのように勢いよく嘔吐した。
タイミング悪く、ちょうど選手たちが集まって、コーチの話を聞いている最中だった。
各ポジションをマグネットで表すホワイトボードはゲロまみれ。
もちろん、他の選手にも飛び散った。
みんな慌ててトイレに向かって猛ダッシュ。
コーチや親たちも慌てふためく。
みんな慌ててしまうのも無理はない。
そんな中、わたしだけがその少年に感心していた。
なるほど、体はこういう反応をするのかと。
聞けば、少年は試合前に昼ご飯を食べ過ぎたらしい。
その分を、体は的確に排出したまで。
レメディーを摂ると、体は正直になる。
特に子どもの感度は高い。
案の定、吐いたあと、少年は元気になった。
解散後、試合に出られず、有り余ったエネルギーを抱えた少年。
帰宅後、近所の公園で、父親相手に暗くなるまでサッカーしていた。
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