こんにちは、薬剤科です
そろそろイチョウの黄色い絨毯が
見られる季節が近づいてきましたね
イチョウといえば、街路樹や茶わん蒸しの中の
ギンナンなどが思い浮かぶ身近な植物ですが、
実は同じような遺伝子をもつ
先祖は1億7000万年前のジュラ紀から存在し、
6000万年現在の形で
生き延びてきたことをご存知ですか
その長い歴史の中で、
数千年前から人によってイチョウの実の採集が
されていたと考えられていますが、
ギンナンの食用についての記録があるのは
11世紀北宋の時代からと知られています
今回は、ギンナンには栄養価があり食用として
益ではある一方で食中毒リスクもあることに
注目してどのような注意点があるかを紹介します
改めてギンナンとは…
イチョウの実のかたい殻の中にある
淡い黄色の部分がギンナンと呼ばれています
栄養素としては脂質が少なく、
炭水化物、タンパク質、カリウム、ビタミンB1、
ビタミンC、パントテン酸、βカロテンなどだけでなく、
枝豆や落花生には含まれないビオチン、
セレンやクロムなども含まれています
食べ過ぎに注意
ギンナンに含まれる 4ʼ-O-メチルピリドキシンは
ビタミン B6(ピリドキシン)と構造が似ていることから、
ビタミンB6が活性型のビタミン B6(ピリドキサールリン酸)に
なることを邪魔することで、
活性化ビタミンB6の欠乏症を引き起こします
これが体の中で不足すると、抑制性の神経伝達物質と呼ばれる
γ―アミノ酪酸(GABA)が作られなくなり、
神経系の異常な興奮(けいれん)が
起こると考えられています。
何個までなら良いのか?
何個までならという確実なデータはありませんが、
以下のような事例が知られています
ギンナンによる中毒の症状には
腹痛、嘔吐、けいれんや意識消失などがあり、
食後1~12時間で発症し、5歳未満で報告が多く、
7個程度でもけいれんが出た事例が報告されています
死亡者が摂取した個数の幅は
15~574個と報告があるなど、
食べても良い量は年齢や個人の状態でも
大きく違いがあるようです
1,2個程度であれば問題ない可能性はありますが、
小さな子どもには念のため
食べさせないほうが安心と考えられます
大人であっても以下の理由などで
ビタミンB6不足の状態になっている場合が
あるため注意する必要があります
・ビタミンB6は体内で作りだすことができない成分で
食品から摂る必要があるが、
栄養の偏りや長時間調理により
摂取量が不足している場合
・抗てんかん薬やイソニアジド(抗結核薬)などの
体内のビタミンB6を枯渇させる薬を飲んでいる場合、
消化管から吸収不良を引き起こす病気の場合
適量を摂って季節を楽しみたいですね。
もし疑わしい症状がある場合は早めに
医療機関を受診するようにしてくださいね
(薬剤科)