みなさん、こんにちは毎月院内向けに発行している「花川病院DIニュース9月号」をブログでご紹介します
今月は「ポリファーマシー」について記載しています
近年、多剤服用や多剤併用を意味する「ポリファーマシー」が注目されています複数の薬が処方されることは、様々な疾患を抱えている高齢者などにおいて少なくありませんが、ポリファーマシーとは何か?なぜ今、ポリファーマシーが注目されているのか?一緒に理解を深めていきましょう
ポリファーマシーとは、「複数」を意味する「poly」と「調剤(薬局)」を意味する「pharmacy」からなる、「害のある多剤服用」を意味する言葉です重要なのは「害のある」という部分です単純に「服用する薬の数が多い」ということではありません。必要とする以上の薬や不要な薬が処方されていることによって、有害事象のリスク増加や、誤った方法での服薬、薬が余ってしまう残薬の発生などの問題に繋がる状態を指します
何種類以上の薬を併用しているとポリファーマシーになるかという明確な定義はありませんが、高齢者では6剤以上になると薬物有害事象(薬との因果関係の有無にかかわらず、薬の使用によって生じた有害な反応)が発生しやすくなると報告されています一方、6剤以上の薬が必要な場合もあれば、3剤でも問題が起きることはあり、その中身が重要であると言われています
≪ポリファーマシーの原因≫
・罹患する疾患や訴える症状が多いと、処方薬は増える
・シニア世代の半数以上が複数の医療機関に通っている
・受診医療機関が多いと、専門ごとに処方され、処方薬が増える
・75歳以上の約4人に1人が7種類以上の薬を処方されている
(また、5種類以上の薬を処方されている75歳以上の人は、約4割)
加えて、薬だけではなく、サプリメントや健康食品などをとり入れている高齢者も少なくありません。食品との組み合わせによって、有害事象が引き起こされることもあります
ポリファーマシーが問題視されている大きな理由として、「有害だから」という点がまずあげられます。薬物有害事象には、軽いめまいやふらつきから、肝機能障害や低血糖を引き起こすもの、果ては死亡にいたるものまであります。ふらつき程度のものでも、転倒し骨折するなどして今後のQOLに大きく影響することもあります。
また、薬を多く服用することで体にさまざまな害が起こる可能性が高くなるわけですが、実は必要な薬が「飲まれない」可能性も高くなります一般的に、服用する薬の数が多いほど残薬が増えることが知られています数が多いと飲み忘れてしまう薬があるかもしれませんし、多くの薬を飲むのを面倒に感じて勝手に減らしてしまう可能性も出てきます。
しかし、飲まれなかった薬こそ、その人にとって必要だったということも考えられます。さらに、飲まれていないことを認識していない医師が、薬の効果が出ていないと判断して、新たに薬を追加する可能性もあります多数の薬を服用することで薬の相互作用が起こり、副作用を引き起こしている薬剤の特定が難しくなるという難点もあります
ポリファーマシーの問題は薬を減らせば解決するとはいえ、患者が自己判断で減らせるものではありません。患者としてできる対策について紹介します
◆「お薬手帳」での管理
複数の医療機関を受診している場合でもお薬手帳は1冊にまとめ、医師や薬剤師に現
在使っている薬が正確に伝わるように、サプリメントや市販薬を使用している場合は、
併せて伝えるようにしましょう
◆かかりつけ医師、かかりつけ薬局の活用
かかりつけ医や、かかりつけ薬局をもち、自分の病気と服用している薬をすべて把握
してもらうようにし、飲み残している薬、飲み忘れてしまう薬、介護者が飲ませにく
い薬があれば、かかりつけの医師や薬剤師に伝えて、本当に必要な薬かどうか検討し
てもらうようにしましょう。
いかがだったでしょうか?少しでも生活に役立てて頂ければ嬉しく思います。何かわからない事があれば、花川病院の薬剤師にお気軽にお尋ねくださいね。(薬局 室内)