令和5年3月4日にTKPガーデンシティPREMIUM神保町(東京千代田区)で開催された看護・リハビリテーション研究会にて、当院作業療法士(教務主任)の片桐が発表をさせて頂きました。今回は昨年から取り組んで来た竹川病院との共同研究について発表しました。「脳卒中後の座位保持困難な症例に対するReoGo®-Jを用いた体幹機能訓練効果~クロスオーバーデザインを用いた検証~」と言うテーマでした。
本研究の特徴は上肢機能訓練ロボットであるReoGo®-Jを応用して脳卒中後の座位保持困難な対象者へ介入した報告でした。研究対象者は回復期リハ入院後も座位保持困難な症例13名が対象となり、入院後平均62日間も座位保持が十分にとれない状況でした。また、FIMの運動項目が平均で24.1±9.5点、認知項目は平均で15.2±6.8点と重度者が対象になりました。認知機能はMMSEで16.5±9.2点でした。
研究デザインはクロスオーバーデザインを用いて、対象者に不利益がないよう全ての対象者がロボット訓練と通常訓練を実施しました。アウトカム評価にFACTやFRTなど、体幹機能評価スケールを用いました。
結果はロボット訓練期で統計学的に有意差が認められました。また、効果量を算出するとロボット訓練期で効果量が0.5以上を示したことから、ロボット訓練は体幹機能訓練として中等度以上の効果を与えた結果になりました。
本研究から通常の訓練にロボット訓練を上乗せすることで、短期的に体幹機能が改善する傾向にあることが分かりました。まだまだ対象者数は少なく、脳梗塞・脳出血の領域などマッチングして検証する必要がありますが、臨床上マッチングする事は研究限界であるとも考えています。今後はシングルケースデザインでの証明を検討して行きたいと思います。
3年間のコロナ対策を乗り越えて、今回は対面形式で発表する事ができました。120名程度参加者が居たと思います。久しぶりに緊張しましたが、良い経験が出来ました。そして、共同研究であった竹川病院の姫田OTにも直接お会いする事ができて良かったです。
今後の研究会に向けてはやはり研究テーマと統計分析の視点が非常に重要になってくると思います。1年かけて研究した結果が統計処理の1clickで結果が出てしまうので、有意差を見ると同時に効果量を用いて判断する手法が必要と思いました。P値が全てでないと言うことをこれからも勉強して行きたいと思います。
今後も患者さんにフィードバックできるような研究活動をみんなで取り組んで行きたいと思います。
看護研究発表会は横浜市立大学看護学科長・老年看護学教授叶谷先生が座長でした。
叶谷先生からは健育会グループ看護研究の研修やアドバイスをいただいています。
当院からは堀井看護師が「認知症高齢者の自宅退院支援アセスメントツールの作成」を発表しました。
全国20施設の経験年数5年以上の看護職員、ケアマネジャー100名にアンケートを2回実施し、デルファイ法で
90%をカットポイントとし、9分野38項目のアセスメントツールを開発しました。
会場からアセスメントツール開発へのアドバイスや地域交流が削除されたことや、
認知症高齢者の自宅退院のアセスメントツールの必要性などご意見、ご質問など活発にありました。
次年度も本研究を継続して取り組み、認知症高齢者の自宅退院アセスメントツールを完成させたいと考えます。
東京はもうすっかり春の陽気でした。
病院から参加の様子
今回はハイブリッド開催で会場参加のメンバーですが、健育会グループ病院、施設からもたくさんの参加がありました。
理事長のお話しにもありましたが、これからも、より患者に寄り添い、探求心を持ち論理的思考で研究に取り組んで参ります。
リハビリテーション部・看護部