みなさん、こんにちは
薬局より、毎月院内向けに発行している「花川病院DIニュース3月号」をブログでご紹介します。今月のトピックスは「ＡＬＳ（筋萎縮性側索硬化症）と薬」です
みなさんは、ＡＬＳという病気を知っていますか
著名人がバケツで水をかぶり、ＡＬＳの寄付を募るといった活動（アイスバケツチャレンジ）がニュースで取り上げられていた経緯もあるため、ご存知の方も多いかと思います
ＡＬＳは脳や末梢神経からの命令（物を持ち上げる、飲みこむ、etc.）を筋肉に伝える運動ニューロン（運動神経細胞）が侵される病気です。結果として、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなり、身体を動かすことができなくなります。2016年のデータによれば、国内のＡＬＳ患者数は約9500人いると報告されています
ＡＬＳ治療薬は、以下の２種類が臨床で使用されています
○リルテック錠（一般名称：リルゾール）
リルテック錠は、グルタミン酸による神経毒性を抑え、神経細胞を保護する作用を持つ薬剤です
海外で初めて認可され、1999年から日本で使用可能になりました
海外での調査データによれば、ＡＬＳ患者の生存期間や人工呼吸器装着までの期間を約3ヵ月間延長させるという結果が出ています。但し、リルテック錠は、病気の進行を抑える作用はありますが、症状を回復させる効果はありません
○ラジカット注（一般名称：ラジカット）
ラジカット注は、脳梗塞急性期の治療薬として、2001年から使用されてきたお薬です
脳虚血に伴い発生するフリーラジカルを除去し、神経細胞を保護する作用を有します。ラジカット注は、2015年にＡＬＳ治療薬として初めて承認されました。ＡＬＳで上昇するフリーラジカルを除去し、運動ニューロンを保護することで、筋力低下、筋萎縮の進行を遅らせる効果があります
但し、①発症から二年以内の軽症者 ②腎臓の機能に異常が無い ③点滴で何回かのクールに分けて投与などの条件があります。現在は、患者への負担が少ない経口剤の開発に向けて臨床試験が行われている最中です
いかがでしたでしょうか？？少しでも、ＡＬＳと薬への理解を深めて頂ければ嬉しく思います。何かわからない事があれば、花川病院の薬剤師にお気軽にお尋ねくださいね
（薬局 長谷川）
