日本語の大疑問(幻冬舎新書) | けんじいのイージー趣味三昧

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 以前紹介した「日本語の大疑問2」の1冊目がこれである。日本語教育に携わること10年以上のけんじいにとって、文法的にこれはと思うような話はなかった。おもしろかったのは文化人類学的な観点からの話だった。

 

 英語ではbrotherと言って、兄と弟の区別をしない。しかし世界的に見るとそんなものは珍しくもない。「おじさんもおばさんも父母と呼ぶ言語」が存在すると言う。さらにユビック・エスキモーの言葉では、おじさんもおばさんも父母と呼ぶばかりか、自分の父の男兄弟の子供には、自分の兄弟と同じ名称が使われると言う。ただし、お父さんの女兄弟の子供やお母さんの男兄弟の子供には、また別の名称が用いられているから単になんでも同じというわけではない。

 

 

 世界の親族名称は6つのタイプに分けられるそうだが、きっと中国語は最も煩雑に最も詳しく決められた言語だろうと想像できる。中国にいた時にその言葉を教えられたが、日本人の感覚では異様に思えるほど詳細に区別していた(上)。考えてみれば、伯父、叔父だって日本語なら「おじ」で区別はなかったのだから。本当に中国人は「食べ物と人間に関心あります人間」だろうと思う。

 

 もう一つは世界中で使われている絵文字が、実は日本発祥だという話。もともとiPhoneには絵文字はなく:や( )などを組み合わせた顔文字が使われる程度だった。1999年にNTTドコモが世界に先駆けて開発したアイモードに初めて絵文字が搭載された。その後iPhoneを販売していたソフトバンクが「日本での普及には絵文字の導入は欠かせない」と強く主張し、絵文字が世界標準になった。さらにLINEではスタンプができた。スタンプは文字化けの心配がない、意味を汲み取りやすいなどの利点があり、急速に普及した。

 

 

 元号の話も出ていて、文久、元治、慶応、明治、大正、昭和、平成、令和の順に並べると、音的には2拍+2拍と2拍+1拍が交互に現れているので、令和が来るのはある程度予想通りだったと書いてあった。「令和が万葉集からとられたように日本固有の文化を尊重すると言うのであれば、今まで全て音読みだったのを訓読みにしたらよいのではないか」という主張はその通りだと思った。やはりアベの考えは底が浅い。

 

 「うれし元年」とか、「しあわせ3年」とかだが、ここまでやればみんなバカバカしくなって元号は使わなくなるかもしれない。けんじいはもともと元号不使用論者だ。

 

 

 よく言われる「気になる若者言葉」として、「やばみ」とか「嬉しみ」など通常使っていない形容詞の名詞化が指摘されていた。しかし本来の使い方、「丸み、甘み、深み」などを拡張応用したものなので、けんじいにはそれほど抵抗感はなく批判的な気分にはならなかった。