(前回記事 の続き)
長野県を走るローカル私鉄
アルピコ交通(旧称︰松本電気鉄道)上高地線
終着駅・新島々(しんしましま)駅、10時40分到着
行き止まりの終着駅・新島々では10分少々停車の後、すぐに松本方面へ折返す。
春から秋のトップシーズンには、北アルプスの上高地や乗鞍方面への玄関口として、観光客や登山客で混雑する新島々駅
新島々駅ホームには、番線表示はない。
廃線になった島々駅方面への線路が少しだけ残る。
かつて、上高地線は、新島々駅の1.3km先、島々(しましま)駅まで延びていた。
1983年(昭和58年)、台風による土砂災害で不通となり、そのまま1985年(昭和60年)1月1日廃止となった。
ここ、終点の新島々駅は有人駅で、窓口では鉄道やバスの乗車券類を販売する。
新島々駅には、新島々バスターミナルが併設され、上高地・乗鞍・白骨温泉方面へのアルピコ交通等の路線バスや、高山・新穂高・東京方面へのアルピコ交通の特急バスが発着する。
松本市営バスも発着
アルピコ交通のバス停の表示は、旧社名の「松本電気鉄道」のまま。
現在の新島々駅舎
アルピコ交通上高地線と白骨温泉線の路線バスは冬季運休中
駅前には、アルピコ交通バスの新島々営業所があり、バスがずらりと並ぶ。春から秋のトップシーズンには、北アルプスを代表する観光地・上高地方面に向かうバスが、ここから続々と発車する。
かつての終着駅で、新島々駅から1.3km先にあった島々駅の駅舎の模型が、新島々駅の待合室内に飾られている。
現在のアルピコ交通や松本電気鉄道の前身である筑摩電気鉄道(開業時は筑摩鉄道)の復刻路線図。松本駅から浅間温泉に向かう軌道線の路線も描かれている。
新島々駅の列車時刻表
列車とバスの時刻表が並ぶ。
列車時刻表
新島々駅は一面2線の駅
新島々駅構内の「新島々駅鉄道神社」
廃線になった島々駅方面への線路
この先、1.3km先まで線路が続いていた。
現在は、この先で行き止まりになっている。
かつて松本電鉄で活躍していた「モハ10形」のリバイバルカラー編成である3000形3003号編成
このリバイバルカラー編成は、
2017年の信州ディスティネーションキャンペーン記念で、1986年まで活躍していた「モハ10形電車」をイメージしたラッピング車両。
廃車が予定されていたが、2021年(令和3年)8月の豪雨災害で上高地線が寸断され、この時から休車となり松本駅で留置。
全線復旧後、廃車にならずに、2022年(令和4年)8月に運用復帰。
しかし、2023年(令和5年)3月15日(水)朝をもって定期運用を離脱し予備車となった。
※休車中だったモハ10形リバイバルカラー車は、2023年(令和5年)11月3日(金)から本線復帰
行先表示幕
アルピコ交通上高地線 松本行き
10時53分、始発の新島々駅を発車
渡り板
昭和41年東急車輛製
妻面の窓
連結部分
連結面の幌
観光シーズン外のため、始発の新島々駅発車時点では車内は空いているが、途中駅から徐々に乗客が増えてくる。
天井のファンデリア
11時08分、新村(にいむら)駅到着。ここで途中下車。
松本駅方面へ過ぎ去っていくリバイバルカラー編成
リバイバルカラー編成は、2023年(令和5年)3月15日(水)朝をもって定期運用を離脱し予備車となり、事実上引退した。
新村駅に隣接する車両基地(新村車両所)では、東武鉄道から譲受した20010形(元・東武鉄道20000系)電車第2編成が、デビュー前の予約制撮影会を開催中だった。
モーターカー
冬季は除雪も行う。
現在の新村駅駅舎(ホーム側)
20100形
東武鉄道より、東京メトロ日比谷線乗入れ用車両だった20000系電車の中間車を譲受し、先頭車化改造等を行い、2022年(令和4年)3月に運行開始。上高地線初のVVVF車両。導入したばかりでラッピング前の第二編成。
アルピコ交通の20100形第2編成は、2023年3月18日(土)より営業運行を開始。このときは、営業開始前の事前予約制撮影会を開催中だった。
アルピコ交通上高地線は元々4編成のみの少世帯。3000形(元・京王電鉄井の頭線3000系)電車は、1999年(平成11年)7月から活躍してきたが、20100形(元・東武鉄道20000系)電車への置換えが進む。
構内で静態保存されている凸型の古典電気機関車ED30形「ED301」
この「ED301」は、信濃鉄道(現・JR東日本大糸線松本〜信濃大町間)1形電気機関車として、1927年(昭和2年)にアメリカから輸入された直流用電気機関車。
信濃鉄道の国有化に伴い、国鉄(当時は鉄道省)へ移籍し、ED22形に改番。
1956年(昭和31年)に廃車となり、一時岳南鉄道に貸出された後、西武鉄道に譲渡され「A1形A1」となった。
1960年(昭和35年)8月に松本電気鉄道(現・アルピコ交通)に譲渡され、ED30形ED301と改番。松本電鉄では、構内入換、工事、除雪用として活躍。
2005年(平成17年)9月に除籍され、ここ新村駅にて静態保存されている。
武骨な車体
新村駅の駅舎
上高地線で窓口のある数少ない駅
待合室利用時間と駅窓口営業時間
いろいろな鉄道グッズの案内
壁には、かつて筑摩電気鉄道時代の復刻路線図を掲げている。
現在の新村駅舎
特徴のあった旧駅舎はすでに解体されたが、1921年(大正10年)建造の旧駅舎には、正面上部に旧社名の筑摩電気鉄道のマークが大きく描かれていた。
現在の駅舎が2012年(平成24年)に使用開始された後も、旧駅舎は処遇が未定だったためしばらく残存していたが、結局2017年(平成29年)に解体された。
駅前にはコミュニティバスが発着する。
かつてここには日本で一番古い電車(ハニフ1)が静態保存されていた。
1904年(明治37年)に甲武鉄道で製造された電車でその後国有化により国鉄(当時は鉄道院)に移籍。1915年(大正4年)信濃鉄道に移籍、その後、1922年(大正11年)筑摩鉄道(現在のアルピコ交通)にやってきた。
1948年(昭和23年)引退。長年ここ新村車両所内の車庫で大切に保管されてきたが、国鉄電車の祖としての価値が高いことから、2007年(平成19年)埼玉県大宮にある鉄道博物館に寄贈された。
3000形なぎさTRAIN
倉庫代わりとして利用されているものと思われる古典木製貨車の車体