一般的に、投資のやり方は、ごく身近なものに先に投資するという話をしました。自分のライフワークへの投資が一番確実だから、自分のお店に投資したり、スキルを高めるために、いろんなことを学んだりする人が多い、といったことです。
幸せな小金持ちたちは、自分のライフワークをメインにしているので、常に携帯を見たり、画面を見て取引している人は、ほとんどいません。それ自体がライフワークでもない限り、もっと楽しいことがあるからです。法律、医療、建築などの専門分野のことを研究したり、料理の方法、ヒーリング技法を身につけることに、時間もお金も使いたいと考えるわけです。
では、他の投資を全くしないかというと、そんなことはありません。彼らのキャッシュフローは、プラスであることが多いので、そのキャッシュフローを使って、何かには投資しているわけです。実は一番多いのが、普通の貯金です。何かあったらすぐに使えるからです。未公開の株を友人に頼まれて引き受けることはあっても、儲かりそうだからという理由で買うことはありません。なぜなら、大きく当たる可能性は少ないし、すぐにキャッシュにすることが難しいからです。まだ資産規模が小さいうちは、預貯金や株、投資信託といった現金化しやすい資産として持っている人の方が多いでしょう。
資産レベルでいうと、2億円あたりを超えて来て、初めて、不動産や絵画などにシフトしていくのです。お医者さんが、毎年、小さなマンションを買い足していったり、海外のリゾートに投資したりするイメージでしょうか。こういう種類の資産は、1、2年でリターンを求めるような投資とは違い、現金以外の資産として持っておくという種類のものです。だから、5年、10年ほったらかしになっていることも多いのです。
ファンドマネージャーでもない限り、毎年の利回りは関係がないからです。こういう種類の投資は、のちに大きなリターンを生むことになります。時間を味方につけられる個人投資家が、機関投資家に勝てるのは、唯一この利点でしょう。現金を、10年後に資産価値が増えていそうなものに変えて行くという感覚で、資産を構築していると言えます。普通の人が考える投資とは、ちょっとイメージが違うと思います。忙しくない投資というのが、幸せ小金持ち流なのかもしれません。
本田健