昨年の新型インフルエンザ騒動では、当初、定められていたガイドラインやマニュアルを画一的に全国に適用したことが間違いであったと批判されているが、今回の九州、宮崎県の口蹄疫騒動では、ガイドラインどおり感染牛の殺処分が徹底して行われており、貴重な種牛も含めて、1万頭以上の牛が殺される予定となっている。
しかし、そもそも口蹄疫は、人にとっても、牛にとっても、それほど危険な病気ではない。人はもちろん、牛でさえも、口蹄疫で死ぬことは滅多にない。
乳牛であれば、乳の出が悪くなったり、肉牛であれば、肥育が遅れたりといった経済的な損失は少なくないが、口蹄疫が蔓延しても、牛が死ぬわけではないので、宮崎牛が全滅するというようなことは決して起こらない。
ところが、このままでは、口蹄疫ではなく、口蹄疫対策によって、宮崎牛が絶滅しかねないという本末転倒のような状況に陥っている。
100頭の牛を感染から守るために、感染した牛1頭を殺すというようなことは、許されるかもしれないが、1万頭を遥かに超えて、種牛まで含めて10万頭近い牛を殺してまで、一体、何を守るというのであろうか。
国民と国土を守るために戦争を始めて、結果とてして、数百万の国民を死なせ、国土の多くを焦土と化してしまったという国があったが、今回の口蹄疫騒動は、それに似ている。
目的と手段を見誤り、牛を守るという本来の目的を忘れて、牛を殺すという手段を完遂することに狂奔しているように思える。
そろそろ、冷静に考えるべき時期ではないだろうか。
それにしても、人間にとって、過去の過ちに学ぶということは、なかなか難しいことのようである。
----------
口蹄疫:「最大の防御」でも感染 「宮崎牛」種牛を殺処分へ 「次世代育成に10年」
【2010年5月17日 毎日新聞】
宮崎県で猛威をふるう口蹄疫(こうていえき)ウイルスが16日、高級牛ブランド「宮崎牛」の品種改良の中枢を直撃した。県家畜改良事業団(高鍋町)での感染確認。県は口蹄疫疑いの種牛49頭を殺処分する。同日夜には事業団に隣接する県立農業大学校を含む計10カ所でも新たに牛と豚の感染疑いが確認され、殺処分対象は8万5723頭に拡大した。東国原英夫知事は同日、宮崎入りした平野博文官房長官に「もう一歩踏み込んだ新たな防疫対策を講じなければ」と、国のさらなる支援の必要性を訴えた。
「事業団の根幹であり、牛舎で消毒し最大の防御をしたのに、残念でならない。要である種牛がこのような事態になり、誠に申し訳ない」。16日未明、県庁で記者会見した高島俊一・県農政水産部長は頭を下げた。
事業団は先月21日に川南町で2例目が発生した後、半径10キロの移動制限区域に入り、種牛と肥育牛の牛舎を「別農場」扱いして管理者も分けた。今回の感染確認は肥育牛だったが、家畜伝染病予防法に基づき、種牛を含む全頭に感染の疑いがあるとみなされた。県は種牛を残せるよう国と協議したが、認められなかった。
事業団は73年、種牛を集中管理する肉牛改良の拠点として発足。一般的に、農家で飼育され、市場に流通している子牛のほぼすべてが、冷凍精液を雌に人工授精して生まれる。その精液を年間約15万本供給するのが事業団。質の高い牛肉の需要増加とともに、種牛の改良も重視されてきた。
県の06年度の黒毛和種の子牛の出荷頭数は約7万頭で、約半数が県外に販売される。事業団の種牛は宮崎牛のみならず、全国での肉牛生産に欠かせない。
県内で流通する冷凍精液の約9割をまかなう「福之国」「勝平正」などエース級の種牛6頭は、県が事前に「避難」させたことで、辛うじて生かされることになった。だが、次世代の種牛開発には5~10年の期間を要する。県内の肥育業者は「被害は甚大というほか言葉はない。結果的に危機管理が不足していた」と声を落とした。
県庁で東国原知事と面談した平野長官は、県内に設けられた消毒ポイントで一般車両の消毒がされていないことに触れ「緻密(ちみつ)な防疫態勢が必要だ」と述べた。同席した発生地の首長らは、殺処分が追いつかない現状や農家の窮状を説明。「このままでは町の畜産が壊滅してしまう」と訴えた。
◇人には影響なし
口蹄疫は人には感染せず、仮に感染した肉を食べても人体に影響はないとされる。感染した肉が市場に出回ることもない。だが、ウイルスの感染力が強いことに加え、現時点では有効ため、家畜伝染病予防法は、感染が疑われる牛や豚だけでなく、一緒に飼育されている全頭を殺処分するよう定めている。農林水産省によると、まん延を防ぐためには潜伏期間を考慮し、仮に症状がなくても疑似患畜とみなすしかないという。
昨年、日本に限らず、世界中の国々で、新型インフルエンザワクチンが足りない、足りないと大騒ぎしたが、現在、日本国内の医療機関だけでも、約197万回分(約29億円)ものワクチンが在庫として余っているという。これは、国が抱えている約1,000億円の輸入ワクチンの在庫とは、全く別の国産ワクチンである。
本来、これらのワクチンは、ワクチン接種を希望する国民に対して、接種料を上乗せして、病院が売却し、それなりの利潤を得る予定であったのだが、希望する人がいないので、売れ残ってしまったものである。そして、このままでは有効期限が切れて、廃棄物として捨てることになる。そうなると、各病院は些細な儲けを得るどころか、診療報酬の抑制で、ただでさえ経営の厳しい中、29億円の損失を負ってしまうことになる。(ただし、総額30兆円を超える国民医療費の中で、30億円余りの追加損失がどれ程のインパクトを持つかは甚だ疑問ではある。)
そこで、病院側では、国にワクチンを買い戻すように求めているのだが、仮に国がワクチンを買い取っても、使う当ては全くないので、結局、ゴミとして廃棄することになる。
国の予算とは、すなわち、国民が現在または未来に納める税金であるから、需要がないと知りつつ、ワクチンを買い戻すようなことは、まさに税金の無駄遣いそのものであり、国としては、とてもできない。
病院や自治体が国に求めているのは、まさに、国民の税金をゴミ箱に捨てろと言っているようなものである。
ちなみに、税金の無駄遣い、医学的・科学的な根拠を欠く、政治的なパフォーマンスと一部から強く非難されている水際検疫に要した費用は約4億円と言うことなので、ワクチンの無駄に比べると、微々たるものである。
こうなってしまった原因は、色々と考えられるであろうが、根本的な原因は、病院側の過大な発注であり、需要予測の誤りである。
ただし、これについては、国も予測を誤り、同じく全く使う当てもない外国産ワクチン(約1000億円)を海外から輸入する契約を結んでしまうという失態を犯しているから、医療機関が予測を誤ったとしても、一概に責めることはできない。
とは言え、誰が悪いとか、誰の責任かとかを議論しても、すぐには埒が明きそうにはないので、もう少し前向きに今後のことを考えてはどうだろうか。
例えば、今回のワクチンについては、希望する医療機関については、余った分を国が買い戻すことにするが、その代り、次回、新型インフルエンザワクチンが流行した際には、買い戻しを希望した医療機関に対する供給量を減らすとか、優先順位を下げるとかいった条件を付けることも考えられる。
無責任とまでは言わないが、適正な発注をしてワクチンを使い切った医療機関や、在庫分のワクチン代を自己負担した医療機関と、ワクチンを余らせた挙句に、その損失を国民にツケ回した医療機関との間で、今後の扱いに差を付けることこそ、真の平等、公正と言うものではないだろうか。
また、今回の教訓を活かして、予め買い戻しオプションを付けて、医療機関に売る場合と、買い戻しなしの買い切りで医療機関に売る場合とでは、ワクチンの売り渡し価格に差を設けるというようなことも考えられる。
つまり、買い戻しオプション付きの場合は、1,000円で売るが、買い切りの場合は、800円で売ることとし、200円分のリスクを医療機関が負うことにするのである。
日本人は、リスクヘッジやリスク管理が下手だと言われる。今回の新型インフルエンザ騒動や、ワクチン在庫の問題でも、その感を拭えない。
何でも一律、平等が良いという風潮から、そろそろ脱却して、リスクに応じた費用負担と言う考え方をもっと色んな分野で導入しても良いのではないだろうか。
----------
大量の在庫ワクチン「買い取って」 病院要望、国は拒否
【2010年5月8日 朝日新聞】
新型インフルエンザの感染者が国内で初めて確認されて9日で1年。流行が沈静化するなか、ワクチンが大量に余り、国に買い戻しを求める動きが広がっている。16都府県の医師会などが要望書を出したが、厚生労働省は「次の流行がくる可能性がある」などとして受け入れていない。
大阪市の拠点病院、市立総合医療センターには、ワクチン3500回分(成人換算)が保管庫に眠っている。
昨年11月から12月に、市民向けに計約1千万円分(計6600回分)を購入。11月中旬の予約開始日こそ700人が殺到した。だが、大阪府の流行は昨年10月末をピークに下り坂となり、需要は購入量の半分もなかった。ワクチンの有効期間は長いものでも1年。「在庫が大きく減らないまま期限が切れるかもしれない」と担当者は話す。
新型インフルエンザのワクチンは、買い占めなどを防ぐため、国が製薬会社から買い上げ、都道府県が需給調整をして医療機関が購入する仕組みだった。昨年7月から製造された国産品は10月に供給され始めたが、ピーク時には足りず、11月下旬ごろから大量に供給された。厚労省によると、国産品だけで全国の医療機関に197万回分、約29億円相当(2月12日現在)の在庫がある。
要望書は、まず千葉県が1月20日付で「ワクチン接種事業の実施主体は国だった」として提出。大阪府医師会は3月11日、橋下徹・府知事らと連名の要望書を民主党副幹事長や厚労省に出した。「行政が需給調整に介在し、大きなタイムラグが生じた」と指摘し、「今後、医療機関が損失リスクを恐れ、ワクチン事業に重大な支障が出る」と買い取りを求めている。
その後も、東京、石川、山口の各都県の医師会や鳥取、愛知、群馬各県などが4月下旬までに要望している。金沢市で内科小児科を営む石川県医師会の近藤邦夫・感染症対策委員長は「予測の難しい緊急事態で負担も覚悟して協力したが、すべて医療機関の責任になるのは納得できない」と話す。
しかし国は、2月に出荷が始まった輸入ワクチンも5300万回分を在庫として抱える。厚労省の担当者は「ワクチンは保冷品で、仮に引きあげても品質管理が難しい。流行の第2波が来たら大変だし、買い戻す財源もない」。
日本小児科学会新型インフルエンザ対策室長の森島恒雄・岡山大教授は「大勢の人に短期間にワクチンを打てる態勢がなかったことが原因の一つ。強毒性のインフルエンザにも備え、こうした態勢をどう整えるのか、今のうちに考えておくことが重要だ」と話す。
本来、これらのワクチンは、ワクチン接種を希望する国民に対して、接種料を上乗せして、病院が売却し、それなりの利潤を得る予定であったのだが、希望する人がいないので、売れ残ってしまったものである。そして、このままでは有効期限が切れて、廃棄物として捨てることになる。そうなると、各病院は些細な儲けを得るどころか、診療報酬の抑制で、ただでさえ経営の厳しい中、29億円の損失を負ってしまうことになる。(ただし、総額30兆円を超える国民医療費の中で、30億円余りの追加損失がどれ程のインパクトを持つかは甚だ疑問ではある。)
そこで、病院側では、国にワクチンを買い戻すように求めているのだが、仮に国がワクチンを買い取っても、使う当ては全くないので、結局、ゴミとして廃棄することになる。
国の予算とは、すなわち、国民が現在または未来に納める税金であるから、需要がないと知りつつ、ワクチンを買い戻すようなことは、まさに税金の無駄遣いそのものであり、国としては、とてもできない。
病院や自治体が国に求めているのは、まさに、国民の税金をゴミ箱に捨てろと言っているようなものである。
ちなみに、税金の無駄遣い、医学的・科学的な根拠を欠く、政治的なパフォーマンスと一部から強く非難されている水際検疫に要した費用は約4億円と言うことなので、ワクチンの無駄に比べると、微々たるものである。
こうなってしまった原因は、色々と考えられるであろうが、根本的な原因は、病院側の過大な発注であり、需要予測の誤りである。
ただし、これについては、国も予測を誤り、同じく全く使う当てもない外国産ワクチン(約1000億円)を海外から輸入する契約を結んでしまうという失態を犯しているから、医療機関が予測を誤ったとしても、一概に責めることはできない。
とは言え、誰が悪いとか、誰の責任かとかを議論しても、すぐには埒が明きそうにはないので、もう少し前向きに今後のことを考えてはどうだろうか。
例えば、今回のワクチンについては、希望する医療機関については、余った分を国が買い戻すことにするが、その代り、次回、新型インフルエンザワクチンが流行した際には、買い戻しを希望した医療機関に対する供給量を減らすとか、優先順位を下げるとかいった条件を付けることも考えられる。
無責任とまでは言わないが、適正な発注をしてワクチンを使い切った医療機関や、在庫分のワクチン代を自己負担した医療機関と、ワクチンを余らせた挙句に、その損失を国民にツケ回した医療機関との間で、今後の扱いに差を付けることこそ、真の平等、公正と言うものではないだろうか。
また、今回の教訓を活かして、予め買い戻しオプションを付けて、医療機関に売る場合と、買い戻しなしの買い切りで医療機関に売る場合とでは、ワクチンの売り渡し価格に差を設けるというようなことも考えられる。
つまり、買い戻しオプション付きの場合は、1,000円で売るが、買い切りの場合は、800円で売ることとし、200円分のリスクを医療機関が負うことにするのである。
日本人は、リスクヘッジやリスク管理が下手だと言われる。今回の新型インフルエンザ騒動や、ワクチン在庫の問題でも、その感を拭えない。
何でも一律、平等が良いという風潮から、そろそろ脱却して、リスクに応じた費用負担と言う考え方をもっと色んな分野で導入しても良いのではないだろうか。
----------
大量の在庫ワクチン「買い取って」 病院要望、国は拒否
【2010年5月8日 朝日新聞】
新型インフルエンザの感染者が国内で初めて確認されて9日で1年。流行が沈静化するなか、ワクチンが大量に余り、国に買い戻しを求める動きが広がっている。16都府県の医師会などが要望書を出したが、厚生労働省は「次の流行がくる可能性がある」などとして受け入れていない。
大阪市の拠点病院、市立総合医療センターには、ワクチン3500回分(成人換算)が保管庫に眠っている。
昨年11月から12月に、市民向けに計約1千万円分(計6600回分)を購入。11月中旬の予約開始日こそ700人が殺到した。だが、大阪府の流行は昨年10月末をピークに下り坂となり、需要は購入量の半分もなかった。ワクチンの有効期間は長いものでも1年。「在庫が大きく減らないまま期限が切れるかもしれない」と担当者は話す。
新型インフルエンザのワクチンは、買い占めなどを防ぐため、国が製薬会社から買い上げ、都道府県が需給調整をして医療機関が購入する仕組みだった。昨年7月から製造された国産品は10月に供給され始めたが、ピーク時には足りず、11月下旬ごろから大量に供給された。厚労省によると、国産品だけで全国の医療機関に197万回分、約29億円相当(2月12日現在)の在庫がある。
要望書は、まず千葉県が1月20日付で「ワクチン接種事業の実施主体は国だった」として提出。大阪府医師会は3月11日、橋下徹・府知事らと連名の要望書を民主党副幹事長や厚労省に出した。「行政が需給調整に介在し、大きなタイムラグが生じた」と指摘し、「今後、医療機関が損失リスクを恐れ、ワクチン事業に重大な支障が出る」と買い取りを求めている。
その後も、東京、石川、山口の各都県の医師会や鳥取、愛知、群馬各県などが4月下旬までに要望している。金沢市で内科小児科を営む石川県医師会の近藤邦夫・感染症対策委員長は「予測の難しい緊急事態で負担も覚悟して協力したが、すべて医療機関の責任になるのは納得できない」と話す。
しかし国は、2月に出荷が始まった輸入ワクチンも5300万回分を在庫として抱える。厚労省の担当者は「ワクチンは保冷品で、仮に引きあげても品質管理が難しい。流行の第2波が来たら大変だし、買い戻す財源もない」。
日本小児科学会新型インフルエンザ対策室長の森島恒雄・岡山大教授は「大勢の人に短期間にワクチンを打てる態勢がなかったことが原因の一つ。強毒性のインフルエンザにも備え、こうした態勢をどう整えるのか、今のうちに考えておくことが重要だ」と話す。
日本における子宮頸がんの新規患者数は、毎年8千~9千人と言われ、そのうち、3分の1弱の2千~3千人が治療の甲斐なく最終的には子宮頸がんで死亡している。30代の女性の死亡原因としては、子宮頸がんは代表的な疾患であるから、早期発見や予防が重要とされている。
ところで、毎年の出生数(女子)は、55万~60万人なので、単純に計算して、一生の内で子宮頸がんになる女性は60~70人に一人と言うことになる。
つまり、330~340人の大田原市の小学6年生女子の内、死ぬまでに子宮頸がんになるのは、5人程度であり、残りの325人以上(95%以上)は、ワクチンを接種しても、しなくても、子宮頸がんにはならない。
また、今回のワクチンは、すべての子宮頸がんを予防できるものではない。子宮頸がんの原因となるウイルスには、いくつものタイプがあり、このワクチンで予防できるのは、せいぜい3分の2である。
結局、ワクチンを接種した人たちの中でも、2人ぐらいは子宮頸がんとなり、おそらく1人は子宮頸がんで死ぬという計算になる。
「がんになるのはいやだから注射してよかった」などと子どもは無邪気に言っているようであるが、痛い注射をしなくても、子宮頸がんにならない人はならないし、注射をしたのに、子宮頸がんになって死んでしまう人もいるというような説明は、おそらく聞いていないのであろう。
テレビ通販の宣伝文句ではないが、普及促進を訴える人は、メリットを強調するあまり、デメリットの説明を疎かにし、効果の限界を説明することを厭うもののようである。
ところで、最近、流行りの事業仕分け等で、評価の基準の一つとなる費用対効果という観点では、今回の子宮頸がん予防ワクチン(ヒト・パピローマ・ワクチン)は、いかがなものであろうか。
330人にワクチンを接種する費用は、ワクチンを接種する直接の費用だけでも、約1,500万円となるが、事前の説明会や講習会の開催、説明用のパンフレットやチラシの印刷配布代、これらの事務に携わる職員(公務員)の人件費などを考えると、総額2,000万円を下らないのではなかろうか。
一方、ワクチン接種による効果の方は、子宮頸がんの患者発生を少なくとも4人減らせたとして、医療費の節減効果は総額1,000万円ぐらいのものであろう。
確かに、ワクチンを接種しなかった場合に比べて、1人か2人は子宮頸がんで死亡したかも知れない人の命を救うことはできるが、この人たちも、いずれは何らかの理由で必ず死ぬのであるから、子宮頸がんではなく、別の理由で死亡したというようなことを効果として数えることには、いささか疑問が残る。
もちろん、人間誰しも死ぬのは嫌だろうから、死なずに済むなら、それに越したことはないし、命と引き換えなら、ワクチン3回分、計5万円の費用ぐらい、全額自費でも安いであろう。
結局、税金の使い道としては、子宮頸がん予防ワクチン(ヒト・パピローマ・ワクチン)接種費用の全額公費負担と言うのは、甚だ疑問の多いところではあるのだが、大田原市民や日本国民の評価は、いかがなものであろうか。
----------
大田原で、全国初の子宮頸がんワクチン集団接種
【5月14日 下野新聞】
全国初となる集団接種での子宮頸がん予防ワクチン接種が13日、大田原市の金丸小で行われ、小学6年の女子児童10人がワクチン接種を受けた。
校医や看護師、子宮頸がん予防に詳しい自治医科大の鈴木光明教授が接種に立ち会い、午後1時半から保健室で希望した10人から既往症や発熱の有無などを聞き取ったうえで、医師が上腕の筋肉に注射した。児童たちは約30分で問診と接種を終えたという。
記者会見で同校の郷佳代子校長は「痛みを心配した子もいたが、『がんになるより受けてよかった』と言っていた」と児童たちの様子を説明。同席した吉成仁見大田原地区医師会長は、副作用への対応など校医向けの事前研修を開いたことを説明、安全面への配慮を強調した。
集団接種の利点について、鈴木教授は「接種率が向上することに尽きる。その点で市の集団接種はすばらしい」と評価。一方で「100人規模の会場でも、十分な問診を行うべき」と今後の課題を挙げた。
同市は昨年2月、全国自治体に先駆けて同ワクチン公費全額補助を決定。続いて対象児童の接種率向上に向けて集団接種の導入を決めた。全国で40前後の市区町村が同ワクチン接種に何らかの補助策を講じたが、集団接種に踏み切ったのは大田原市だけだ。
----------
小6女子98%接種希望 大田原市・子宮頸がん予防ワクチン
【4月29日 下野新聞】
市内小学6年女子を対象に、子宮頸がん予防ワクチンの接種費を全額公費負担する市は28日までに、対象者の希望をとりまとめた。全対象者341人の内、98・53%にあたる336人(市外通学を含む)が接種を希望。市は、専門家による啓発講演や、全国初の集団接種方式が接種希望率向上につながったとみている。
市は8日から、市内24校(分校を含む)を通じ、保護者の希望取りまとめを開始。接種回数や副作用、健康被害救済制度などを解説する書類を配布した。
26日に取りまとめた資料によると、各校で学校医が実施する集団接種希望者は328人。市内の医療機関に通院して接種する、個別接種希望者は8人だった。希望しなかった保護者は3人で、回答なしは2人だった。
市は16日、自治医科大産科婦人科学講座の鈴木光明教授の講演会を開催。保護者や市民約300人に、ワクチンの効果や副作用の少ない同ワクチンの安全性などを解説した。啓発用チラシ配布でも接種率向上を図った。
金丸和彦保健福祉部長は「講演会や(保護者の負担が少ない)集団接種で、保護者の子宮頸がん予防の意識が高まったと認識している」と高い接種希望率を分析した。
接種は5月13日から来年1月19日まで、各校で実施する。接種による副作用で健康被害が起きた場合は、市が全国市長会を通じて加入している保険から、最高1億4200万円の補償が受けられる。
6月にも始まる、中学生1~3年生の個別接種は5月中に、接種費用の半額を補助するクーポン券を全対象者に配布する予定。
ところで、毎年の出生数(女子)は、55万~60万人なので、単純に計算して、一生の内で子宮頸がんになる女性は60~70人に一人と言うことになる。
つまり、330~340人の大田原市の小学6年生女子の内、死ぬまでに子宮頸がんになるのは、5人程度であり、残りの325人以上(95%以上)は、ワクチンを接種しても、しなくても、子宮頸がんにはならない。
また、今回のワクチンは、すべての子宮頸がんを予防できるものではない。子宮頸がんの原因となるウイルスには、いくつものタイプがあり、このワクチンで予防できるのは、せいぜい3分の2である。
結局、ワクチンを接種した人たちの中でも、2人ぐらいは子宮頸がんとなり、おそらく1人は子宮頸がんで死ぬという計算になる。
「がんになるのはいやだから注射してよかった」などと子どもは無邪気に言っているようであるが、痛い注射をしなくても、子宮頸がんにならない人はならないし、注射をしたのに、子宮頸がんになって死んでしまう人もいるというような説明は、おそらく聞いていないのであろう。
テレビ通販の宣伝文句ではないが、普及促進を訴える人は、メリットを強調するあまり、デメリットの説明を疎かにし、効果の限界を説明することを厭うもののようである。
ところで、最近、流行りの事業仕分け等で、評価の基準の一つとなる費用対効果という観点では、今回の子宮頸がん予防ワクチン(ヒト・パピローマ・ワクチン)は、いかがなものであろうか。
330人にワクチンを接種する費用は、ワクチンを接種する直接の費用だけでも、約1,500万円となるが、事前の説明会や講習会の開催、説明用のパンフレットやチラシの印刷配布代、これらの事務に携わる職員(公務員)の人件費などを考えると、総額2,000万円を下らないのではなかろうか。
一方、ワクチン接種による効果の方は、子宮頸がんの患者発生を少なくとも4人減らせたとして、医療費の節減効果は総額1,000万円ぐらいのものであろう。
確かに、ワクチンを接種しなかった場合に比べて、1人か2人は子宮頸がんで死亡したかも知れない人の命を救うことはできるが、この人たちも、いずれは何らかの理由で必ず死ぬのであるから、子宮頸がんではなく、別の理由で死亡したというようなことを効果として数えることには、いささか疑問が残る。
もちろん、人間誰しも死ぬのは嫌だろうから、死なずに済むなら、それに越したことはないし、命と引き換えなら、ワクチン3回分、計5万円の費用ぐらい、全額自費でも安いであろう。
結局、税金の使い道としては、子宮頸がん予防ワクチン(ヒト・パピローマ・ワクチン)接種費用の全額公費負担と言うのは、甚だ疑問の多いところではあるのだが、大田原市民や日本国民の評価は、いかがなものであろうか。
----------
大田原で、全国初の子宮頸がんワクチン集団接種
【5月14日 下野新聞】
全国初となる集団接種での子宮頸がん予防ワクチン接種が13日、大田原市の金丸小で行われ、小学6年の女子児童10人がワクチン接種を受けた。
校医や看護師、子宮頸がん予防に詳しい自治医科大の鈴木光明教授が接種に立ち会い、午後1時半から保健室で希望した10人から既往症や発熱の有無などを聞き取ったうえで、医師が上腕の筋肉に注射した。児童たちは約30分で問診と接種を終えたという。
記者会見で同校の郷佳代子校長は「痛みを心配した子もいたが、『がんになるより受けてよかった』と言っていた」と児童たちの様子を説明。同席した吉成仁見大田原地区医師会長は、副作用への対応など校医向けの事前研修を開いたことを説明、安全面への配慮を強調した。
集団接種の利点について、鈴木教授は「接種率が向上することに尽きる。その点で市の集団接種はすばらしい」と評価。一方で「100人規模の会場でも、十分な問診を行うべき」と今後の課題を挙げた。
同市は昨年2月、全国自治体に先駆けて同ワクチン公費全額補助を決定。続いて対象児童の接種率向上に向けて集団接種の導入を決めた。全国で40前後の市区町村が同ワクチン接種に何らかの補助策を講じたが、集団接種に踏み切ったのは大田原市だけだ。
----------
小6女子98%接種希望 大田原市・子宮頸がん予防ワクチン
【4月29日 下野新聞】
市内小学6年女子を対象に、子宮頸がん予防ワクチンの接種費を全額公費負担する市は28日までに、対象者の希望をとりまとめた。全対象者341人の内、98・53%にあたる336人(市外通学を含む)が接種を希望。市は、専門家による啓発講演や、全国初の集団接種方式が接種希望率向上につながったとみている。
市は8日から、市内24校(分校を含む)を通じ、保護者の希望取りまとめを開始。接種回数や副作用、健康被害救済制度などを解説する書類を配布した。
26日に取りまとめた資料によると、各校で学校医が実施する集団接種希望者は328人。市内の医療機関に通院して接種する、個別接種希望者は8人だった。希望しなかった保護者は3人で、回答なしは2人だった。
市は16日、自治医科大産科婦人科学講座の鈴木光明教授の講演会を開催。保護者や市民約300人に、ワクチンの効果や副作用の少ない同ワクチンの安全性などを解説した。啓発用チラシ配布でも接種率向上を図った。
金丸和彦保健福祉部長は「講演会や(保護者の負担が少ない)集団接種で、保護者の子宮頸がん予防の意識が高まったと認識している」と高い接種希望率を分析した。
接種は5月13日から来年1月19日まで、各校で実施する。接種による副作用で健康被害が起きた場合は、市が全国市長会を通じて加入している保険から、最高1億4200万円の補償が受けられる。
6月にも始まる、中学生1~3年生の個別接種は5月中に、接種費用の半額を補助するクーポン券を全対象者に配布する予定。