2024年5月の読書記録 その3 | ゆるゆるな毎日

ゆるゆるな毎日

水曜どうでしょうやマンホール、キリスト看板などの趣味に走りすぎた日々を綴っています。

5月は45冊も読んでしまったので、読書記録が3つになってしまいました。

 

これが最後です。

 

 

ニキ 夏木志朋

子供の頃から少し変わったところがある田井中広一は偶然、

 

高校の担任教師の二木良平の秘密を知ってしまう。

 

ある出来事で急接近する二人。

 

それ以降の広一と二木との関係性が不穏で、

 

この先どうなっていくのかとハラハラして読みました。

 

読後感はそれほど悪くなかったですが、

 

広一に対するクラスメートの吉田の態度に終始嫌悪を感じ、

 

小説ではありますが、彼が登場するととても不愉快な気分になりました。

 

それだけよく書けているということでしょう。

 

そして、二木のような特殊な嗜好の人であっても、

 

趣味の範囲であれば排除すべきではないと思いますが、

 

何かのきっかけで押さえが効かなくなってしまったら…

 

と思うと怖くなりました。

 

お勧め度:★★★★ 4.5

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂19

不思議な駄菓子を売っている銭天堂の第19弾。

 

子供が苦手だが、

 

叔母の頼みで幼稚園の先生をしている姫子はライバルバルーン。

 

厳しい父と、妹の世話に忙しい母に不満がある琢己はあまえん棒。

 

他人の不幸が味わうため、友達から相談してもらいたい雪穂は相談だんご。

 

格安アパートの自宅に帰ると体調を崩す辰夫はゴーストロベリー。

 

プライドが高くて癇癪持ちの潤美はごめんラーメン。

 

平凡な毎日に飽き飽きな湊斗はドラマチックどら焼き。

 

今作は以前銭天堂でスカウトまんじゅうを買った蔵木を使い、

 

銭天堂のお菓子を食べた人を探す六条教授。

 

銭天堂に対する新たな作戦も姿を現し、次巻への期待が高まりました。

 

お勧め度:★★★★ 5.0

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂20 廣嶋玲子

不思議な駄菓子を売っている銭天堂の第20弾。

 

自分でなにかを決めるのが苦手な睦美はどっちウォッチ。

 

頭脳明晰で容姿も良いが、

 

部下や後輩をバカにしている芳彦は優秀シュークリーム。

 

ど忘れがひどくなった舞子はリメンバーチョコバー。

 

もったいながりやで、

 

町内の人が古い物や壊れた物をもらう金吾はもとどおりんごあめ。

 

臆病者の早穂子はチャレンジオレンジジュース。

 

無力感に悩んでいるつぐみは満足缶。

 

今回は異例のエピローグで驚きました。

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂はこの巻で一区切りですが、

 

新シリーズも発行されているので、そちらも楽しみです。

 

お勧め度:★★★★ 5.0

 

 

ひとり旅日和 福招き! 秋川滝美

ひとり旅日和の第4弾。

 

ひとり旅を始めて3年が経った日和。

 

旅先でレンタカーを利用するのにも慣れ、

 

公共交通機関では行くのが大変な高知や宮崎・鹿児島も旅します。

 

私の知らない一筆書き切符を使った旅にも出かけており、

 

旅の幅が更に広がると共に、日和の成長も見られて嬉しくなりました。

 

ひとり旅がテーマの作品だからか、

 

同行者のいる旅について詳細が書かれていないのが残念でした。

 

お勧め度:★★★★ 5.0

 

 

からさんの家 伽羅の章 小路幸也

「からさんの家 まひろの章」の続巻。

 

まひろが伽羅の家に来てから3年が経った。

 

血の繋がらない祖母・伽羅と孫娘・まひろのほか、

 

からの家に下宿している住人も変わらず。

 

伽羅は自伝がドラマ化され、講演に飛び回るようになり、

 

また久しぶりに女優として復帰。

 

お陰で伽羅のマネージャーを務めるまひろも忙しくなっていた。

 

後編にあたるこのお話は、伽羅の家の住人の変化が描かれています。

 

前章のまひろの視点とは違う伽羅の視点のため、語り口が違うのは勿論、

 

人物評もまひろとの違いがあり、よく書き分けられていると思いました。

 

伽羅の人生は辛い出来事もあり、波乱万丈でしたが、

 

重い語り口でなかったのが伽羅らしく感じました。

 

お勧め度:★★★★☆ 3.5

 

 

ありふれたチョコレート1 秋川滝美

株式会社安海で専務と営業部長を兼任している瀬田聡司に鍛えられ、

 

瀬田係と言われている相馬茅乃。

 

社長の安海は極上の男である瀬田と娘を結構させるべく、

 

障害になりそうな茅乃を度々転属させようとしていたが、

 

瀬田が悉く握りつぶしていた。

 

瀬田と安海の娘・香との結婚が秒読みと知った茅乃は

 

自ら転属願いを出すひとを決意するのだった。

 

秋川滝美さんの「ひとり旅日和」が面白かったので、

 

別の作品も読んでみました。

 

お仕事ものと思いきや、甘い恋愛ものでした。

 

お話を盛り上げるためには仕方ないと思いますが、

 

回り道しすぎで進展せず、「ひとり旅日和」ほどの爽快感はなし。

 

ハイスペックな男性に好かれて追われる

 

自己肯定感の低い庶民の女性というお話なので、

 

現代版シンデレラのような感じ。

 

茅乃が聡司から逃げ回るために画策する様子は面白かったです。

 

お勧め度:★★★★☆ 3.5

 

 

チョウセンアサガオの咲く夏 柚月裕子

表題の「チョウセンアサガオの咲く夏」を始め、

 

11編の短編が収録されています。

 

「チョウセンアサガオの咲く夏」は、

 

タイトルが不穏だと思いつつ読み始めましたが、

 

期待を裏切らない展開でした。

 

瞽女を題材にした「泣き虫の鈴」と「影にそう」は辛いお話でしたが、

 

心が温かくなる終わりで良かったです。

 

オムニバスなので、時代もジャンルも様々あり、

 

ニヤリとするお話や切なくなるお話など、色々楽しめました。

 

しかし「おそ松さん」のパロディ小説「黙れおそ松」は

 

同人誌レベルで面白くありませんでした。

 

当たり、はずれの大きい短編集でした。

 

お勧め度:★★★ 4.0

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂にようこそ 廣嶋玲子

銭天堂シリーズ初のガイドブック。

 

巻頭に銭天堂の内部が細かく描かれており、とても面白かったです。

 

14巻までに登場した人物や、登場した商品が網羅されているほか、

 

銭天堂の原点であり「迷宮ヶ丘 三丁目 消失ゲーム」に収録されていた

 

「不思議駄菓子屋」や11巻の特別小冊子だった「分身風船ガム」、

 

書き下ろしの「猛獣ビスケット、ふたたび」も収録されています。

 

お勧め度:★★★★ 5.0

 

 

ありふれたチョコレート2 秋川滝美

ありふれたチョコレートの2作目。

 

ニューヨークへやってきた瀬田係の茅乃。

 

付け焼刃で学んだ英語では理解できないことも多く、

 

初めての海外生活は失敗の連続。

 

そんな失敗がやがて…。

 

2作目は1作目とは違いお仕事小説という感じ。

 

1作目は2作目のための布石だったのかなと思いました。

 

1作目から登場するチョコレートは、

 

明治のミルクチョコレートBOXかなと思っていましたが、

 

創業95年で常に製菓部門のトップメーカーの野井路製菓が登場したので、

 

間違いないと思いました。

 

モデルになった明治製菓は明治乳業と合併後、

 

乳業側に乗っ取られてしまったようで、

 

カールの販売を西日本だけにしたり、

 

ロングセラー商品のブランドを他社に売却したり販売をやめたりと、

 

既に製菓のトップメーカーではなくなっており、非常に残念です。

 

現実との乖離を悲しく思いつつ読みました。

 

お勧め度:★★★★☆ 3.5