2024年5月の読書記録 その1 | ゆるゆるな毎日

ゆるゆるな毎日

水曜どうでしょうやマンホール、キリスト看板などの趣味に走りすぎた日々を綴っています。

5月は漫画も含め、45冊読みました。

 

少し読書のペースを落とすつもりだったのですが、

 

図書館で予約していた本が順番が次々に来てしまい、

 

また私の後で待っている人もいる本が多く、

 

お待たせするのも申し訳ないと思い、

 

つい読むペースが速くなってしまいました。

 

私が予約順位1位のまま、2ヵ月以上待たされている本もあるので、

 

借りている方が返却期限を過ぎても返していないのだと思うのですが、

 

私はそういうことができないのです。

 

そこまで迷惑をかけないまでも、

 

返却期限ギリギリまで平常心で借りていられるくらい、

 

ほかの人を気にしない強い精神力が欲しいものですウインク

 

 

祈りのカルテ 再会のセラピー 知念実希人

日本内科学会で発表を終えた純正医大付属病院の医師・諏訪野良太。

 

医学生時代の親友の小鳥遊優が

 

女性研修医の鴻ノ池舞とポスター発表の会場にいるのを見付け、

 

3人で焼き鳥屋に移動し、打ち上げを行う。

 

研修医2年目の鴻ノ池は、既に進路が決まっていることを知り、

 

研修で回った科で色々な面白い経験をしたため、

 

最後まで進路に迷ったことを話す諏訪野。

 

鴻ノ池にせがまれて、過去の体験を話す形で、3編のお話が語られていきます。

 

医療ミステリーというジャンルではありますが、

 

前作よりもご都合主義感が強くなっており、

 

何故この状況だけで正しい答えが導きだせるのかと不思議に思いました。

 

特に最後の「二十五年目の再会」は、

 

物語の大きな展開とオチは早々に予想できてしまいましたが、

 

事件の謎をあっさり解いたことが不可解でした。

 

ミステリーとしてはイマイチの作品。

 

前作に比べて医療シーンも少ないため、医療ものとしてもイマイチの作品。

 

小鳥遊も鴻ノ池も、著者の別の作品に出てくる人物のようなので、

 

作者の本を色々読んでいるファンには嬉しいサービス作品だと思います。

 

お勧め度:★★★★☆ 3.5

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂13 廣嶋玲子

不思議な駄菓子を売っている銭天堂の第13弾。

 

熱帯のフルーツが庭で沢山採れる様に願う香歩は熱帯焼き。

 

学級新聞係になり、みんなが驚く記事や写真が撮りたい一朗にはスクープクレープ。

 

洋服選びが苦手で困っている陽司はぴったりピーナッツ。

 

ダンスが下手で体育の時間が嫌な環はヒップホップコーン。

 

マンガの続きが読みたい竜介は先取りメガネ。

 

クラス替えを前に、自分と合うクラスメートがいるのか

 

気になっているなつめは見定メーター。

 

今作では銭天堂について調べている六条教授が、

 

銭天堂に辿り着くためにモニターを使う。

 

見事辿り着いたモニターもいるが…。

 

六条教授の今後の動きが気になった巻でした。

 

お勧め度:★★★★★ 5.0

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂14 廣嶋玲子

不思議な駄菓子を売っている銭天堂の第14弾。

 

女の子にもてたい龍介はもてもてもち。

 

辛い物が食べられるようになりたい幸二はチリチリェリー。

 

贈り物を選ぶのが苦手な俊子はプレゼント扇子。

 

勉強や習い事で忙しく、のんびりする時間が欲しいかりんはタイムライム。

 

骨董品にはまったものの、目利きができない仙司はレアレアチーズケーキ。

 

同い年で子供も同じ幼稚園に通わせている千春を

 

羨ましがらせたい美沙子はみせびら菓子。

 

今作では銭天堂について調べている六条教授が、

 

小銭を入れた超小型発信機を仕込んだお守りを子供たちに配り、

 

銭天堂に辿り着いた子供に腕時計型の満足度を調べるセンサーを渡して

 

データを取ることを計画。

 

しかし前作で見定メーターを購入したなつめの父であり、

 

六条教授の愛弟子の研究員・関ノ瀬和彦が

 

銭天堂の商品で不幸になる人もいることを主張し、計画に異を唱えるが…。

 

銭天堂に迫る六条教授にドキドキしながら読みました。

 

お勧め度:★★★★★ 5.0

 

 

アナグマの森へ アンソニー・マゴーワン

犯罪に巻き込まれ、仮釈放中の父と、

 

知的障害を持つ兄のケニーと暮らすニッキー。

 

ケニーが不良たちに騙されて<林>へ呼び出されたことを知り、

 

ニッキーも付いて行くと、

 

野生のアナグマの巣穴を掘って犬をけしかけようとしていることが分かった。

 

不良たちが立ち去った後にニッキーが見付けたものは…。

 

不良たちやニッキーの父が犯罪に巻き込まれた理不尽さで、

 

イライラしてしまいました。

 

貧しい生活の中で父や兄の心配をし、

 

自分で最善の方法を探るニッキーが可哀想で、

 

読んでいて辛いお話でした。

 

犬をアナグマにけしかけるシーンは残酷で、

 

児童書なのにしっかり描写するのは外国文学ならではかと思いました。

 

お勧め度:★★★ 4.0

 

 

懲役病棟 垣谷美雨

病棟シリーズの第3弾。

 

青葉市の女子刑務所の常勤医が退職してしまったため、

 

医師会の持ち回りで半年だけ神田川病院から医師を派遣することになったと

 

部長の笹田から打診を受けた太田香織。

 

特別手当と家賃不要の借り上げマンションに住めると知り、

 

看護師の松坂マリ江と共に派遣されることになった。

 

笹田から一緒に話を聞いていた早坂ルミ子は、

 

引き出しからAURORAと書かれた古びた聴診器を取り出し、渡してきた。

 

隣でうなずく黒田摩周湖も見て、不穏なものを感じる香織。

 

しかし刑務所での診察の時、その聴診器を使うと、

 

不思議な声が聞こえてきて驚くのだった。

 

今作は刑務所が舞台なので、

 

前作のようにやり直しの人生を見せることはなく、

 

受刑者の話と香織の話が交互に進行していきます。

 

香織が診る受刑者は4人なのですが、半年の間に、

 

同じ房の4人だけに関わったのが不自然でした。

 

最後の最後もすっきりせず、そのエピソードはいるのか?と思いました。

 

前作よりもパワーダウンで残念でしたが、

 

郵便不正事件で不当に逮捕・交流された

 

元厚生労働事務次官の村木厚子さんの解説の言葉が心に響きました。

 

垣谷さん初のシリーズものだと思いますが、珍しく私はハマれない作品。

 

次作が刊行されたら、どうするかな…という感じです。

 

お勧め度:★★★☆☆ 3.0

 

 

だれにも話さなかった祖父のこと マイケル・モーパーゴ

幼い頃、祖父が来ることになると怖い夢を見た私。

 

祖父が来る前、両親はピリピリとし、幼い私に色々な注文を出すのだった。

 

中でも祖父をじっと見てはいけないという注文が最悪で、

 

私は祖父の顔を見てはいけないと必死に目を逸らすが、

 

我慢できずにこっそり見てしまうのだった。

 

祖父を見てはいけない理由はすぐに分かるのですが、

 

「私」が両親の言いなりになるのではなく、

 

年齢を重ねて祖父との交流を深めていく様子がとても良かったです。

 

優しく、静けさを感じる絵は

 

「私」と祖父の静かな交流を表していると思う一方、

 

恐ろしい出来事の相反するところが

 

愚かな歴史の悲惨さを際立たせているように感じました。

 

お勧め度:★★★ 4.0

 

 

素晴らしきお菓子缶の世界 中田ぷう

可愛いお菓子の缶が沢山載っている一冊。

 

最近のものだけではなく、過去の懐かしいお菓子の缶や、

 

見たことがない外国の素敵なお菓子の缶も載っていて、

 

見ているだけで楽しい本でした。

 

お勧め度:★★★ 4.5

 

 

ルポ新宿歌舞伎町路上売春 高木瑞穂

昨今マスコミでよく取り上げられる

 

新宿の大久保公園周辺で路上売春する女性たち8名を取材したルポルタージュ。

 

ホストクラブの売掛金だけでなく、

 

メンズコンセプトカフェやメンズ地下アイドルなどに入れ込んで

 

多額のお金を必要となり、手っ取り早く稼ぐために

 

路上売春を選んでいるという実態が垣間見えました。

 

そしてホストとヤクザが繋がっており、多額の売掛金の回収のために、

 

女性の恋心を利用している構図も描かれており、

 

女性もそれを分かりつつホストに貢いでいることに驚きました。

 

警察で取り締まりをした後、現在は行政へ繋げることも行っているそうですが、

 

女性たちの心のケアなども必要ではないかと思いました。

 

また、こういう女性を目当てに集まって来る

 

買春客が増えているという現状に嫌悪しました。

 

お勧め度:★★★ 4.5

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂15 廣嶋玲子

不思議な駄菓子を売っている銭天堂の第15弾。

 

友達の秘密を守りたい藍音はシークレットタブレット。

 

美容院で髪を切られすぎ、似合わないヘアースタイルにされてしまった

 

みつりはラプンツェル~プレッツェル~。

 

アメリカに住んでいるおじさんからもらったスケードボードを

 

同じクラスの淳輔に盗まれてしまった哲はサイン・コイン。

 

やせたい昌男はマッチョーレオーレDX。

 

マドンナと呼ばれていた若い頃の輝きを取り戻したい鈴子はピチピチピーチ。

 

お風呂に入るのが面倒くさい信太はクリーングリーンティ。

 

今作では銭天堂について調べている

 

六条教授の元愛弟子・関ノ瀬から連絡を受けた紅子が、

 

六条教授を警戒し、墨丸と共に行商へと出かける。

 

一方、六条教授は、銭天堂の評判を落とすための活動を始めたのだった。

 

次巻で紅子がどうするのか…と期待をさせる終わり方で面白かったです。

 

お勧め度:★★★★★ 5.0

 

 

西太后秘録 下 近代中国の創始者  ユン・チアン

清の咸豊帝の側室で、息子が同治帝として即位して以降、

 

47年に渡って睡蓮政治を行い、

 

中国近代化の礎を築いた西太后についた書かれた本。

 

下巻は日清戦争後から西太后の逝去までが綴られています。

 

下巻を読み、ますます世間に流布している西太后の悪評は、

 

皇帝の座に着こうとした「野狐」と言われた康有為などが

 

故意に流したものだということがよく分かりました。

 

清王朝が欧米の列強や日本の脅威にさらされる中、

 

多少の失敗はあったとしても、西太后が上手く舵取りをして乗り切り、

 

近代化と立憲君主制を進めていたことは知らなかったので、

 

とても勉強になりました。

 

西太后が進めた政策が、

 

結果的に清王朝を滅亡へと導いてしまったように思いますが、

 

チベットなどに対しても自治を認めていましたし、

 

もしもあと10年早く改革に着手していたら、

 

中国は今とは全く違う国になっていたように思いました。

 

西太后が亡くなってから20年後に、

 

蒋介石が樹立した中華民国の軍隊が

 

西太后の墓所に不法侵入して副葬品の宝石などを持ち去り、

 

西太后の口の中に入れられていた真珠は

 

蒋介石の夫人の靴の飾りに使われていることを知った最後の皇帝・溥儀は怒り、

 

その怒りから日本と共に満州国と運命を共にしようと思った

 

ということも書かれていました。

 

日本にも関わりのある歴史ですが、

 

近代史は学校で深く習わなかったので、この本からは沢山の驚きと学びを得ました。

 

お勧め度:★★★★★ 5.0

 

 

半ダース介護 6人のおジジとおババお世話日記 井上きみどり

自分の両親、夫の実の両親と夫の養父母、

 

夫の祖母の7人の介護を一手に引き受けて奮闘するハルコさんの体験談を、

 

漫画家の井上きみどりさんが取材し描いたエッセイ漫画です。

 

介護が必要な親族の元へ自転車で回りつつ、

 

介護から生活のサポートをこなす様子に驚きました。

 

またご自身にも乳がんが見つかり、それでも奮闘する様子に、

 

もう少し早い段階で公的な支援が受けられないのかと思いました。

 

制度の不備にも触れられており、色々と勉強になりました。

 

井上さんは以前、ご自身の育児を綴った「子供なんか大キライ!」を描かれており、

 

私も大好きで読んでいたのですが、お子さんが大きくなり、

 

プライバシーの問題もあるのか、

 

震災や病気の方を取材してエッセイ漫画を描くようになり、読まなくなっていました。

 

久しぶりに読んだら、やはり取材したエッセイ漫画で少しがっかりしましたが、

 

一番最後に御自身のご両親の介護について描かれていたので、

 

あの頃元気だった方が…と切なくなりました。

 

描ける範囲で、またご自身のエッセイ漫画も描いて下さったらいいなと思いました。

 

お勧め度:★★★ 4.0

 

 

人面島 中山七里

長崎県平戸市の北約30キロの海上に浮かぶ仁銘島の村長・鴇川行平が亡くなり、

 

メインの相続財産である土地建物の鑑定のために島へやってきた三津木六兵。

 

行平の先妻・華江の長男・匠太郎と妻・須磨子、息子の公一郎、

 

そして行平の後妻の深雪と息子の範次郎、娘の雛乃。

 

更に華江の父で宮司の法蔵寺円哉と

 

深雪の父で漁業組合長の佐倉豪造という村の権力者2人も入り乱れ、

 

行平の遺産争奪戦と村長の椅子を巡る戦いが始まる中、事件が起こる。

 

濃密な人間関係に狭い島。

 

今回も横溝正史ばりの事件が展開されていきますが、

 

古典を上手にパスティーシュしているだけに、

 

早々に犯人とトリックが分かってしまったので、

 

謎解きというよりは答え合わせになってしまったのが残念でした。

 

お勧め度:★★★ 4.0