今回の電動車いすの中心は、C4またはC5の方(手首が動かない)です。
C6(またはC5B)の方での電動はヤマハのJWが主となるので、話を分けたいと思います。
上肢の機能障害が著明な頚髄損傷の方が実用的に使用できる電動車いすは、多くの施設においては海外(主に米国)製品が主流だと思います。
国内の電動車いすでも頑張っている業者さんもいらっしゃいますが、個人的な意見として、継続性や安定性の面でまだ勧めにくい状態です。
それでは、電動車いすを選択する視点を項目別に記載していきます。
①除圧能力
除圧能力については担当療法士と座圧測定器を用いて評価して下さい。
単に骨盤の位置を見たり、手をお尻に差し込んだりする程度では正確に
評価できません。
さて、除圧が適切にできないと、褥瘡ができます。
臀部を除圧するためには電動車いすのティルト機能を使用する必要があ
ります。
ティルトというのは座面と背中の角度が変化せず、座った状態のまま背
中側へ倒れていきます。
一方、リクライニング型は、一般論としてお勧めしていません。
これは、リクライニング車いすは背中を上げたり下げたりするときに、
お尻が前方にずれて褥瘡(床ずれ)ができる可能性があるからです。
最近は、ずれないリクライニングと銘打って販売されますが、やはり臀
部が足の方向へ移動してずれます。姿勢が自分で調整できない方は、テ
ィルトが望ましいでしょう。
ティルトの角度はメーカーや機種によって変わりますので、どの程度、
ティルトしたいか、する必要があるのかを検討しましょう。
基本的には垂直軸から30度程度倒せば、多くの方は除圧が可能です。
ただ、除圧の回数を30分~1時間と多めにした方がいいでしょう。
個人差があるので、座圧測定器を用いた評価と実際のお尻の発赤を確認
するのがベストです。
電動車いすでゆっくり休みたい、車いす上で寝たいという方は、それぞ
れティルトを倒して確認してください。
少しティルトして除圧が十分に可能となるならば、ヘッドレスト(頭を
置くところ)が必要ないということもあります。
part2 へつづく
他にも頚損・脊損の方に役立つ情報がある私のウェブサイト
頚髄損傷.com
と ブログ村もよろしくお願いいたします。