相曽晴日「お多福Live」 | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

2月3日に見た相曽晴日さんのリモート配信ライブレポート。
はるひさんのリモートライブは昨年12月に見たばかりでしたが、今回は初のアルバム未収録曲中心ライブと銘打たれており、これは必ず見たいと思いました。
今回の会場は、このページではタイナカ彩智さんや遊佐未森さんのライブでおなじみ、東京都港区のライブハウス南青山MANDALA。

12時半開演。
真っ赤なワンピースドレスに、赤い鬼の面を頭の上に乗せたはるひさん登場。
会場から笑い声、カワイイ!の声。
面はすぐに取れてしまい、グランドピアノの上に置かれました。
最初の曲は、いきなりこれは初めて聴く曲。コメント欄から「てとて」という曲だそうです。

 

こんにちは。還暦前のお多福ライブへようこそとあいさつ。
還暦前なので「赤」を着てみましたと笑います。
いつもせっかちにペラペラ喋っているけど、今回は余白、間を楽しんでいきますと話します。本当はゆっくりに憧れていると話すとまた、会場から笑いが。
以前にはるひさんを車のアクセルに例えたのを思い出し、モニタ見て私も笑ってしまった。
今回はアルバム未収録曲を中心としたライブ。
大人の事情だったり、子ども生まれてすっかりこういう曲うたえなくなってしまったり、といった楽曲達に光をというテーマだそうです。

次は「虹をあげる」。自分の過去日記によるとこれまで2度聴かせてもらってます。
2010年の記事に、最近完成した曲とあります。
人を励ますときの歌。大阪のおっちゃんが、へこんだ時に自分の失敗談を話してくれたのが制作のきっかけだそうです。

 

昼の青山はどうでしたか?と呼びかけるはるひさん。このマンダラに入ったの2008年か。大塚利恵さんのライブ観になんとか青山まで出かけたけどカネが無くて、100円マックとか食べてしのいだの思い出します。今では懐かしい思い出。
はるひさんは、デビューした頃エピキュラスというスタジオがこの渋谷区にあり、そこでレコーディングしてたと話します。
18か17歳くらいの頃で最初のアルバムレコーディングに臨んだはるひさん。
スタジオの人は全員大人で厳しい雰囲気。次にうたう曲はその時何度もなんどもリテイク出して困らせたそう。
そんな時、この曲の作詞者でプロデューサーだった、くに河内さんに誘われて出かけ近くの八百屋さんでさくらんぼ買ってくれた。違う意識に向かってたのが、それを食べることでホッとしたそうです。
曲はその思い出の「トワイライト」ですが、実はレコードに採用されたバージョンも含め3パターンの歌詞があったそうです。
今回は、以前のライブでも披露されたことがある別バージョンで演奏されました。

次の曲は「消息」。
トワイライトと同じ頃制作された曲だそうで、これも初めて聴きます。
20代半ば頃アメリカブームだった。そんな時代、海外に渡った人の消息を知ろうとしても、手段は今では考えられないくらい高額だった国際電話か、エアメール。

こゝからは相曽名物と言ってもいゝ暗闇探検いってみたいと思います。
子どもが生まれてからというもの、アルバムに入れにくい曲となってしまった。
お炊き上げしますと、「わたしたち」「Indigo」「寂寥(せきりょう)」を3曲続けて。
わたしたちとインディゴは、これも初めて聴く曲。
一方寂寥は、2007年に初めて大阪ではるひさんのライブを観た日に演奏された思い出の曲。強烈な印象が残っています。心を満たすものが無くさびしい様子という意味。

3曲を終え、ハンドベルを鳴らすはるひさん。すごい暗闇だったので気分を変えたかったと笑います。
お店の入り口で配られた三角クジを開けるよう促します。4人の方が当たりのハートだそうです。
バッジが渡され、このバッジは1年間、ライブの会場で好きな曲をリクエストできるそうですよ。それはすごい。自分だったらこの日演奏されなかった「ムカエニキテ」をリクエストしたいな。

 

前半最後の曲は「贈るうた」。
写真は誕生日ケーキ。ファンの方から贈られたのかな?すごいすごいと観客席から聞こえます。
当日誕生日の方を募り、今日は○○の誕生日…とうたうのが定番ですが、今月ははるひさんも誕生日。♪きょうははるひちゃんの誕生日とうたわれました。

※前半セットリスト
てとて
虹をあげる
トワイライト(アナザーバージョン)
消息
わたしたち
Indigo
寂寥
贈るうた


後半はじまりました。後半の衣裳はなにか花のような模様が描かれている黒のノースリーブに銀のパンツルック。
曲は、アルバムしあわせになろう収録の「桜の頃」。
後半は子どもを産んで以降生まれた曲を中心に演奏するみたい。
次は「ソラ」と「SEED」。ソラは2019年の福岡公演で一度聴かせてもらったことがあります。SEEDはアルバムただいま収録曲。

 

ライブのスペシャルゲスト、古村比呂さん登場。
ひろさんとは、2011年にライブハウス音蔵で演ったライブイベントでご一緒したのが最初。以前にこのページでも書いたことありますが、その後ひろさんは癌に罹患し闘病生活に。それが、昨年縁あってこのユニットで再結成したそうです。
「HARUHIRO」という正式ではない仮のユニット名が決まったけど、まんますぎるという意見もあったとか。
ハルヒロって憶えやすいよねと客席に呼びかけるはるひさん。でも拍手はまばら(笑)。
本業が俳優のひろさん。歌ははるひさんに任せ、自身は朗読とコーラスを担当と話します。
そしてひろさん。はるひさんの歌詞に出てくる「ボク」という表現ははるひさんにしかできない。男性ボーカルのカバーも演ってほしいとも。

 

喜びは発散しやすいけど、悲しみ怒りは残りやすい。
心のうちに溜まって腐るので、うたってお炊き上げする。
喜怒哀楽はどれも愛おしい。自分と仲良くできないと人と仲良くできない。
海の底に着いたらあとは浮かび上がるだけでしょ。
格言のようなMCが続きます。

 

曲は、以前にひろさんが発表した繪本「ぼくはここだよ!」をまずはひろさんが朗読。続けてこの作品をイメージしてはるひさんが制作した「ぼくはくま」が演奏されました。
ぼくはくまは以前に何度か聴かせてもらいましたが、この流暢な朗読部分があってはじめてこの曲は完成するのだと聴いていて感じました。
女の子が、買ってもらったクマのぬいぐるみを大切にしていたけど、いつしか忘れられて押し入れの奥でネズミにかじられるという悲しい内容。「ぼくはここだよ」のところで胸が詰まる。

演奏を終え今伝えたいことはとはるひさん問いかけますが、ひろさん、瞬間を生き抜くことと即答できると返します。瞬間瞬間の人との繋がりを大切にと。
そして、はるひさんは何があっても笑い飛ばせる。それがなによりもすごいこととも。

ハルヒロでもう1曲。なんとオフコースの「生まれ来る子供たちのために」をカバー。
このはるひさんのボーカルの解釈好きだな。
でも圧巻だったのは途中挿入されたオリジナルの朗読。せっかくの配信なので全文を書き写してみます。

憚ることなく よい想いを私らは語ってよいのです
美しいものを美しいと 私らは褒めてよいのです。
失ったものへの悲しみを 心のままに涙流してよいのです
心をだんだん温めましょう
夕暮で星がひとつづつみつかるように 感謝という言葉さえ今やっとみつけました
私をすなおにするためにあなたのやさしい微笑がいり あなたのためには私のが
夜(よ)が更けて空がだんだんにぎやかになるように 瞳は静かに輝きあいましょう
よい想いで空を満たしましょう
心のうちにきらめく星空を持ちましょう

……親友の明日香さんを癌で亡くしたはるひさん、今まさに同じ癌で闘病中の古村さんを前になにを思うのかな。
自分も、母や、敬愛する音楽家の岡崎律子さん、大城光恵さんを癌で亡くした。
朗読でいろいろと思い出し、涙が、。

 

ライブも佳境。
「蜂蜜月」は岩男潤子さんに贈った曲を手直ししたもの。次のアルバムに収録したい曲だそうです。
そしてお終いは、未収録曲の代表のような名曲「ロータスの岸辺」。
これも寂寥と同じ日に初めて聴かせてもらった思い出があります。

※後半セットリスト
桜の頃
ソラ
SEED
ぼくはここだよ!~ぼくはくま
生まれ来る子供たちのために(※オフコースのカバー)
蜂蜜月
ロータスの岸辺

※アンコール
悲恋酒

盛大な拍手で再登場するはるひさん。アンコールも配信ありました。
お礼の歌は「やさしさのリレー」あたりかなと想像していたのですが、人前で初めてうたった原点の曲だとしてまさかの「悲恋酒」。
中学生でポプコン初出場の頃、当時歌詞のみの應募もあり、その、誰かが書いた歌詞をヤマハのお店で偶然読んでできたというエピソードのある曲です。

最後にはるひさんのスマホで会場の観客と記念撮影。
ライブは終わりました。