西の果て(後篇) | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所
若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

白木峠に出る道を探して進む。
道は細かく別れていて、分かりにくい。

結局、だいぶ下の方まで下りて登り直すことに。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

今度は比較的最近立てられたとみられる案内板があった。白木峠まで徒歩45分とある。
時々霞に乗り、比較的平坦な林道をゆるゆると進む。

目指している十坊(とんぼ)山。特徴的な名前で、小学六年の鍛錬遠足で登ったことがある。
31年ぶりだな。
遠足前の休みの日に先生たちが登ってみて、思いのほか険しかったので、とり止めようかと思ったと話してたこと。
麓か、驛のところまで、確かバスで来たこと。
途中、川を石伝いに渡るところがあって、石に苔が生えていて滑り、浅い川(福吉川?)にはまって服を濡らしたこと。
山頂の様子。
それから、友だちの何人かがその山頂辺りで水晶を見つけて持ち帰ってたこと。
あげると云われたけど、何故か断っちゃった。あの頃は貝殻しか興味無かったな。

懐かしく、思い出すけど、こんな山だったかな?というのが来てみての正直な感想。
山道はコンクリートで覆われ、見渡す木々は植林の杉林。
山の、けっこう高いところまで民家があり、この更に上にはゴルフ場も。
福吉川も、コンクリートに覆われていた。もちろん石伝いに渡るところなんか無い。

30年も経っているからとも思うけど、あの記憶は別な山だったのかなと感じる。
小学五年の林間学校で登った山は、何処だっただろう?
確かキャンプファイヤーをして、満天の星空がきれいだったのを憶えてる。
何処だったかな?思い出せない。引っ越ししたとき出てきた卒業アルバムにも場所は書いてなかった。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

予定が大幅に狂ったが、10時半にようやく白木峠に出た。
車道を少し走ると、十坊山登山口があった。車道の反対側は、浮嶽の登山口。
子供の頃は無かったと思う車道が、十坊山と浮嶽の登山口を分けていた。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

まともな登山は実に久しぶりですでに疲れ果てていたが、此処までついてきてくれた霞を道路脇に泊め、十坊山頂を目指し、歩きはじめた。

私は心が弱い。

心が弱いから、すぐに動揺するのだろう。

もっと心を鍛えなければ。

もっと。

もっと。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

誰も居ない山道を黙々と歩いているあいだは、何もかも忘れていられる。

登りはじめて30分。

ピューと鳴き声。

広い場所に出た。

鳶が4羽、突然の訪問者に慌てて飛び立った。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

十坊(とんぼ)山は標高535m。
福岡県と佐賀県の県境を東西に伸びる脊振(せふり)山脈の、最西端のピークだ。
かつての旅で、最高峯の脊振山をはじめ、井原(いわら)山、雷山(らいざん)、九千部(くせんぶ)山を登頂したことがある。

誰も居ない山頂。
福岡県の西の果て。福岡県糸島市(旧糸島郡二丈町)と佐賀県唐津市(旧東松浦郡七山村)を跨ぐ山頂に、自転車と徒歩だけでたどり着いた。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

5、6mくらい?はあったかな。巨岩に鎖がつけてある。
さぁ、クライマックス。疲れた躰でよじ登った。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

$若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

東に浮嶽、それから、西に唐津灣が見渡せた。
北の方角に、以前の旅で歩いた姫島も見える。

他の人が車や電車で麓まで来るところを、全て自転車に乗って来た。

ボロボロの勝利に、いったい何がある?とも感じた。

こんなに弱い、ちっぽけな人間だったかと、思い知る。

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

下山し白木峠に戻ったが、浮嶽へ縦走すると更に1時間以上掛かる。帰りの長距離移動のことも考えると、時間的体力的に無理と判断し、帰路に着いた。

途中で遅い昼食を食べ、帰宅。
4時に家を出て15時頃に帰り着きました。


この日の「霞」のサイクロコンピュータのデータです。
山道を押して歩いた分も含みます。
走行時間:5時間47分29秒
走行距離:80.62km
平均速度:14.1km
最高速度:39.5km

携帯電話ウェルネスの歩数計。
23677歩、14442m
でした。


旅というものはそれを感じた人の数だけあり、大切なことはそれを「感じられる」かどうか。

自転車と徒歩のみ、離島だけ船に乗る「ちいさい旅」。

風に吹かれて、次は何処へ行こうか。