君と僕の物語 (第二話) | 若宮桂のブログ・空と海がぶつかる場所

お気に入りの場所 軒下の冷たいコンクリート
夜は星見上げ君と過ごした日々 思い出す


人見知りの僕 誰からも愛される君
対照的だけど いつもどこでも一緒だった


ある日、君がいなくなった みんな心配をしていた
どこへ行ってしまったの? なにも言わずに


君を探した 昼寝をした屋根の上 塀を越えた抜け道
君はいなくなった 僕をひとり、残して


お気に入りの場所 ママのひざの上 温かいな
心地いい眠気が 夢の世界へ連れてゆく


あの頃みたいに 駆け回ったりもできるんだ
君と競争した あの路地や森への迷路


目を覚ますとそこに 君はいるはずもなく
どこへ行ってしまったの?なにも言わずに


君を探した かくれんぼした草むらも 大きな駐車場も
僕は年をとった 君を、探し続けて


目も耳も悪くなって 身体も思うように動かない
君が帰ってきたら したいことが沢山あるのに


君を探した 昼寝をした屋根の上 塀を越えた抜け道
君はいなくなった 僕をひとり、残して


君を探した かくれんぼした草むらも 大きな駐車場も
僕は年をとった 君を、探し続けて


君を探した 戻らない日々の面影 薄れる君の記憶
僕は年をとった 君を想い続けて


僕は今も探してる


君の姿探してる


作詞作曲、吉崎硝子 。「君と僕の物語」より。





今は猫の仔1匹居ないこの家だけど、子どもの頃からいろいろなものを育ててきた。否、育てたという言葉は不適切かもしれない、。


せきせいいんこ、十姉妹(じゅうしまつ)。
他に野鳥の雛も保護したことがある。1羽育てようとして死なせ、他に動物園に保護を依頼したことも。
かぶとむし。
きんぎょ。
かたつむりも飼ってたな。冬になると殻口に繭張って冬眠する。
白い鳩。たぶん伝書鳩だと思うけど、何故か部屋に入ってきて、飛んで逃げればいゝのに出ていかないので、暫く一緒に暮らした。数日後、ひとりで飛んでいった。


今日は、そんな自分が初めて猫を育てることになった時の話。


当時のカメラ(妹のAutoboy Jet)の記録によると、1992年5月25日のことらしい。
その日は確か仕事が休みで、外出先から帰宅途中だったように思う。
自転車で走っていると、自宅近くの道路脇の植え込みに何か動くものを見かけた。
帰宅した後、何故か気になり、家にいた妹と歩いてその場所へ行ってみた。


それは仔猫で、震えていた。


猫の飼育などは禁じられているが、連れて帰ることにした。



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この家に猫が来たのは初めて。それどころか猫に触ったこともそれまでほとんど無かった。
ご飯は?トイレは?いったい何をどうすれば。
今では考えられないけど、当時キャットフードや猫専用のトイレがあることも知らなかった。
古い漫画等のイメージから、猫は、ご飯にカツブシかけたものや生魚、魚肉ソーセージなんかが好きなんだと思ってました。
そんなものや牛乳を軽く温めたものを与え、トイレは、よく分からなかったのですが、風呂場へ連れて行くと隅の方を激しく引っ掻きはじめ、そこで用を足していました。
引っ掻くのは砂を掘る動作なんだと、後で知りました。


はじめこそ借りてきた猫のように大人しい雰囲気だったのですが、そこは仔猫、だんだん本領?を発揮。狭い部屋を走り回ったり、ボールを蹴ったり。
自分も一緒に遊びました。
ゴミ箱に顔を突っ込んでしまって、中に入っていた竹串で顔を軽く怪我したこともありましたね。
猫が触ったり登ったりすると危ない所を直していきました。


なにもかも初めてのことで周囲にも猫に詳しい人がおらず、ネットも無く、それなりに奮闘しました。今にして思うと、本など買ってくればよかった。


仔猫は夜になって段ボールのなかに入れるとおとなしくだいたい朝まで寝、朝になると箱のなかで鳴きはじめて起こしてきました。ベランダへ連れて行くとひとりで遊んだり外を眺めたりする、基本的には自分の知る限りの猫で最も聞き分けの良い猫でした。


性別は分かりませんでしたけど、妹はそんな仔猫に「うらら」と名をつけました。


外へ連れ出すと、こわいのか、また動かなくなりました。


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1週間ほど経ちました。
可愛いけど、いつまでも一緒に暮らせない。
妹は、当時勤めていた職場の同僚などに引き取り手を探してもらうことにしたようです。
そして、それはすぐに見つかりました。


確か妹の職場同僚の彼氏で、面識の全く無い人でしたけど、猫が好きだということでした。
その職場同僚女性の車で、妹がつき添い、連れて行きました。
車内で、一度だけ鳴いたそうです。


初めての猫飼い、猫里親探しは、こうして僅か2週間も経たないうちに終わりました。
自分は、狭い部屋が急に広くなったなと感じました。

これ以後数匹の猫と関わり、何度か味わうことになる、虚無感、のようなものを初めて感じたのでした。

風の噂で、毎朝新しい主の顔をかじって起こしに来ると聞いたけど、その後あいつがどうなったか分からない。


今こうして思い出すと、当時の自分はあまりにも無知で、保守的で、消極的で、向上心の無い男だったな。