☆ 「おな神の森」 (熊野参詣道 高野坂)
紀伊国牟婁郡
和歌山県新宮市新宮・三輪崎
(アクセス・駐車は下部写真参照)
丹敷戸畔(ニシキトベ)ゆかりの史跡。
「熊野川」河口から続く王子ヶ浜の最南端から広がる丘陵地。標高はせいぜい50mほどでしょうか。700~800mほどの一帯。
「熊野参詣道 高野坂(こやのざか)」が南北を縦断しています。
「おな神の森」という名称についての謂われは不明。江戸時代にそう呼ばれていたとする資料も。見晴らしの良い場所「お眺め」からの転訛とも言われていますが。
察するに「女神(おんながみ)」ではないかと。つまり丹敷戸畔を指していると。
また琉球の「をなり神」信仰が伝播したという可能性もあるかと。
柳田国男は妹(をなり)の女性の霊的な力によって兄や弟を守ったとし、これは田植え時の「ヲナリ」と共通のものと考え、琉球とヤマトに見られるとしています。ところが「をなり神」は航海の神ともされることから、当地にも伝播した可能性もあるかと考えます。
丹敷戸畔の文献記述は記紀に少し見られる程度、また伝承も少なく、実態はよく分かっていません。当地は拠点の一つであったかと思われます。