野上神社・石荒神社
(のがみじんじゃ・いしこうじんじゃ)


大和国添上郡
奈良市春日野町
(要入山料150円、「南ゲート」から入ってすぐ)

■祭神
[野上神社] 草野姫命
[石荒神社] 火産霊神 


「若草山」の西側麓、一棟の小祠と磐座らしき巨石が座す2社。春日大社の境外末社。小祠が野上神社で巨石が石荒神社。
◎野上神社は春日大社側の見解は以下の通り。「古都奈良の正月の伝統行事『若草山の山焼き』では、この御社で祭典を行ってから全山に点火されます。御祭神は火の神様であり古来、火難除けの信仰が篤い御社です」と。
ご祭神として鎮まる草野姫命は、「草の神」であり、記では野椎神(ノヅチノカミ)と表されるように、「野」に生える「草の神」。「若草山」は山焼きされることあり、人々が目にする平城京側(西側)斜面は草野姫命が鎮まるに相応しい広大な野原状態。春日大社側は「火の神」としているのは石荒神社の関連からと思われますが、やはり「野の神」であろうと思います。可能性としては、古くは火産霊神であったということ。
◎石荒神社は磐座そのものが御神体であり、それを直接拝する社。野上神社の御神体であるとも。また春日大社の式年造替には、工匠の代理である陰陽師が社前にて荒神祓を受けるとされています。
これらの内容から判断して、野上神社はかつて火産霊神を祀る社で、石荒神社はその荒御魂を祀る社であったのではないかと。山焼き後の焼け野原から草が生え出した様子から、いつしか草野姫命を祀る社となったのではないかと。