石部神社 (いなべ市大安町)


伊勢国朝明郡
三重県いなべ市大安町石榑南2017
(P有)

■延喜式神名帳
石部神社 二座 の論社

■旧社格
村社

■祭神

[合祀] 大国主命 天児屋根命 誉田別命 大山津見命 市杵島姫命 火産霊神

*祭神名は三重県神社庁データによる
*社頭案内は天日方奇日方命と大物主命としている


鈴鹿山脈の「竜ヶ岳」(標高1099m)の東側麓の丘陵地、深い樹叢に包まれ鎮座する社。ご本殿は鈴鹿山脈を背にして建っています。
◎創建由緒等は伝わっていないようです。ご祭神は天日方奇日方命。全国に点在する石部神社或いは石邊神社で祀られています(さらに遠祖を祀る社もあり)。
◎それらの多くは石辺公氏が奉斎したとされる社。式内社も多く謎を深めている要因の一つに。磯部(磯辺)からの転訛、或いは磐座信仰(もしくは石神信仰か)に端を発する氏族なのか、想像ははたらくものの如何せん不明氏族。
◎この氏族については「新撰姓氏録」に、「左京 神別 地祇 石辺公 大國主(古記一云 大物主)命男久斯比賀多命之後也」と見えます。
斯比賀多命(天日方奇日方命)は大物主神と活玉依毘売(陶津耳命の娘)との間に生まれた御子。曾孫に意富多多泥古(大田田根子)がいます。「先代旧事本紀」には神武天皇の御宇、「食国政申大夫(おすくにのまつりごともうすまえつきみ)」として宇摩志摩治命とともに橿原宮に供奉したとあります。
◎三重県神社庁は「員弁雑誌」という書から引用したものを掲げています。「御神体は石三箇、中なるは大にして左右は小なりと云」と。その書では「式社神躰考」を引き、「祭神 事代主の子 天日方奇日方命と石邊公 ニ座也」と。他ニ書の引用も同様に石邊公の祖としています。
また神社庁は「員弁郡郷土史料」という書に、「天日方奇日方命、大物主神、天兒屋根命、譽田別命、大山津見命、市杵島姫命、火産霊神を祭神とす」とあるのを挙げており、これを採用しているようです。
これらに対し「布留屋草紙」という書は、天日鷲命という阿波忌部氏の祖神を挙げています。根拠は不明。
◎なお式内論社として四日市市朝明町の石部神社(未参拝)も挙げられています。こちらは天照大神と天児屋根命がご祭神。


一の鳥居、駐車場ともに国道421号線沿いに。一の鳥居の向かってすぐ左にあります。


参道は150m余りほど一直線に。




ご本殿は高台に。

背後を見渡しますが磐座等は見受けられず。

忠魂殿のようです。