大森神社 (熊野市育生町)


紀伊国牟婁郡
三重県熊野市育生町尾川648
(社前に駐車スペース有り)

■祭神
天兒屋根命
倉稲魂命
八幡大神
(不肖一座)


「どぶろく祭」で知られる社。熊野市の奥地、長閑な山村集落内に鎮座。隣は奈良県上北山村。
◎境内横を「尾川川」が流れます。東南の育生町「粉所(こどころ)」、西の育生町「長井」、そして当地 育生町「尾川」と3地区の氏神。特に「粉所」は「神所(こうどころ)」の転訛とされ、遥か30km近くも離れた、新宮市に鎮座する阿須賀神社の神領であったことによるものとか。
また「粉所」から拝する「大丹倉」はとても美しいようです(未確認)。古くからの特別な地であったことと思われます。
◎創建由緒については、建宝元年(1213年)に地元の民 南太夫という者が大和国の春日大社に詣でた際に、下賜された鏡を祀ったものとしています。したがって原初のご祭神は天兒屋根命。
◎時代は下り承応元年(1653年)には洪水により社殿流失、川下の現社地にて再興されたと。氏子地域を考えると、遡っても200mほど上流辺りまででしょうか。
明治には育生町「長井」のさらに西隣の高瀬神社(應神天皇)、さらに上流の丹倉神社(祭神不肖)、境内社の稲荷社二社(倉稲魂命)を合祀したと伝わります。うち丹倉神社は現在も奉斎が続けられています。
◎「どぶろく祭」については鎌倉時代からおおよそ800年続くとしていることから、創建時に端を発するものでしょうか。原料となる米の収穫祭であるとも言われますが、11月末に行われていることから、収穫を含めた「どぶろく(濁酒)」の醸造奉納の祭事かと思います。過疎地の集落ながら祭は大いに賑わっているようです。
◎江戸初期の遷座復興とはいうものの、境内は非常に神寂びた雰囲気を醸しています。またこの上なく美しい清流が酒を美味しくしているのであろうと思います。


この奥は深い山々。「大丹倉」もこの奥に。





拝殿前から鳥居方面を。

禊場へ。


とても美しい清流「尾川川」。神の坐すところが源流、いわゆるご神水。