☆ 大丹倉
(おおにぐら)
紀伊国牟婁郡
三重県熊野市育生町赤倉
(「尾川川」沿い、県道52号線の途中に絶景スポット有り)
高さ200mまたは300m、幅500m(資料により異なる)の岩壁が大きく顔を覗かせている、「大丹倉(おおにぐら)」という呼称のスポット。
丹倉神社(あかくらじんじゃ)があり、地名は「赤倉」。本来の訓みは「大丹倉(おおあかくら)」だったのではないかと。
冒頭の写真通りに思わず目を惹かれるものであり、とても神々しいもの。車を走らせている道中、発見して車を停めて遥拝しました。
過去には丹倉神社の参拝までで断念、もう7~8年前だったように思います。そして今回は周辺を巡ったのみ。
山頂には高倉剣大明神が鎮座、御神体として自然石が鎮められているようです。またこの「大丹倉」の頂に登ることも可能。
今回はそこまで向かわず、またの機会のお楽しみに残しておきました。
「丹」とはもちろん丹砂や鉄の採鉱が行われていたことによるもの。「倉」は絶壁のことを言うらしい。
岩肌が赤味を帯びているのは鉄成分によるもので、地名の「赤倉」も同様。また異なる尾根の東方は「金山」、鍛冶神を祀る金山神社が鎮座しています。
採鉱がいつの時代から行われていたのかは不明。豊臣秀吉に度重なる武具の献上を行ったという武士(修験者でもあったらしい)の屋敷跡があったとされ、少なくともその頃までは遡ることができます。
熊野の信仰の多くは修験者によって塗り替えられてしまっており、上古の信仰の様子が見えにくい地。当地もその一つで、この絶壁を利用して修行を行ったとことで有名になっています。
これほどのものであれば、弥生以前からの信仰が存在し、その頃から採鉱が行われていたようにも思うのですが。
もちろん当時は「大丹倉」の上に登ることなどもっての他だったのでしょうが。