☆ 象の小川 (桜木神社周辺)
(きさのおがわ)



大和国吉野郡
奈良県吉野郡吉野町喜佐谷
(桜木神社駐車場を利用)



「吉野川」の支流、「宮瀧遺跡」のちょうど対岸方向へ流れるのが「喜佐谷川」(きさだにかわ)。その古名が「象の小川」。



万葉歌にも多く歌われた風光明媚な名所。



天武天皇、持統天皇の思い出深い地であり、また以降聖武天皇まで続いた「吉野宮(離宮)」は、「宮瀧遺跡」にありました。



また源義経や、近年では万葉集研究の第一人者 故犬飼孝氏なども、この美しさに魅入られた人たち。


今回は桜木神社境内のみを。近いうちに周辺の関連史跡を巡りたいと思います(寺院や新しい時代のものを除く)

そう思ってから既に4~5年経っていますが、体力が付いた今こそ必ず!

その際には記事を改訂し、この美しさを余すことなく紹介したいと意気込んでいます。

紅葉時期がもっとも美しいのでしょうが、人が増えそうなのでもちろん外します。

◎「象(きさ)」については「吉野町史」に、ギザギザ、木目文のようにS字型に蛇行する状態を言うとあるようです。信州「木曽」も「キサ」からの転訛であるとか。
また「象」の字が宛てられていますが、象牙文が木目に似ているからのようです。紀の天智天皇の条には、「象牙(きさき)」という記述が見られます。
◎万葉集 巻三 大伴旅人が聖武天皇の吉野離宮行幸に従った際の歌

『昔見し 象の小川を 今見れば いよよさやけく なりにけるかも』

◎万葉集 同じく大伴旅人の歌

『わが命も 常にあらぬか 昔見し 象の小川を 行きて見むため』

◎万葉集 巻六 山部赤人

『み吉野の 象山の際の 木末には ここだもさわく 鳥の声かも』



◎万葉集研究の第一人者 故犬飼孝氏は、この一帯をこよなく愛され、「(吉野は)吉野離宮があったといわれる宮瀧を中心としているから、稚児松から喜佐谷を下る道は、万葉の核心に近づくと言ってよい」とまで言っておられます。