桃尾の滝


大和国山邊郡
奈良県天理市滝本町
(P有)


石上神宮の創祀創建にまつわる深淵な端緒となる「布留川」の上流にある滝。すぐ下には石上神社が鎮座します。

空海などという僧侶がこの聖地を奪い取り、密教の輩たちが群れる地と成り果ててしまっていますが、原初はすぐ下の石上神社を含めて石上神宮の元社であったのではないかと考えられます。もしくは創祀が当地であったのではないかとも。

石上神宮の創祀創建にまつわる伝承は以下のもの。「布留川の上流から一振りの剣が流れてきた。その川の下流に洗濯をする娘がいたが、洗っていた布の中にその剣が留まった。それまで触れるものすべてを切っていた剣が、その布だけ切らなかったことを不思議に思い、石上神宮に奉納した」と(石上神宮HPより大意抜粋)。

「布留」の地名説話にもなっている説話ですが、この剣が石上神宮の御神体である可能性も。またその「布留」の地が当地であるのかも。

石上神宮の別名は「布留社(振社)」。そもそも上流のこの見事な滝に対して太古からの信仰が無かったとは思えず、創祀には何らか関わっているはずであろうと考える次第。

一方「桃尾」を「トビ」と読み、石上神宮を奉斎した物部氏の祖神である饒速日命にゆかりがある「トビ(トミ)」と結び付ける説も根強くあります。

こじつけのようでもありますが、いずれにしても深い謎があるようです。