佐備神社


河内国石川郡
大阪府富田林市佐備467
(境内に駐車可、下部写真参照)

■延喜式神名帳
佐備神社の比定社

■旧社格
村社

■祭神
[左相殿] 松尾大神(大山祇神 中津嶋姫神)
[右相殿] 春日大神(建御賀豆智命 伊波比主命 天子八根命 比売神)


富田林市の郊外「佐備(さび)」、金剛山系(高天山)の北西麓に鎮座する社。
◎「サビ」は鉄の古語とされ(真弓忠常氏など)、産鉄氏族が奉斎した社であろうと推測されます。「高天山(金剛山)」の河内国側は千早赤阪村。「千早」は「血原」の転訛であろうと考えられ、やはりこちらも産鉄を連想させる地名。南方の咸古神社もまた神名帳においては「咸古神佐備社」と記されており、同様に産鉄に関わる社であろうと推され、関連を持った社とみるべきでしょうか。
◎当社は佐味氏が奉斎した社であろうと考えられています。「新撰姓氏録」には「右京皇別 佐味朝臣 上毛野朝臣同祖 豊城入彦命之後也」とある氏族で、上毛野国という東国を拠点としましたのか。豊城入彦命は崇神天皇皇子。
「高天山」の東側、大和国の葛上郡に「佐味」の地名が残る他、近江国伊香郡に佐味神社(記事未作成)、越前国丹生郡や大和国城下郡にも痕跡がみられるようです。
◎ご祭神は天太玉命。言うまでもなく忌部氏の大祖ですが、忌部氏の流れを汲む佐味氏が…などという情報がネット上で流布していますが、忌部氏と佐味氏を結びつける資料は見当たりません。おそらく両氏に関連が見いだせないため、「流れを汲む」などという表現で濁したのであろうと思われます。
本来は近江国の佐味神社のように豊城入彦命を祀る社であったものが、いつの頃からか祭神が刷り変わってしまったとみるべきではないかと考えます。


境内北方から西側をぐるりと回り込んで境内へ。この道以外は狭く少々困難。

一の鳥居。こちらには駐車場がありません。おそらく車は軽以外通り抜けられないと思います。






ご本殿右横(向かって左横)に並ぶ境内社。水分社あるいは天神社。