先日「大和橘」に携わっておられる方とお会いする機会があり、貴重なお話を頂きました。


*「橘」とは…

「橘」と言えば真っ先に浮かぶのが田道間守神(タヂマモリノカミ)。
第12代垂仁天皇の御宇に勅命で、「非時香菓」を求めて田道間守の常世国への派遣が行われました。「絶域!」と称したとんでもない僻地へ10年かけて往来。戻って来たときには既に垂仁天皇が…。悲劇の忠臣として、垂仁天皇陵の脇に寄り添うように小島が築かれています。
この「非時香菓(ときじくのかごのこのみ)」が「橘」のことであろうと。

また「源平藤橘」と称された日本の名門四大姓でもあります。橘諸兄に橘奈良麻呂、橘逸勢…らが教科書にも記される受験生必須の著名人でしょうか。

聖徳太子ゆかりの橘寺、社寺の境内にも植えられていたり、和歌にも詠まれたりと、何か「特別な植物」であろうという大まかな認識はありました。いわゆる御神木なのであろうと。
田道間守神が探し求めたのは「不老不死の妙薬」である「橘」ということでしたし。


(垂仁天皇陵内の「伝田道間守墓」)



*「大和橘(ヤマトタチバナ)」とは…

日本固有種です。ただこれが元から日本に自生していたものなのか、大陸から運ばれてきたものなのかは不明。そもそも田道間守神が持ち帰ったと記されています。
どうやら中国南部から東南アジアに植生していたようです。人為的なものか、あるいは渡り鳥や黒潮などによって運ばれてきたものなのかは分かっていないようです。もし人為的なものであるなら田道間守神によってということなのでしょう。また沖縄のシークワーサーが原種などとも言われているとか。この辺は植物学の方々におまかせするとして…。


(橘諸兄公を祀る近江国甲賀郡の新宮神社)



*「不老不死」の妙薬…?

10年の歳月をかけて命懸けで探し求めたほどの「橘」。それはもう大変な妙薬なのでしょう!
「不老不死」かどうかはともかく…やはり凄い効能があるようです。抗がん・抗認知・抗酸化・抗ウィルス・血圧降下・肥満抑制、芳香、美白作用etc…いやこれもう「不老不死」やん!みかんの40倍もの有効成分が含まれているとか。


(龍神のお告げで一夜にして橘が実ったという伝説がある大和国の廣瀬大社。橘は左下に)



*絶滅危惧種…!?

けっこうヤバイらしいです。詳しくは分かりませんが、このまま歴史から消え去ってしまうのでしょうか。既に今の子供たちのほとんどが橘の存在すら知らないと思われます。
田道間守神はどれだけ哀しむことでしょう…。


(田道間守神が「非時香菓」を手に入れ帰国、神籬を立てて奉斎した丹後国の売布神社)



*「橘」の復活へ向けて!

絶滅しつつある「大和橘」を復活させ、また「不老不死」の妙薬とも言われる素晴らしい効能を生かして、お菓子などの商品開発を目指そうと立ち上がった方が奈良にはおられます。
それが「なら橘プロジェクト推進協議会」であり、先日お会いできたのがその会長様。冒頭写真はまず第一号として植樹されたようです。「山の辺の道」や「橘街道」沿いにも、奈良県や自治体、社寺などと提携をして植樹。既に奈良県内に数千本もの植樹をなされています。

新年早々自身にとっては大変おめでたい出逢いを賜りました。昨年末にはB型インフルなどという、大変ありがたくない出逢いがありましたが…。

今後は「大和橘」に少々関わっていくことになるかと。微力ながらお力添えができればと思っています。



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