宇流冨志彌神社
(うるふしねじんじゃ)


伊賀国名張郡
三重県名張市平尾3319
(有料Pが向かいに有り、駐禁ではあるが鳥居前に近隣住民が多数長時間停め置きしています) 

■延喜式神名帳
宇流冨志弥神社(うるふしみじんじゃ)の比定社
名居神社の論社

■旧社格
県社

■祭神
宇奈根命
[配祀] 天照大神 武甕槌神 經津主神 天兒屋根神 姫大神 大物主神 火之迦具土神 宇迦之御魂神 建速須佐之男神 仁徳天皇 應神天皇


「名張川」北岸沿いに鎮座する式内比定社。「木津川水系」、最終的には「淀川」に流れ込みます。大きく屈曲する平地、現在は名張駅近の市街地の真ん中ですが、往古は農耕に適した肥沃な土地であったことが想像できます。
◎「名張川」対岸の積田神社東側の丘陵地は縄文・弥生時代からの遺跡があり、その頃から人々が住み着いた地。また近世には「初瀬街道」の宿場町として栄えました。
◎社名は「潤う伏水(ふしみ)」からきているとする説が有力。地下岩盤による伏流水があるとか。また別説として当社が「宇奈抵社(うなてのやしろ)」と称されることから、田に水を引く溝という意味で「水」に関連する社であるともされます。
当社からさらに「名張川」に近付くと、用水路として引き込んだ「高岩井堰碑」が史跡として設けられているとのこと。「弁天磐」が座し、当社神職が古代から「岩祭り」を行った祭祀場、または旧社地とされています(現地未確認)。
◎ご祭神の宇奈根命は「川のうねり」のことであると社側は解しています。ところが「式内調査報告」ではこの説を否定、「名張川」の屈曲を「首の付け根」に見立てて「付け根」からの転訛としています。
◎いずれの説も多少の強引さは否めないものの、詰まるところ「名張川」を水源とした水神を祀り、五穀豊穣を祈る社であると言えるでしょうか。
◎また当社は元伊勢である「隠市守宮(なばりいちのもりのみや)」の候補地の一つ( → 「倭姫命世記」血汗涙物語 10 隠への記事参照)。当社に対する天武天皇からの奉幣の多さから鑑みて、有力地であると思われます。
他の候補地は名居神社美波多神社に合祀された田村大明神、蛭子神社、瀬古口稲荷神社に合祀された三輪神社。
◎ご祭神は他に春日四神も見えます。春日大社に鹿島神宮(未参拝)から武甕槌神の神霊を遷した際に、近くの積田神社に一旦留め置かれました(「南都春日神社奥宮」と称している)。その神霊を当社に勧請してきたようです。

*写真は2016年頃、2018年5月、2021年7月撮影のものとが混在しています。