磐船大神社


河内国石川郡
大阪府南河内郡河南町平石484
(Pは手前の高貴寺の駐車場を利用、そこから10分ほどの登山が必要、整備済みで登山装備不要)


■祭神
饒速日命 外十柱


「先代旧事本紀」にある「饒速日命、十種のみたからを奉じ 天磐船に乗りて河内国河上の咆峰(たけるがみね)に天降り給ふ」にちなむ社。
◎鎮座地は「岩橋山」(標高658.8m)の西方、標高280mほどの山中。南方麓には「平石」集落。境内に座す平たい巨大磐座を由来とする地名かと思われます。

◎ご本殿付近には全48体の巨石が点在、ご本殿裏の巨石をご神体とし、おそらく太古は社殿もなく巨石(磐座か)を中心に山全体を祭祀対象としていたのだろうと思われます。社頭案内には「天磐船をはじめ、浪石、燈明岩などの巨岩奇岩が多数存在」としています。
◎とりわけ目を引くのが拝殿とご本殿の間の西方斜面に座す二体の平石。正確には測っていないものの、二体とも南面していると思われます。表面を平たく加工し据えた、いわゆる「磐座」と解して良かろうかと。縄文以前からの「太陽祭祀」を行っていたものでしょうか。
◎当地は蘇我氏の影響力が強いところではありますが、大伴氏の本貫地も近くにあります。饒速日神が天降った河内国河上の「咆峰」はおそらく生駒山系で間違いないところでしょうが、傍系などが当地に移住して遠祖を偲んで祀ったと考えています。まさに饒速日神を祀るに相応しいところと感じたのではないかと思います。
◎なお河南町持尾にも磐船神社が鎮座しますが、当社から勧請されたようです。こちらも物部氏の移動があったと考えられます。
◎創建年代は不明。社頭案内に掲げられるご祭神は「饒速日命 外十柱」。別に摂社として「豊受大神 外十柱」となっています。
これとは異なり、主神 天照國照彦天火明饒速日尊、上座 高皇産霊神と天照大神、左相殿  底筒男神・中筒男神・表筒男神と息長帯媛尊、右相殿 応神天皇(品陀別天子八幡宮)と可美真手命(可美真手命若宮)・御炊屋姫命(御炊屋姫命瀧宮)とするものも。
◎社殿はおそらく高貴寺が創建されてから建てられたもの。明治の神仏分離令により現在は廃寺となっています。また当社はご神木から「栂の宮(または樛宮)」とも呼ばれています。高貴寺の鎮守社と成り果てた際に付された社名のようです。

◎ご神域の写真集


高貴寺Pからの参道。

参道途中の陰石。

山中にあるため鳥居下に獣除けのロープが張られています。


拝殿

ご本殿へ。




中央に見えるのがご本殿裏のご神体。5mほどの大きさでしょうか。

地名の平石の由来ともなったと思われる巨石、磐船。こちらは10mほどの大きさ。

下にも巨石が一体。周辺にゴロゴロと座しています。

境内社の背後にも巨石。