稲代坐神社


大和国高市郡
奈良県橿原市一町502
(境内に駐車場あるが氏子以外使用禁止、いつも一の鳥居前の小さなスペースに停めています)

■延喜式神名帳
稻代坐神社 大 月次新嘗の比定社

■旧社格
村社

■祭神
(不明)
※ 豊宇気姫命または御歳神


「曽我川」西岸畔、起伏の一切無い広大な田園地帯の一角に鎮座する社。
◎社名から農耕神であることが伺えます。
廣瀬神社(廣瀬大社)の摂社田中神社(現存せず)の「社記略称」には、「摂社田中神社一座御歳神、本社同国高市郡巨勢にあり、所謂稻代神社是也、件の神は稚産霊命(ワクムスビノミコト)之子亦の名豊受姫命。俗に稻魂神と云う」とあります。つまり廣瀬大社の摂社の田中神社の本社は稲代坐神社であり、ご祭神は豊受姫神であるとしています。そして田中神社のご祭神御歳神は、稲代坐神社から勧請したとしています。
◎すぐ西隣に大和高田市大字「根成柿」という地があります。これは「小字ネナシカキ」に「稲生(いねなり)」の神が祀られていて、これが「根成」に転訛。これに「垣内」が付き、「根成垣内」となったが、後に「根成柿」になったとされています。「稲生」の神が祀られていた地は調べきれていません。また式内社 稲代神社が鎮座していたとのこと(「角川日本地名事典」より)。おそらくは式内大社比定社 稲代坐神社のことかと。つまり当社ではないかと考えます。
◎かつては幣帛にも授かる式内大社、稲魂を祀る壮大な神社であったことでしょう。歪んだ鳥居に寂れた社殿、誰も訪れない寂しげな境内、大和の古社ならではの趣になっています。