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ZEL's:写真とジオラマとプラネタリウム

趣味は写真、プラネタリウム巡り、科学施設巡り、ジオラマ初心者、フィギュアスケート観戦、かつてはゲーム音楽の作曲も。
2021/8月にこのブログを開設。

原子力研究所 2024施設公開のつづき。

 

 

 

この建屋では、各種研究成果のパネル展示などがありました。

その中で興味深かったものが一つ。

 

ウラン蓄電池。

 

(JAEA HPより引用)

 

ウランと聞くと、「なぜそんなに危なそうなものをわざわざ使って電池を作るのか?」と思ってしまいます。

しかしこれには理由があります。

 

ウランにはウラン235とウラン238があります。

核分裂しにくい ウラン238 が99%以上の「劣化ウラン」が日本に1万トン以上あるとのこと。

簡単には廃棄できず、ただの厄介者になっています。

これを有効利用しよう、という考え方。

 

資源の少ない日本でも作れる電池は、なかなかありません。

例えばリチウムイオン電池を作ろうと思うと、海外からリチウムを輸入する必要があります。

しかしウラン蓄電池の場合、原料の劣化ウランがすでに日本に大量にあるわけです。その点では面白い発想だと思いました。

 

ただ放射性物質にはなるわけで、ご家庭に設置、というわけにはいかないでしょう。

大型の蓄電池設備として、管理された場所にのみ設置することになるでしょう。

安全に製造することができるのか、また安全に管理し続けることができるのか、今後の動向に注目です。

 

さて、最後は食堂です。

科学施設に来たら、極力そこの食堂で食事をするのが私の趣味です。

 

 

施設公開でかなり限定されたメニューのようでした。

でも普段は職員や研究者の方でしか利用できないところで食事をするというのがいいのです。

 

 

シンプルなそばをいただきました。

こういうのでいいんです。

 

 

<訪問日:2024年10月>

原子力研究所 2024施設公開のつづき。

 

事前申し込みで当選すると見学できるコースがありました。

 

・原子炉安全性研究炉 NSRR

・研究用原子炉 JRR-3

ほか

 

私も申し込みましたが、残念ながら落選。

しかし、NSRRで実施されたパルス運転=「チェレンコフ光」が別の会場でライブ中継されたので見てきました。

 

 

 

 

原子炉安全性研究炉 NSRRは、原子炉が暴走する(出力が急激に上がる=反応度事故)を安全に模擬できる特殊な原子炉。

 

 

制御棒を一気に引き抜くことで、出力を急上昇させる仕組みです。

「そんなことをしたら危ないのでは?」

 

出力が急上昇

→燃料温度が上がる

→燃料中の水素のエネルギーが上がる

→中性子を減速させにくくなる

→核分裂反応が減少

→自然に原子炉の出力が低下する

 

このような仕組みで、安全に出力が低下するようです。

 

この会場で、研究用原子炉 JRR-3の建設当時の写真展示もありました。

 

 

 

JRR-1、JRR-2までは海外製の原子炉でしたが、このJRR-3は初の国産原子炉。

原子炉は日立製。

 

 

時代を感じる写真です。

 

 

 

 

原子力船「むつ」の模型と、原子炉の模型もありました。

こういうレトロな模型やジオラマが好きです。

 

 

 

原子力科学研究所のジオラマ。

 

 

「安全管理棟 地下免震構造」の見学もありました。

原子力と直接関係なさそうに見えますが、そんなことはなく、地震のときでも指揮命令系統を維持できる安全な建物でないと困りますね。

 

 

説明を受けたのち、ヘルメットを着用して地下に下りていきます。

 

 

 

免震のビルは最近多くなってきていると思いますが、実際に地下の構造を見ることは普通できないので、なかなか貴重な体験です。

 

免震は、3点セットの構造だそうです。

 

(1)積層ゴム:地震の揺れをゆるやかにする

 

 

(2)すべり支承:地震の揺れをゆるやかにする

 

 

(3)鉛ダンパー:揺れ続けるのを止める

 


 

こんな硬そうな金属の塊が、揺れによって変形するというのは不思議ですね。

※ちなみにU字型に曲がっていますがもともとこういう形です。地震で曲がったわけではありません。

 

(つづく)

 

<訪問日:2024年10月>

日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所(茨城県那珂郡東海村)。

施設公開2024に参加しました。

 

 

いくつか見たいものがありましたが、そのうちの一つ。

日本初の原子炉 JRR-1です。

(Japan Research Reactor No.1)

 

 

 

 

もちろん今は稼働していませんが、展示施設となっています。

かつて原子炉だった実物に入れるのは貴重な体験です。

 

 

 

この真ん中のところがまさに原子炉そのもの。

それを間近に見ることができるわけですから、凄いです。

 

JRR-1の歴史を紹介するコーナーがドーンとあり、貴重なビデオも見られます。

 

 

 

JRR-1 が初臨界を達成した 1957年8月27日のチャート。

 

 

当時の雑誌でも紹介されたようです。

 

 

原子炉の制御棒駆動装置。

今の原発の制御棒駆動装置はこんなものではないと思いますが、これはシンプルですね。

 

 

各種実験用の実験孔。

 

 

JRR-1 はアメリカ製です。

いろいろな銘板を見ることができます。

 

 

ウェスティングハウス・エレクトリック社の脱イオン式ラインスターター。

原子炉で使用される電動機を起動・制御するための電磁スイッチのようです。

 

 

ChatGPTによれば、Sperti Faraday Inc.(ファラデー社)は、米国ミシガン州エイドリアン(Adrian, Michigan)にあった企業。電気ベルや警報装置を製造していたメーカー。これは警報ベル、だそうです。

 

 

Atomics International(アトミクス・インターナショナル) 製の シールドドア(Shield Door Assembly)。

ChatGPTによれば、「約 18,144 kg(18トン) → 非常に重い遮蔽ドアであることが分かる。鉛や高密度コンクリート を使用した放射線防護用の厚いドアの可能性がある。」とのこと。この写真だけでそこまでわかるのが凄い。

 

 

こちらは壁にあった装置。

原子炉の稼働状況を表示するものでしょうか。

 

 

こちらは天井クレーンの銘板。

 

 

この写真をChatGPTに見せたところ、下記の回答でした。

 

「この画像に写っているのは、日本重建株式会社(現・日本重機工業) 製の 天井クレーン です。

🔍 画像のポイント:

  1. メーカー:

    • 「日本重建株式会社」(にほんじゅうけん)と書かれています。
    • 日本重建は、日本の重機・建設機械メーカーで、クレーンや橋梁などの鋼構造物を製造していました。
    • 昭和31年(1956年)製造 と記載 → 日本初の研究用原子炉「JRR-1」の建設時期と一致 する。
  2. 設備:

    • 「5t」5トンの吊り上げ能力 を持つ天井クレーン。
    • 「日本重建株式会社」 → クレーンのメーカー名。
    • 「昭和31年製」 → 1956年に製造されたことを示す。
    • クレーンのモーター(巻き上げ機) も写っている。
  3. 用途(推測):

    • 原子炉施設内の重量物搬送 に使用されていた可能性が高い。
    • 燃料交換原子炉構成部品(遮蔽扉、冷却装置など)の移動 に利用。
    • JRR-1(日本初の研究用原子炉)の施設内 に設置されていたクレーンの可能性がある。」
凄まじいですね。この写真だけでそこまでわかるとは。
 
JRR-1には、下記のようなパネル展示もありました。
JRR-2からJRR-4の研究用原子炉が建設され、その歴史を紹介。
 
 
JRR-2の銘板。
AMF・アトミックス社が製造ですが、三菱原子力工業が下請け。
その他多くの三菱グループ企業が関わっていたようです。
 
 
こちらはJRR-3の定礎。
JRR-2まではアメリカ製でしたが、JRR-3は初の国産。
これについては次回。
 
 
タイガー計算機(手回し計算機)。
まだ電卓などがなく、こういうものが当時使われていたのですね。
 
 
JRR-2, 3, 4で使用された燃料棒のようです。
 
 
JRRシリーズは研究用の原子炉でしたが、ここには発電の試験を行った動力試験炉「JPDR」もありました。その展示。
JPDR は役目を終えたあと廃炉になり、施設も更地になっています。
 
 
JPDRは、原子炉本体をGE(ゼネラル・エレクトリック)が、格納容器をIHI(石川島播磨重工)が設計・製造していたようです。
 
 
1963年10月26日に初発電。この日が「原子力の日」となったそうです。
 
 
当時の新聞、銘板など。
 
 
NSRR(原子炉安全性研究炉)などのパネル展示もありました。
こちらについてはまた次回。
 
 
遠隔操作用のアーム。実際に子供が遊べるようになっているのがいいですね。
 
 
地下に下りる秘密の階段。
地下には何があったのでしょうか。
 
 
JRR-1は、実際に使われていた原子炉建屋そのものに入れる、実感できるというところが非常に貴重だと思います。
パネル展示も多く、内容の濃い施設でした。
(つづく)
 
<訪問日:2024年10月>