【韓国文学】優しい暴力の時代 | K-POPちょっといい話

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チョンイヒョン 『優しい暴力の時代』(2016年)三豊百貨店崩壊とずうっと、夏

 

大学生の「私」は三豊百貨店で買い物をしていた時、婦人服売り場で高校の同級生Rに会うRは高校では話をしなかったが、すぐ仲良くなり、Rの部屋に遊びに行って一緒にビールを飲んだりした。しかしある事件がきっかけで二人は疎遠になってしまう。そして1995629日午後555分三豊百貨店が崩壊した。10年後ミニホームページでRと似た子供を見つけ、Rは生きているのではないかと思った。しかし、心の片隅にはどっしりとした悲しみが残ってる。「三豊百貨店」という作家の自伝的作品からは巨大な事件に隠された個人の痛みと喪失、そして個人の意識の成長が社会全体の意識の成長につながることを願う作家の想いを読み取ることができる

 

7編から成る「優しい暴力の時代」で作家は「今は親切な優しい表情で傷つけ合う時代だ」と訴える。父親の仕事のため世界中の学校へ転校を繰り返すがどこでも「豚」と呼ばれる少女が、ある国でようやく親友を見つけるちょっと切ない青春小説「ずうっと、夏」が面白かった。

 

 

<終わり>