労災保険の特別加入対象者 | 四姉妹のパパは保険屋さん 〜保険は賢く活用しよう!〜

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長崎の保険代理店(有)ビッグ・ワンの代表取締役大木敬介のブログです。
2023年9月まではただの雑記ブログでしたが、今は賢く民間保険に入る為の周辺知識を頑張って発信しています。

労災保険は「労働者」、言い換えると「雇われている人」に対して給付を行うものですが、その対象外となっている「事業主」に関しても決められた条件を満たしていて、労災保険に加入したいという希望があれば、「一定の手続き」を行う事で任意加入をする事ができます。その「一定の手続き」というのが「労災保険の特別加入」の制度です。

 

「特別加入」にはいくつかの種類がありますので、その種類別に見ていきましょう。

 

【中小企業の事業主等の場合】

中小事業主等とは、「労働者を常時使用する事業主(事業主が法人その他の団体である時はその代表者)」「労働者以外で事業主の事業に従事する家族従事者(中小事業主が法人その他の団体である場合の代表者以外の役員など)」です。その業務が「中小事業」にあたるのであれば「事業主」や「業務に従事している家族」も任意加入していいですよという事です。

ここでのポイントは行っている事業が「中小事業」にあたるかどうかと「労働者を常時使用する事業主」にあたるかどうかです。「中小事業」にあたるかどうかはその人数規模で決まります。

「金融業」「保険業」「不動産業」「小売業」は労働者数が50人以下の場合が「中小事業」

「卸売業」「サービス業」は労働者数が100人以下の場合が「中小事業」

「それ以外の業種」は労働者数が300人以下の場合が「中小事業」

となります。

「常時使用する事業主」にあたるかどうかは、労働者を通年雇用しない場合であっても、1年間に100日以上労働者を使用している 場合には、常時労働者を使用しているものとして取り扱われます。これに当てはまらない場合には以下で解説するその他の特別加入の要件に当てはまるかどうかで決まります。

 

【一人親方その他の自営業者】

自営業者等(自営業者や家族従事者)に関しては、その行っている業務によって任意加入できるかどうかが決まります。令和4年7月改定時点での対象業務は以下のとおりです。

① 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは 自転車を使用して行う貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など) 

② 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復(除染を目的として行う高圧水による工作物の洗浄や側溝にたまった堆積物の除去など の原状回復の事業も含みます。)、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)

③漁船による水産動植物の採捕の事業(⑦を除く)

④林業の事業

⑤医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配 置販売業)の事業

⑥再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業

⑦船員法第1条に規定する船員が行う事業

⑧柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業

⑨改正高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づき、同項第1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業

⑩あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づくあん摩マツ サージ指圧師、はり師又はきゆう師が行う事業

⑪歯科技工士法第2条に規定する歯科技工士が行う事業

年々この対象業種は増え続けていますので、タイムリーな情報が知りたい方は「厚生労働省のホームページ」でご確認下さい。

 

【特定作業従事者】

「中小企業の事業主等」にも「一人親方その他の自営業者」にも当てはまらなかった場合には、以下に当てはまれば任意加入が可能な場合があります。ただし、事業規模や作業内容によって対象外となる場合もありますので注意が必要です。

①特定農作業従事者(一定規模以上の作業面積や売上、作業内容等の条件あり)

②特定農業機械作業従事者(機械の種類が特定されています)

③国または地方公共団体が実施する訓練従事者

④家内労働者およびその補助者(「プレス作業」や「粉塵作業」等、指定された危険な作業を行う場合のみ)

⑤労働組合等の一人専従役員(委員長等の代表者)

⑥介護作業従事者および家事支援従事者

⑦芸能関係作業従事者

⑧アニメーション制作作業従事者

⑨ITフリーランス

 

【海外派遣者】

労災保険は、本来国内にある事業場に適用されますので、海外の事業場で就労する人は基本対象となりません。 国内の事業場で就労していた人が転勤などで海外の事業場に派遣された場合には、原則として派遣先の国の災害補償制度が対象となります。

しかし、外国の制度の適用範囲や給付内容が十分でない場合もあることから、海外派遣者についても労災保険の給付が受けられる 制度が設けられています。

海外派遣者として特別加入をすることができるのは、以下のいずれかに該当する場合です。

①日本国内の事業主(労災保険の加入者であり、有期事業は除く)から、海外で行われる事業(海外支店、工場、現地法人、海外の提携先企業など)に労働者として派遣される人

②日本国内の事業主から、海外にある中小規模(上記【中小企業の事業主等の場合】を参照)の事業に事業主等 (労働者ではない立場)として派遣される人

③独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する人

 

と、いう事で今回は以上となります。

 

このブログでは賢く民間保険に加入する為、ちゃんと自分で考えて民間保険を選ぶ為、もしくは民間保険に入らないという選択肢を取る為の周辺知識を発信しています。

 

労災保険は定義も難しく、給付も多岐に渡っていますので分かりにくい事もあるかもしれませんが、民間保険を考える上では外せない知識ですので、頑張って発信していきます!

 

でわでわ!

 

※今回の記事は2024年2月29日時点での情報です。御覧になるタイミングによっては最新の情報ではありませんので注意して下

さい。