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Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

さて今回も平日の夜分。今回も友人と会食。今回も池袋時代の同僚。異なるのは性別。前回は女子会だった。今回はメンズ会。次に所属も異なる。対面する二名はクリエイター集団。隣の彼は同じ人材紹介出身だが。彼の連絡先を頼って、無事にスケジューリング。場所は調布。

 

 

いつものイタリアンは僕が押さえた。お洒落な女子会ならともかく、全員が40代の男子会だぜ。イタリアンだなんて。と思ったが、喜んでくれる面々。思い出した。ずっと僕の体調を気遣ってくれた仲間達。うち1名とは、5年ぐらい振りか。声が出ませんと僕。大丈夫だよと彼。

 

 
3つの事業部から編成されていた池袋時代の職場構成。病気が発覚して、退職(次への転職)した後、紆余曲折を経て、人事部門として戻った職場。経営者の病気によって、離散を余儀なくされた組織だが、僕は思うよ。毎日が楽しかった。仲間が熱かった。良い職場だったな。

 

僕が従事した人材紹介というビジネス。テレビCMでお馴染み、リクルートエージェントやパーソルキャリアなど、対面式の職業斡旋が主だ。ハローワークの職探しと混同される。あれは無料。え。金取るのって。対法人の話。料率は概ね3割が一般的。決定年収が600万円の場合。

 

 

請求書には180万円の記載が可能と言うことになる。え。暴利かって。そうは思わないね。まず以て、求職者側がエージェントを独占しているわけではない。故にコントロールが難しい。相手の懐に入り込むこと。即ちこれが、信頼されるエージェント像。目指すべき方向性だ。

 

 
堅調な人材紹介業。ところが市場を見渡せば、有象無象の群雄割拠。こんなところで足踏みしている暇は無い。第一四半期の大幅達成を祝う目的と、更なる気流に則って、研修が催された。あ。職場は池袋時代ね。拠点となったのは、国内を代表する豪華絢爛な外資系ホテル。

 

 
どこだと思う。正解は、五つ星ホテルの、マンダリンオリエンタル東京。午前中は、電車に乗って街中を移動しながらの班対抗クイズ企画。同僚との親睦を深めた後は、ホテルに移して、ランチからの、会議室での勉強会。前回はたったの6人だったのに、と感慨もひとしお。

 

 

夜分。ずばりディナーである。宿泊客も、当然のようにドレスコードを強いてくる。さすがは五つ星ホテルのクオリティ。この、顧客をも支配する姿勢にこそ、学びがある。僕らが次のステージに進んでいく為のテキストだ。高い教材費を払ってくれた会社に、感謝しなければ。

 

 
すごい景色に、すごい料理。お酒も美味しい。あれ。いま何を飲んでいるんだっけ。前回もそうだったが、社員数の少ないアーリーステージの会社には、こんな飛び抜けた報酬があるから大好きなのだ。無論、相応の経験値が必要。未経験だなんて、新卒じゃないんだぜ――。

 

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さて、勘の良い諸君の中には、お気付きの方もいるだろう。2015年7月は、確定診断を受けた当時だ。それから二日後のこと。社長とも相談した。どうする、研修は休むか――。だって。いや、行きますよ。まだ何だって出来る(片足立ち以外)。誤診かも知れないしね。

 

 
その後の記憶は無い。酒に飲まれたからか。五つ星ホテルの客室のクオリティは、後日写真でのみ堪能することになった。池袋時代のエピソードが当ブログで薄いのは、病気に毒されていたから。この研修旅行の甲斐もあって、連戦連勝街道を突き進む。但し、僕以外の話。
 

秋の暮れと言うより、冬の始まりだね。寒い。身体が自由に動かない。脚も痛い。眩暈も酷い。中でも深刻なのが、発声だ。声が出ない。息が苦しい。それでも発声トレーニング。咳と涙で顔面崩壊。誰か、ここから助けてくれ。さて平日の夜分。スケジュールを調整した結果。

 

 
笹塚のイタリアンで、友人女性を2名捕まえていた。いずれも前職の同僚。池袋時代。4歳下と、10歳下。今は、別々の職場で働く。当時の職場、空中分解しちゃったからね。でも優秀な彼女たち。一人は、基幹事業のトップに異動して、売上を牽引する新リーダー。忙しそう。
 

 

もう一人はもっと凄い。今や会社組織の役員だ。か細い声で、仕事は順調か聞くじゃん。返ってきた言葉が、最近赤字を脱却しました。だってさ。主語が、自分ではなく会社になっている。目下の悩みは、従業員を気軽に飲みに誘えないと、寂しそう。なので今夜は楽しんで。

 

あれだけ見ていた宵の夢が、ある時を境に、まったく見なくなった。どのタイミングだろう。明確には分からない。たぶん、足の痛みが酷くなった頃だ。着座でも痛い。寝ていても痛い。梨状筋に違和感が残る。違和感だなんて、可愛いものじゃない。夜中に起きちゃうんだぜ。

 

それが、久しぶりに夢を見た。起きたくない。顔も知らない美人が、僕を好きになってくれる。好意は行為で示す。大人だからね。ああ。柔らかい。あと、良い匂い。幸せに包まれる。この感覚、超久しぶり。まだ僕の中に、この感情があったのかと驚かされた。起きて泣いた。

 

寒い。11月だし。もう初冬だ。いや、晩秋か。これだけ冷えると、筋肉も固まる。関節が固い。まるで安いロボット。すぐに倒れる。温まりたい。芯からポカポカと。連想するのはお風呂。自宅用も悪くないが、銭湯や温泉旅館に惹かれる。行けばいいって。あのね。病気なの。

 

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年々、数を減らしている街中の銭湯。最後に行ったのはいつだろうか。もう久しく行っていない。お気に入りの銭湯施設があった。いつでも来客で万来であった。脱衣所は大混雑。今なら下手に動けない。横転するからね。血気盛んな地元の兄ちゃんと喧嘩になりそうで怖い。

 

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だから、自宅で大人しく入浴を楽しんでいた。今じゃないよ。一人暮らしの当時ね。贈答品や地方出張のお土産にと、お洒落な入浴剤がよく溜まった。追い炊き機能がない当時の設備では、長い時間浸かっていると、湯冷めしてしまう。そして思う。ああ。銭湯や温泉こそ至高。

 

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しかし懸念する。広い脱衣所を歩けるか。更には浴室だって広いじゃないか。湯舟に浸かるには、途方もなく距離があるぜ。まさか車椅子や歩行器を持ち出すわけじゃなかろうな。杖も衛生的にNGだ。ではどうする。大人しく、自宅環境で我慢するよ。手摺りがあるからな。

 

〇〇やってみた

 

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