【追憶】次のステージへ | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

時代は再び20年前へ。否、19年前か。前述した北海道旅行から戻り、再び仕事に精を出す。泣く子も黙る日雇い派遣会社は最大手。合併や拡大を繰り返し、支店数は1,000店舗に迫る勢いで急成長。一方で、歪みも生じるのだが、僕らは末端の構成員。上層部の考えに従うのみ。

 

支店の売上に貢献する。新規で登録に来られた求職者への物販。あと大事な手配数。求職者の属性に合わせた仕事の依頼。人余りはNG。余剰人員が無くなるまで仕事。最後は僕らが現場へGO。そんな日々を繰り返す。次第に支店の存在価値が大きくなる。そして遂に。大物が。

 

 

ある日。スーツ姿の端正な顔つきのお偉いさんが尋ねて来た。縮み上がる支店長の友人。相手は社長だった。何でも最終面接で対峙して以来、会話も無かった関係値。そんな敏腕が何をしに。「頑張っているようだね。様子を見たくてね」。視察だった。本社でも噂になる活躍ぶり。

 

 

僕らの在籍する統括ブロック。正社員が多く集まる飲み会にも、招待されるようになった。ブロック長から切り出される。「You、(契約)社員になっちゃいなYO」。嬉しいお誘い。今より権限や裁量、所得も上がる。けど丁重に断った。自信を回復できた事。まずは誘ってくれた友人に感謝。

 

 

期待に応えること。まずは上司である友人の信頼を得る。次に支店内での存在感を大きくする。次いで現場で外勤スタッフや顎で使うクライアントの信頼を得る。いきなりは無理でも、少しずつ。確実に。最終的には統括ブロック内で、他の支店長からも覚えてもらうまでに至った。