セントグレース大聖堂@表参道 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

昨日とは打って変わって晴天。雲一つない青空の下。僕は重い脚を引き摺るようにして、表参道の駅を地上に出る。目的地は「セントグレース大聖堂」。結婚式と披露宴の会場だ。新郎役の男性は、以前の職場の後輩。伝説を作った池袋時代の同僚。今はもう昔話。跡形もない。

 

 

新郎の彼も、当然僕の体調は把握している。無理しないで下さいね、だってさ。優しいじゃん。一方で、参加を表明したのには理由がある。このコロナ禍で、3度も延期したのだ。初めて招待が届いたのは3年前。当時はまだ自力歩行が可能だった。だから今回も参加を決意した。

 

 
当初は体力面を考慮して、披露宴からの参加を検討していた。16:00からの受付開始。遅い時間が幸いした。電車を乗り継いで、結婚式に間に合う。広い会場を、都度肩を貸してくれる後輩連中には感謝しかない。新郎側のブーケトスに代わるイベントで、僕が豪華景品をゲット。
 

 

披露宴会場に移動して、アルコールが入るともう動けない。以前の僕は周囲の顰蹙を買うぐらいのフットワークで、カメラ片手に動き回っていたのにね。それどころか声も出ない。耄碌したものだな。ただし皆が優しい。捕まって下さいと、肩を差し出してくれる。しかも、男女に拘らず。

 

 
昨日は自身の誕生日にも関わらず、質素な時間を過ごした。だから今回は私利私欲に行く。目の前のご馳走、周囲に彩る煌びやかな装飾、大好きな同僚連中、無限に注がれるアルコール。そう言えば、ここは初めてだったかな。表参道の挙式は、結構参列したからね。結構酔った。

 

 
披露宴を終えて、クロークへ。既に僕の脚は言うことを聞かず、車椅子に乗せてもらう。まだ意識はハッキリしている。が、連中は僕の帰り道が心配な様子。タクシーを配車後、行き先に迷う。ご自宅まで、どうですか。と友人から。そうするか。15,000円掛かった。でも、楽しかった。