しばしの別れ | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

45日に一度のペースで訪れる美容院。費用は3800円と、割とリーズナブルで済ませられる、都心部を中心に展開する多店舗店。ここは部屋から徒歩で30分。二駅区画を歩かないと辿り着かない。世田谷区は経堂に住んでいた当時、歩いて2分の距離にあった別店舗。

 

以前、通っていた美容院の女性美容師に言い寄られたことがある。それが為か、担当は男性に限る。前の店舗も今の店舗も、同年代の男性美容師。聞けば同期入社の仲のようだ。引継ぎもスムーズ。さて今の担当。当時は副店長。今は店長。出世したね。当然か。

 

 
思えば6年もお世話になっている。月日の経過は残酷である。6年前はまだ元気だった。仕事もしていた。趣味も継続していた。交際相手と結婚に向けて模索していた。話題に事欠かなかった。翻って、今は酷い様相よ。まず以て、話題がない。と言うより、声が出ない。
 
 
担当美容師に、暫しの別れを告げなくてはならない。年8回×6年間×1時間。下手な友人より会っている。いつ言おう。今か。今なのか。何て言おう。言葉を紡ぎ出そうとして、終了。会計時に伝える。サラリとね。彼の根城は僕の実家のすぐ近所。そっちでまた会えるかもね。