元カノと遭遇する | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

筋肉が緊張しているからだろうか。動き出しがぎこちない。以前はすぐに普通に歩けるようになっていたのに、今はなかなか改善しない。長い距離を歩く際は気にならない。舗装された平坦な道であれば、1時間でも2時間でも歩き続ける自信がある。でも、そうはいかない状況もある。
 
仕事からの帰り道。疲弊した身体を引き摺るようにして歩く。この後、一人で自炊する体力なんて残っていない。近所のスーパーは、同じように単身の社会人客で賑わう。この時間であれば、割引シールの貼られた総菜が並んでいる。狭い路地を歩く時は緊張する。脚が重たい。
 

 

目の前を、元カノが通り過ぎる。疲れた顔をしている。彼女も仕事帰りのはずだ。「Rちゃん!」声を掛ける。驚いた様子で顔を上げて、僕を認識する。二言三言、世間話を交わす。足を止めると、再び歩き出すのがシンドイ。弱った僕を見せたくない。彼女をやり過ごす。悲しい。