やりたいことは我慢するな | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

この病気と向き合ってから、結構な頻度でアドバイスを貰う。それが表題の言葉である。我慢するなとは、今しかできないぞという意味でもある。悲しいかな、進行性の神経難病。体調は悪くなる一方で、できないことが増えていく。ところで僕にとって、やりたいことって何だろう。

 

沢山稼いで、散財して、仲間が多く集まって来た、充実していたあの頃に戻りたい。そんな非現実的な夢物語はダメ。例えば、旅行に出かけるとか、ミュージカルを観に行くとか、そういうのは無いのかな。聞かれても答えに窮する。交際相手がいた当時であれば、答えはYesだった。

 

 

一つだけある。サッカーを本場欧州で観戦したい。以前に友人女性が一人でスペインへと渡り、メッシのいるバルセロナと、クリロナのいたマドリードの伝統の一戦(エル・クラシコ)を観戦してきたと、興奮気味に僕に自慢した。絶対に観に行った方が良いと、彼女の鼻息が荒い。

 

 

僕は大学在学中、スペイン留学を通じて西語を会得している。同病患者にして同じくサッカーフリークな男性友人からも、スペイン旅行に誘われた。だが当時、食指が動かなかった。今なら分かる。その価値がどれだけなのかを。だってクリロナどころか、メッシさえも騒動の渦中。