病気を受け入れない理由 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

母親は、まだ僕が同じ病気を罹患していることを知らないでいる。少なくとも、僕から伝えてはいない。隠せるならば、この事実は隠し通したい。ただし、母親には少しでも長く生きて欲しい。そうなると、僕も健康状態を維持し続ける必要がある。嘘つき呼ばわりされても構わない。
 
 
昨日の充実感に浸り、午前中のうちにブログで振り返る。今日の予定は入院先の母親への見舞いのみ。どうやって、目標にしている8,000歩をクリアしようか。一駅歩いて特急電車に乗る。多摩都市モノレールへと乗り換えるべきところで、一駅分歩いて向かう。往復して大幅達成。

 

 
まだ60歳に満たない母親は、筋力が衰え、実年齢よりも随分と老けて見える。そんなことは億尾にも出さず、見た目を褒めてあげると嬉しそうに笑顔で返す。もう発声する力さえない母親だが、指差し50音表を駆使して、まだ随分とおしゃべりだ。つられて僕も、つい饒舌になる。

 

 
車椅子を押して、屋上の小さな庭園に出る。ここで写真を撮って、家族で共有するのが日課となっている。明後日は、末弟が奥さんを連れて母親を訪ねてくれる予定だ。彼らほど、明るい話題を持ち合わせていない。そんなことはどうだって良い。母の生きる糧となりたい。