春の訪れ | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

仕事に復帰して2週間が経過した。体調面を配慮されて、当面は週3日勤務であるが、仕事後の疲労具合の酷いこと。在籍時代、教育係を務めていた若手社員からのお酒の誘いを断って、早足で家路につく。体調が悪い。葛根湯を飲んで寝る。酒は飲まない。大型連休前のこと。
 
明けて本日。体調は回復した。喜び勇んで家を出る。向かうは新宿。今日は昼真からデートである。まだ交際関係にはない。それがどうした。会えない元カノの心の傷を、上書き保存。お相手は、同年代の看護師の女性。阿佐ヶ谷の飲み屋で友人を介して知り合った縁。
 

 

新宿TOHOシネマズで待ち合わせ。2週間前に観た、「グレイテスト・ショーマン」を再び観る。同じスクリーンの、同じ席。映画館で上映中タイトルを短期間で二度観るのは、生涯で初めての体験。それぐらい良かった。上映後、あちらこちらで二度目が僕らだけでなかったことを知る。

 

 

鑑賞後、散歩しようという提案を事前に受けていた。都内の散歩コースを物色。春の陽気と、井の頭公園の相性の良さを知って採択。向かう途中、彼女のリクエストにより「いせや総本店」に立ち寄る。遅めの昼食に、名物の串焼きとビールで乾杯。外から入ってくる風が心地よい。

 

 

広い敷地内を、ゆっくりと散策する。手を繋いでくれているのは、僕の足元がおぼつかないからだろうか。まだ杖をついていない。車椅子の使用なんて、想像さえできない。自力歩行を維持する為に、今日も歩く。気温は27℃と暖かい。行き交う人の服装も、春夏のそれである。

 

 

一日の締めに、定番となった「旅好きが見つけた酒と肴・mako-ya」は阿佐ヶ谷へ。迎え入れてくれる友人店長の人柄に惚れて、やはり人柄の良い常連客が集まる。大半が阿佐ヶ谷住まいという共通点において、僕なんて部外者だが、憶することなく知り合いが増えていく贅沢。