川苔山 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

朝4時半に起きる。30分後には自宅を出発。始発の電車に乗る。隣駅を経由して、モノレールで立川駅へ。目指すは7時25分に奥多摩駅を出発するバス。昨夜は23時に就寝。それでも眠い。立川駅から青梅線で1時間と10分。7時17分に奥多摩駅に到着。バスを並ぶ長蛇の列。その前方に彼女を発見。無事に合流。初の登山デートは、川苔山を歩く。


烏兎怱怱


目安のコースタイムは5時間50分。その行程を考えてくれた彼女は、いま流行りの山ガール。否、登山家である。先週など、金曜日の夜のうちに現地入りし、1泊2日で仲間と甲斐駒ケ岳を登頂してきている。南アルプスだよ。標高2967Mだよ。聞くに昨日は近所の専門店で、登山グッズを新調。背負うザックはグレゴリーの40リットル。後ろ姿が眩しい。

烏兎怱怱


川苔谷の渓流に沿って歩く。奥多摩一美しいと言われる渓谷。川苔橋でバスを降りてから、歩き始めて95分。この登山道で一番の見所に到着。百尋ノ滝。圧倒的な存在感。山間深くの、この景観に感動。ここで初めての小休憩。事前の予報で懸念していた空模様は、しかし天高く馬肥ゆる秋の気候。晴れ男の存在価値。紅葉は、まだ少し先かもね。


烏兎怱怱


百尋ノ滝から歩くこと2時間。要所の勾配も難なくクリアし、到達した山頂。表記は川乗山。標高は1364M。登り始め地点が標高400M。900Mの標高差に3時間半。この数値の比較だと、今春に登頂した御前山を大差ない。しかしながら、山道の景観や登り応えは、過去に登った奥多摩のどの山をも凌駕している。結構な汗。身体を絞るには好都合。


烏兎怱怱


山歩きの楽しさの一つ。ランチタイム。彼女のアイディアで、カレーを食す。ここに一工夫。主食はナン。発酵させた原材料に、小麦粉を塗して薄くのばす。フライパンで表面に焼き色を付けた本格的なもの。美味かった。鳩ノ巣駅への下山ルートを下り、河辺温泉「梅の湯」に立ち寄る。入浴後のビールは登山の達成感と相俟って、至福の極み。