『獣になれない私たち』のなかで、
(2018年 日本テレビ 脚本:野木亜紀子)
新垣結衣さん演じる深海晶が言います。
「私たち、
だれの人生を生きてきたんだろうね…」
彼女は、会社でも恋人の前でも、
ずっと人の期待に応え続けてきた人です。
頼られ、感謝され、役に立つことに
よろこびを感じていたはずなのに、
ふと振り返ったらからっぽで、
途方に暮れてしまいます。
だれかのために動くことは、
少しも悪いことじゃないと思います。
むしろそれができる人には、
役割ができて居場所ができます。
でも、だれかのためだけに動き続けると、
どんなに感謝されても、そこは
「じぶんの居場所」にはなりません。
与えれば与えるほど、
じぶんが減っていく気がしてしまう。
ドラマのなかで、
晶が京谷(彼氏)の母親の気持ちをくんで、
家族に想いを伝えたシーンがありました。
それはだれかの期待に応えたわけじゃなく、
晶自身がしたいからした行動でした。
その結果、みんながよろこんで、
晶自身も救われました。
あの瞬間、彼女は、
じぶんの人生を生きていたんだと思います。
人間が退屈に悩まされないためには、
獣になる(なにかに夢中になる)とよいと、
國分功一郎さんが言っています。
このドラマは、
他人や社会の目ばかり気にして、
じぶんの欲に素直になれない人たちの…
獣になれない私たちの背中を押す
物語(ドラマ)なんだと思います。
今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。
野木作品は、略称が多いですね。
『獣になれない私たち』は『けもなれ』です。