時代を越えて大切にされるということ⑴
最初に申し上げておきますが、今回のブログは興味のある方だけにしか意味がないかもしれません。「何を言っているのかさっぱりわからない!」という方には「ごめんなさい」と最初に謝っておきます。
私の趣味の一つであるであるクラッシクカー(ビンテージカーかな?)愛好家をエンスーと呼びます。
エンスージアスト(enthusiast)は熱狂的な支持者を意味しますが、噛み砕いて言えば「熱心に楽しむこと」「熱心に興味を持つこと」ですから車以外にも使う言葉です。
一口にエンスーと言っても様々で、人の「こだわり」というのは面白いものだと思います。
この「こだわり」については大きな分類も可能なのですが、細分化するとキリが無くなります。
例えば、私はカーデザイン以上に内装フェチです。興味が薄いのは性能や機能かもしれません。
この内装についても、オリジナル派に多い「やれた感じ」が好みの人もいれば、新車のようにレストアしたものが好みの人まで千差万別です。
内装を語るときに代表的なインパネ周りについては、「ハンドル付で切り取って自室に置きたい!」とまで思う始末ですが、人間工学に基づいた機能美溢れる現代のポルシェ911のデザインの原型は、内装も外装も1965年の初代911に既に出来ていました。
私が一時所有していた67年型911Sでは、ドライビングシートに座るたびに、50年近く前にこのデザインが存在した事実に驚愕していました。室内を見渡して後部座席(小さい子供か、手荷物しか置けないスペースですが、たたむこともできて荷室としても実に有効なスペース)に目を移すと、911以前の356の時代にこの後部座席のデザインが完成されていたことに改めて感心するのでした。
遥か昔、日本人初のポルシェファクトリードライバーであった生沢徹氏が、欧州転戦する時に、「日々1000㎞に及ぶ移動時に苦も無くこなす車はポルシェしか無い」という理由で、所有していたことが理解できる走り*も含めて、ポルシェデザインの機能美の見事さには言葉もありません。
時代を越えて大切にされ、人気が衰えない物にはやはり理由があるのです。
ナローポルシェと呼ばれる初期のポルシェ911は排気量も2000CC で、軽い車体故に「ライトウエイトスポーツカー」と呼んで良いと思います。
私は英国車に多いこの手の車のファンであり、風を直接肌に受ける気持ちよさや、運転の喜びに繋がる機能美を追求したデザインは素晴らしいと思うのですが、内装フェチを自任する私としては使用している素材と加工技術の芸術性という点でロールスロイスやベントレーの方が興味が深いのです。
とは申し上げても、私の興味ある年式は1960年代~1990年の車に限ってなので、年配の方にしか理解できない類のものだと思います。次回はロールスロイスやベントレーを通じて語ってみようと思います。
*当時の日本車は目標巡航速度100㎞ オーバーヒートせずに箱根越えでした…
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
〒102-0084 東京都千代田区二番町9-2日興ロイヤルパレスB1