立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

<エニアグラムのハート(感情)センター>
ハート(感情)センターは、タイプ 2、3、4 で構成されています。彼らは、異なる影響を持った、自然の無意識的な恥や不名誉などが恐れとして心に秘められています。

彼らは皆、意識しているかどうかに関係なく、他人から肯定され、評価されていると感じたいと思っています。

健全であれば、ハートセンターの人は思いやりがあり、誠実で、他人とつながりを持つことができます。しかし、時間をかけて適切に対処しないと、否定的な形で自尊心の欠如からの言動を表すこともあります。

 

タイプ2は、感謝を得るために他の人のために奉仕行為をすることが、周囲から自尊心の欠如を悟られぬよう回避しようとする傾向があります。

タイプ3は、成功して他人から賞賛されるために、自分の仕事に全力を注ぐかもしれません。彼らは自分の恥や不名誉から逃れるために、それを否定するために成功や賞賛を得なければならないという可能性が最も高いでしょう。

タイプ4は、自分の独自性、ユニークさを強調し、深い思いや感情に浸ることで不完全である自分を自分自身で認め、また他人から認められるため、つまり自分の自尊心の欠如に対処するために行動する。

 

<エニアグラムのヘッド(思考)のタイプ>

タイプ 5、6、7 はヘッド(思考)センターを構成します。彼らは、行動する前にアイデアを導き、情報を収集し、物事を理解し意思決定を行います。彼らは確実性と安全性を生み出すこと、または複数の選択肢を見つけることに重点を置いています。

彼らはそれぞれ、特に健全さが低下している時に恐怖や不安を感じる可能性があり、心が過剰に活動しすぎて騒々しく感じるかも知れません。ヘッドタイプは、健全な状態では、察しが早く、創造的で、思慮深いものになります。しかし、彼らが持つ恐怖や不安に、健全な方法で対処する方法を学ばず、対処できなければ、大混乱を引き起こす可能性があります。

 

タイプ5は、自分が感じる不安に反応して、自分の心の中に引きこもります。彼らは、圧倒されていると感じると、外界をシャットアウトし、知識を得ることに執着することで不安や恐怖を偽り隠す傾向があります。

タイプ6は、恐怖や不安に対処する方法として、シナリオごとに最悪のケースをすべて想像し、それに備えることに時間を費やすことがよくあります。

タイプ7は、不安や恐怖に関して前向きなプランを考えたり、それを刺激的または冒険的なものとして行動することで、恐怖や不安から乖離する。彼らは不安から一種の物理的、行動的な逃避を求める傾向があります。

 

エニアグラムの各性格タイプにはガッツ(腹)、ヘッド(思考)、ハート(感情)の 3 つのタイプの「センター」または「トライアド」と呼ばれる根底のエネルギーの中枢があります。

ガッツセンターはタイプ 8、9、1 ハートセンターはタイプ  2、3、4、そしてタイプ 5、6、7 で構成されている。以下の図は、センターを表しています。

 

 

<エニアグラムのガッツのタイプ>
ガッツの中枢は、タイプ 8、9、および 1 で構成されています。これらのタイプは、主にその深い本能と生来の怒りの影響を受ける傾向があります。

彼らはそれぞれ、独立し、自分の環境をコントロールしたいという欲求を持っています。

 

ガッツが中枢にあるタイプは、健全であれば強く、安定し、地に足が着いて、人生とつながっています。しかし、自分の怒りとあまり向き合っていない場合、無意識のうちに怒りにネガティブな方向に作用してしまう可能性があります。

 

タイプ8は自分の怒りに基づいて行動する傾向があり、それはそれを外側に向ける。怒りが募ると他人を攻撃するかもしれません。

 

タイプ9は、自分の自然な怒りや本能を拒否する傾向があります。言い換えれば、彼らはしばしば怒りが起きないよう自己の欲求を抑圧します。それは怒りを避けるため、欲求不満がくすぶることにより、自己軽視や活力の低下陥るかも知れません。

 

タイプ1は怒りを内面化することで怒りをコントロールしようとするかもしれません。彼らはその存在に気づいていますが、それを内面化することを選択します。これにより、自分自身や他人に対してより批判的になることがよくあります。

 「嫌われる勇気」がベストセラーになって有名になったアドラー心理学ですが、私は30年ほど前からアドラー心理学を日本の代表的指導者の‎岩井俊憲先生より学んでおりました。今回はアドラー心理学を学んでとても大切だと思った考えについて述べてみます。

 

 オーストリアのウィーンに生まれた精神科医、心理学者のアドラーは、臨床心理学の基礎を作った心理学の三大巨頭として、フロイト、ユングと並び称されます。

 

 アドラーは、人が幸福になるための3つの条件をあげています。この考え方は、幸福を考えるにあたり有益なヒントを与えてくれます。

 

 1つ目は、自己受容。自分で自分のことをありのままに受け入れるということです。自己肯定感、自尊感情、自己効力感といった類似の概念がありますが、自己受容とは、自分にはいろんな良い点も悪い点もあり、100点満点でなくても、そのままでOKだとという思いです

 

 ある意味での自己効力感が「自分は大抵のことができる」という自信のような積極的感情ですが、自己受容はどちらかというと受け身的な感じかも知れません。

 

 2つ目は、他者信頼。他人とのいい関係をつくれる。他人と親密な人間関係を築けるということです。

 

 3つ目は、社会貢献感。自分が何かの役に立っているという気持ち、感覚、経験をもてるということです。社会や人間関係の中で、自分は意味のある存在だと感じることです。

 

 アドラーは、この3つをもっていることが、人が幸せになる、幸せを感じる条件だといっています。とりわけ自分自身に受け容れられない、自分自身をOKと思えない、自己受容度の低い人たちが、他者と対等なウイン・ウインの関係を築けるかというと、なかなかうまくいきません。

 

 現在のビジネス環境において、どれだけの人が職場で自己受容や他者信頼、社会貢献感を感じているでしょうか。

 

成果主義、能力主義といった言葉は、結果や成果=その人間の評価であることを象徴しています。悲しいかな、あるコンサルタントは人材のことを「人財」「人罪」と呼んだりしています。成果を出せば「人財」、マイナスになれば「人罪」などと説明していました。人は「財」でも「罪」でもなく、あくまですべての人が尊厳をもった「人間」にほかなりません。

 

 とはいうものの、ビジネスマンである限り、結果を出さなければなりません。しかも数字で客観的に評価される結果が要求されます。そのために、結果を追い求めるあまり、自己受容も押しつぶされてしまうかもしれません。

 

 ビジネスの場で、強みを活かし、スモールステップの僅かの進歩や達成に注目しながら、自己受容から自己効力感を育んでいけるようにサポートするコーチングができれば理想だなぁ、と思ったりしています。