たまらなく孤独で、熱い街 -71ページ目

『皆勤の徒』 酉島 伝法

皆勤の徒 (創元日本SF叢書)

皆勤の徒
著者:酉島 伝法

解説:大森 望

(創元日本SF叢書)

初版:2013年8月30日

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序章

断章 拿獲

「皆勤の徒」

断章 宝玉

「洞(うつお)の街」

断章 開闢

「泥海(なずみ)の浮き城」

断章 流刑

「百々似(ももんじ)隊商」

終章

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すごい書き手が現れたものだ。

短篇ひとつならなんとか読めるけど、まとめて読むにはかなりの根気が必要。

しかしながら、SF脳を刺激するのでツボにはまると病みつきになりそう。

「しゃだんほうじん」や「れいちょうるい」などを恐ろしい言葉に変換してしまった腕力には脱帽。

しかし、再読するには読者のさらなる気力の充実がないと・・・。

次はガラッと方向転換したSFも読みたい。


『奇妙な人生』 スティーブン・ドビンズ

奇妙な人生

著者:スティーブン・ドビンズ

訳者・後書:瓜生 知寿子

(扶桑社ミステリー)

初版:1994年1月30日

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半年に一度持ち回りで開かれる同窓会。

今回はメンバーの中心的な人物の家が会場であったが、おりしも暴動や内乱の危険な状況のさなか、集まったのは3人だけ。

ホスト、感情をそぎ落としたかのような家政婦、3人のゲスト。

嵐のような一夜に彼らの仮面が人生が一つまた一つと暴かれていく・・・。

 

不思議な手触りの読後感であった。

派手さはないが読者も心理的に圧迫されていくような。

なんだけど、『海外マストリード100』を読む前に読めば、もっとワクワクして読めたかな。

『海外ミステリー マストリード100』 杉江 松恋

読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100 (日経文芸文庫)

読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100
著者・前書:杉江 松恋

(日経文芸文庫)

初版:2013年10月23日

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第一部 マストリード100

第二部 さらに楽しい読書のすすめ

 Ⅰ 愛すべき名探偵たち~古典的探偵小説について

 Ⅱ 読めなくなってしまった名作たち

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海外ミステリーの読書ガイド。

1929年の『毒入りチョコレート事件』から2010年の『二流小説家』まで、刊行が古い順に100冊をまな板にのせているので時代に沿って読める楽しみもある。

ただ、あれもこれもそれも未読とはいえ海外ミステリにやや食傷気味の身としてはそそられるのがなかったのが残念。

こういう本はどこで「ネタバレ」に出くわすか分からないのが不安だが、次に読もうと思っていた『奇妙な人生』の(ネタバレとまでは言わないが)核心に触れてしまったような記述だけがいつまでも記憶に残っている。



『ファンタジーへの誘い~海外SF傑作選~』 伊藤典夫・編

ファンタジーへの誘い―海外SF傑作選 (1977年) (講談社文庫) ファンタジーへの誘い―海外SF傑作選

編者・後書:伊藤 典夫

(講談社文庫)

初版:1977年10月15日

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「死神よ来たれ」(1963) ピーター・S・ビーグル (訳:伊藤典夫)

「不可視配給株式会社」(1959) ブライアン・W・オールディス (訳:深町眞理子)

「大いなる旅」(1957) フリッツ・ライバー (訳:伊藤典夫)

「この卑しい地上に」(1954) フィリップ・K・ディック (訳:浅倉久志)

「ふるさと遠く」(1958) ウォルター・S・テヴィス (訳:伊藤典夫)

「十三階」(1954) ウィリアム・テン (訳:福島正実)

「闇の旋律」(1956) チャールズ・ボーモント (訳:酒匂真理子)

順応性」(1961) キャロル・エムシュウィラー (訳:小尾芙佐)

「街角の女神」(1953) マーガレット・セント・クレア (訳:伊藤典夫)

「みにくい海」(1961) R・A・ラファティ (訳:伊藤典夫)

「名前の掟」(1964) アーシュラ・K・ル・グウィン (訳:酒匂真理子

「きょうも上天気」(1953) ジェローム・ビスクビィ (訳:浅倉久志)

「ゲイルズバーグの春を愛す」(1960) ジャック・フィニィ (訳:福島正実)

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講談社文庫も以前はこのようなアンソロジーを出していたんだねえ。

テーマ別に他にも8巻あるようだが。

この中では再読ながら「きょうは上天気」がピカイチ。

そういえば、これがタイトルの浅倉久志翻訳傑作選がでていたが、あれは全部が傑作だったなあ。

『前世の記憶』 高橋 克彦

前世の記憶 (文春文庫)

前世の記憶
著者:高橋 克彦

解説:荒俣 宏

(文春文庫)

初版:1999年2月10日

(1996年2月に文藝春秋より刊行)

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「前世の記憶」

「針の記憶」

「傷の記憶」

「熱い記憶」

「匂いの記憶」

「知らない記憶」

「凍った記憶」

「昨日の記憶」

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心の奥に封印されていた記憶が、ふとしたきっかけで悪夢のように甦る。

単発ならいいのもあったが、続けて読むと色々と捻ってみても同じような雰囲気になってしまうのがなあ。





『クラッシャーズ~墜落事故調査班~』(上・下) デイナ・ヘインズ

クラッシャーズ 上 墜落事故調査班 (文春文庫)

クラッシャーズ 上 墜落事故調査班
著者:デイナ・ヘインズ

訳者:芹澤 恵

(文春文庫)

初版:2013年7月10日

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クラッシャーズ 下 #墜落事故調査班 (文春文庫) クラッシャーズ 下 墜落事故調査班
著者:デイナ・ヘインズ

訳者:芹澤 恵

解説:香山 二三郎

(文春文庫)

初版:2013年7月10日

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2010年の作。

以前に『フライト8714』という旅客機事故の調査をする映画をDVDで見たので、同じようなものかと思ってたら調査は調査だがかなり違った。

何事もなく離陸した旅客機が突然不調となって墜落。

そこには墜落犯が。

さらにはテロリストの影も。

航空機事故の調査というのは、心身ともに大変な労苦だな。

後半はややマンガチックになりましたが、上下巻で800ページ近い長さを感じさせないほど読ませます。




『本の町の殺人』 ローナ・バレット

本の町の殺人 (創元推理文庫)

本の町の殺人
著者:ローナ・バレット

訳者・後書:大友 香奈子

(創元推理文庫)

初版:2013年8月23日

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2008年の作。

古書店の聖地として再生したストーナムという架空の町を舞台にしたミステリ。

古書店の町と言いながら、まるでドライブインみたいに観光バスで来て1時間ばかり滞在して帰るという客が多いという印象だったが、せっかく来たんだからあちこち覗いたりして最低半日はぶらつきたいよねえ。

主人公の女性よりも、主人公が嫌っている姉の方がマトモに思えたのは何故。


『パラークシの記憶』 マイクル・コーニイ

パラークシの記憶 (河出文庫)

パラークシの記憶
著者:マイクル・コーニイ

訳者・後書:山岸 真

(河出文庫)

初版:2013年10月20日

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原書の刊行は2007年だが、書かれたのは1990年代らしい。

前作の『ハローサマー、グッドバイ』から数百年後の時代。

作物の不作が顕著になり、「冬の時代」が来ようとしている・・・。

500ページ超の大部ですが非常に読みやすく、前作の補完もしています。

衝撃の新事実もでてきて、この世界の広がりも感じられます。

主人公の少年少女がすぐ恋に落ちるのは、コーニイのお約束なのか微笑ましい。


【読書メーター】 2015年3月分

2015年3月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5625ページ



罪色の環 ―リジャッジメント― (メディアワークス文庫) 罪色の環 ―リジャッジメント― (メディアワークス文庫)感想
ある6名が孤島に集められ、高額の報酬と引き換えに「すでに決着が着いた」事件の裁判員として「再審」をする。 だが、その6名にはそれぞれに選ばれた理由があった・・・。 作者は冤罪も起こっているであろう現在の裁判制度に一石を投じようとまでは考えてないにしても、思うところは色々とありそう。 序盤はなかなかに惹きつけられましたが、1日目までの面白さが最後まで持続していたら凄い作品になったかも。 後半へ行くほどグダグダになってしまったのは残念。 402ページ
読了日:3月2日 著者:仁科裕貴
シンドローム (ボクラノSFシリーズ) シンドローム (ボクラノSFシリーズ)感想
これはいいですねえ。 佐藤哲也は『熱帯』では(良い意味で)呆れつつも、『妻の帝国』や『ぬかるんでから』が合わなかったせいかご無沙汰でしたが。 学校近くの山に落ちた「何か」で人類が滅亡してしまうかもしれないという状況。 なのに主人公(高校生かな)の頭の中は、同級生やライバル(と主人公が思っている)少年への迷妄が渦巻く。 このギャップの大きさや、考え抜かれた文体のリズムが至福の読書に誘ってくれる。 320ページ
読了日:3月4日 著者:佐藤哲也
ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ハートってこんなに読みやすかったかな。 一年前に双子の妹が行方不明になった時から、幸せだったはずの一家は崩壊していった。 そのすぐ後に失踪した父。 クスリに溺れる母。 だが少年はひたむきに妹の痕跡を探し続ける。 そして、そんな母にほのかに思いを寄せる刑事。 辛い結末を迎えそうだが下巻へ。 367ページ
読了日:3月6日 著者:ジョン・ハート
ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
下巻で物語が大きく動き、父と妹は「見つかった」。 少年と母に幸あれと願わずにはいられない。 345ページ
読了日:3月8日 著者:ジョン・ハート
ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8) ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)感想
山田正紀のは『クトゥルフ少女戦隊 』を髣髴させてくれた(続きはまだかな)。 北原尚彦のも面白かった。 ゲームブックはちょっと・・・。 クトゥルフ(クトゥルー)とホームズって案外と親和性があるかも。 ただ、どちらにも思い入れがないので流し読みみたいになったのが残念。 400ページ
読了日:3月10日 著者:山田正紀、北原尚彦、フーゴ・ハル
聯愁殺 (中公文庫) 聯愁殺 (中公文庫)感想
西澤保彦は初期作の頃は貪るように読んだものだが〈チョーモンインシリーズ〉(?)の辺りから足が遠のいちゃったな。 ある女性が面識もない謎の男に襲われてから4年。 とある推理集団が集まって、彼女の前で事件を『毒チョコ』風に推理を巡らす・・・。 のだが、まずもって推理がスカスカの印象。 結局彼女にとっても推理合戦は不発に終わった感があったのだが、ここからが作者の真骨頂なのか。 いままで読んだうちではマシな方だと思うが、他の本も読みたいという気にはならない。 347ページ
読了日:3月12日 著者:西澤保彦
チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫) チャーリー・モルデカイ (1) 英国紳士の名画大作戦 (角川文庫)感想
シリーズ3作目がサンリオSF文庫から『深き森は悪魔のにおい』のタイトルで出ただけなのに、映画化のおかげで全4作が出版の運びに。 なんとも飄々としているというか、つかみどころがないというか。 おそらく『モンティ・パイソン」を楽しめた人なら、これも楽しめるかも。 318ページ
読了日:3月14日 著者:キリル・ボンフィリオリ
監視機構 (サザーン・リーチ2) 監視機構 (サザーン・リーチ2)感想
どことも知れぬ地に現れた〈エリアX〉。 それの監視機構である〈サザーン・リーチ〉は過去に幾度となく調査隊を送り込むもことごとく失敗し、ほとんど成果は得られず。 そんな中、一人の男が新任の長官として〈サザーン・リーチ〉に赴任してきた。 今作は混沌とし疲弊もしているであろう監視機構内部の有様を新長官の目を通して描く。 分量は前作の7割増しで長いし展開は地味だが、なぜか先が気になってワクワクしながら読んでしまった。 次作で〈エリアX〉の正体がその一部でも分かるのだろうか。 544ページ
読了日:3月16日 著者:ジェフ・ヴァンダミア
ピアニストを撃て (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) ピアニストを撃て (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
ピアニストの夢破れ、場末の飲み屋でピアノを弾いて糧を得ている男。 平穏な生活にドップリと浸かっていた毎日だったが、長年音信がなかった兄が突然助けを求めて飲み屋に現れた時から否応なしにトラブルに巻き込まれてしまう・・・。 『狼は天使の匂い』のラストの印象がいまだに残っているせいか、何が起こるかと恐れながらも期待しつつヒリヒリした思いで読んでいたが、途中で「どうも違うな」と思いはじめたらなんだか夢から覚めたような、面白くもない本の中の「現実」に取り残されたような。 198ページ
読了日:3月18日 著者:デイヴィット・グーディス
ミステリーゾーン (文春文庫 (275‐23)) ミステリーゾーン (文春文庫 (275‐23))感想
テレビシリーズの『ミステリーゾーン』で一世を風靡した(らしい)作者。 その中のいくつかは見たことがあるかもしれない。 ここに収められた短編はどれも通俗的でノスタルジック的だが、幅広く書き分けられているので飽きさせない。 中でも「熱狂」は、博打を軽蔑している男がふとしたきっかけで狂ったようにスロットマシーンにのめりこむ有様が鬼気迫る迫力。 他の作も深みはないが読者を楽しませるために書かれたような雰囲気があって心地よい。 2作ほど宇宙人が出てくるのがご愛嬌だが。 347ページ
読了日:3月20日 著者:ロッド・サーリング
ドクター・アダー (ハヤカワ文庫SF) ドクター・アダー (ハヤカワ文庫SF)感想
タイトルと表紙からマッドサイエンティストものかと思ったが、ディックが序文を書いていたので興味を惹かれて購入。 外科医のアダーが客の嗜好に応じてフリークスな娼婦を手術で作り出すというのがけったくそ悪いが、それ以外ではサイバーパンクの先駆けのような雰囲気もあるしヒネリもある。 ようやく出版され翻訳もされた『ドクター・アダー』や作者のジーターが、現在では過去の遺物のように埋もれてしまっている(と感じる)のは、作品の出来自体にパワーがなかったのか古びたのか。 285ページ(実際は385ページ)
読了日:3月22日 著者:K・W・ジーター
密室の鍵貸します (光文社文庫) 密室の鍵貸します (光文社文庫)感想
作者の長編デビュー作らしい。 トリックも動機も今一つながら、まあまあ楽しめました(上から目線)。 プロローグの烏賊川市に笑った。 310ページ
読了日:3月24日 著者:東川篤哉
運命のボタン (ハヤカワ文庫NV) 運命のボタン (ハヤカワ文庫NV)感想
少し前に読んだロッド・サーリングの『ミステリーゾーン』みたいに、わくわくして読みました。 さすが職人技という感じでツボを押さえてます。 中でも「四角い墓場」は泣けた(途中までは笑えた)。 「魔女戦線」が60年前の作だとは驚き。 心理的にジワジワくるホラーの数々もグッド。 458ページ
読了日:3月26日 著者:リチャード・マシスン
BH85―青い惑星(ほし)、緑の生命(いのち) (徳間デュアル文庫) BH85―青い惑星(ほし)、緑の生命(いのち) (徳間デュアル文庫)感想
吾妻ひでおが表紙とイラストも数点描いているということで購入。 グレッグ・ベアの某作みたいだが、同じようなことを思いつくもんですね。 ただ、こちらはかなりライト。 タイトルの意味はもしかしてアレかなと思ったらラストでそれに触れていて、私もほんとバカです。 267ページ
読了日:3月28日 著者:森青花
未来探偵アドのネジれた事件簿: タイムパラドクスイリ (新潮文庫) 未来探偵アドのネジれた事件簿: タイムパラドクスイリ (新潮文庫)感想
タイトルからしてSFミステリっぽかったので購入。 タイムパラドックスに関しては細かいところまで目が行き届いて(いるような気がして)微笑ましい。 まさに時間SFモノの王道と言おうか、懐かしい香りがしました。 ただ、反則技の武器を持った探偵が関与するにしては、あまりにもしょぼい事件ばかり。 ドヤ顔で「憑き物落とし」をやられるよりは好感が持てるけどね。 381ページ
読了日:3月30日 著者:森川智喜
雀蜂 (角川ホラー文庫) 雀蜂 (角川ホラー文庫)感想
人里離れた雪の山荘の中で目覚めた男に襲いかかるのは、殺人鬼ならぬスズメバチの群れ。 昔刺されたことがあるので、もう一度刺されると危ない。 助けは呼べず、外へ逃げれば凍死が待っている。 おお、これは家の中の冒険小説じゃないかと姿勢を正して読もうとしましたが、後半は下手なミステリになっちゃって残念だった。 236ページ
読了日:3月31日 著者:貴志祐介

読書メーター

『雀蜂』 貴志 祐介

雀蜂 (角川ホラー文庫)

雀蜂
著者:貴志 祐介

(角川ホラー文庫)

初版:2013年10月25日

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人里離れた雪の山荘の中で目覚めた男に襲いかかるのは、殺人鬼ならぬスズメバチの群れ。

昔刺されたことがあるので、もう一度刺されると危ない。

助けは呼べず、外へ逃げれば凍死が待っている。

どう立ち向かうのか。

おお、これは家の中の冒険小説じゃないかと姿勢を正して読もうとしましたが、後半は下手なミステリになっちゃって残念だった。