今年のオークスは、人気馬が好走し、順当な決着になるか?それとも人気薄馬の大駆けがあり、波乱の決着になるか?換言すれば、1番人気想定のステレンボッシュは買えるのか?それとも危険な人気馬なのか?、今年のオークス予想の最初の出発点はソコだろう。今回は阪神JF、桜花賞、オークスという3つのGIの相関関係を念頭におきつつ、ステレンボッシュの好走確率について検討・考察してみたい。以下は昨年までの過去20年間の阪神JFと桜花賞との関係を示したものであるが、過去20年の間に、阪神JFの連対馬が翌年の桜花賞でも連対を果たしたケースというのは、全部で12回あった。当該12頭の桜花賞とオークスの着順を示したものが以下である。
●2006年
JF①着ウォッカ→桜②着→樫不(ダ①着)
●2008年
JF①着ブエナビスタ→桜①着→樫①着
●2009年
JF①着アパパネ→桜①着→樫①着
●2010年
JF②着アエロリット→桜②着→樫③着
●2013年
JF①着レッドリヴェール→桜②着→樫不(ダ⑫着)
JF②着ハープスター→桜①着→樫②着
●2014年
JF②着レッツゴードンキ→桜①着→樫➉着
●2016年
JF②着リスグラシュー→桜②着→樫⑤着
●2017年
JF①着ラッキーライラック→桜②着→樫③着
●2020年
JF①着ソダシ→桜①着→樫⑧着
JF②着サトノレイナス→桜②着→樫不(ダ⑤着)
●2022年
JF①着リバティアイランド→桜①着→樫①着
そして今年も・・・
●2023年
JF①着アスコリピチェーノ→桜②着→NHK①着
JF②着ステレンボッシュ→桜①着→樫?着
上記の該当12頭のうちオークスに出走したのは9頭。結果は{3・1・2・3}であり、勝率33%、連対率44%、複勝率56%。一見すると「優秀そう」に見えるが、対象馬のほとんどが上位人気に推されていたことを考えると、これは決して自慢できる数字ではない。むしろこのデータは、「阪神JFと桜花賞で連続連対していた9頭のうち、オークスで連対できたのは半分以下の4頭のみ。5頭は連を外していた!」と解釈すべきなのである。今年の1番人気想定は阪神JF②着、桜花賞①着のステレンボッシュだが、この手のタイプはオークスでの好走確率は勝率33%、連対率45%、複勝率56%しかないということ。1番人気でも、過信は禁物だということは憶えておきたい。
次に、前掲の10回(阪神JF連対馬が翌年の桜花賞でも連対した年)について、翌年のオークスがどんな結果だったかを確認しておこう。
●2007年
①着ローブデコルテ(桜④着←JF④着)
②着ベッラレイア(フロ①着←JF不)
③着ラブカーナ(スイートS②着←JF不)
●2009年
①着ブエナビスタ(桜①着←JF①着)
②着レッドデザイア(桜②着←JF不)
③着ジェルミナル(桜③着←JF⑥着)
●2010年
①着アパパネ(桜①着←JF①着)
①着サンテミリオン(フロ①着←JF不)
③着アグネスワルツ(フロ②着←JF不)
●2011年
①着エリンコート(忘れ草①着←JF不)
②着ピュアブリーゼ(フロ③着←JF不)
③着ホエールキャプチャ(桜②着←JF②着)
●2014年
①着ヌーヴォレコルト(桜③着←JF不)
②着ハープスター(桜①着←JF②着)
③着バウンスシャッセ(フロ②着←JF不)
●2015年
①着ミッキークイーン(忘れ草①着←JF不)
②着ルージュバック(桜⑨着←JF不)
③着クリミナル(桜②着←JF不)
●2017年
①着ソウルスターリング(桜③着←JF①着)
②着モズカッチャン(フロ①着←JF不)
③着アドマイヤミヤビ(桜⑫着←JF不)
●2018年
①着アーモンドアイ(桜①着←JF不)
②着リリーノーブル(桜③着←JF②着)
③着ラッキーライラック(桜②着←JF①着)
●2021年
①着ユーバーレーベン(フロ③着←JF③着)
②着アカイトリノムスメ(桜④着←JF不)
③着ハギノピリナ(矢車①着←JF不)
●2022年
①着リバティアイランド(桜①着←JF①着)
②着ハーパー(桜④着←JF不)
③着ドゥーラ(桜⑭着←JF⑥着)
「前年の阪神JF優勝馬が翌年の桜花賞で連対した年」というのは、上記のとおり全部で10回あったが、翌年のオークス①~③着馬計30頭のうち、桜花賞に出走していた馬は19頭(うち①着5頭、②着4頭、③着4頭、④着以下6頭)であり、出走していなかった馬は11頭。また、同じく同30頭中、阪神JFに出走していた馬は11頭(うち①着4頭、②着3頭、③着1頭、④着以下3頭)であり、阪神JFに出走していなかった馬は19頭。去年の阪神JF②着馬ステレンボッシュは今年の桜花賞を優勝したので、2024年のオークスは前記10回と同じパターン。こういう年のオークス①~③着馬は、阪神JFに出走していた既成勢力よりも、むしろ阪神JF後に頭角を現し、桜花賞出走を果たした新興勢力の方が馬券に絡みやすい、という事実はおさえておこう。
なお、もし今年、ステレンボッシュが阪神JF、桜花賞に続いてオークスでも連対を果たしたら、2009年のブエナビスタ(①着→①着→①着)、2010年のアパパネ(①着→①着→①着)、2014年のハープスター(②着→①着→②着)、2022年のリバティアイランド(①着→①着→①着)に続き過去20年間で5頭目の快挙。ブエナビスタはGI7勝馬、アパパネはGI5勝の三冠牝馬、リバティアイランドはGI4勝の三冠牝馬であり、いずれも歴史に名を遺す名牝である。ハープスター(GI1勝馬の桜花賞馬)という前例があるので、桜花賞馬ステレンボッシュがオークスでも連対する可能性は残されているが、他の3頭の歴史的名牝と比べると、やや格下感は否めない存在であるがゆえに・・・・桜花賞のパフォーマンスは立派だったのは認めるが、オークスで本命を打つにはやや躊躇を感じるというのが、偽らざるホンネである。