2023 チャンピオンズカップ(全頭診断:その1) | 競馬解読教室

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現役屈指の砂の強豪が一堂に会するダート界の頂上決戦、チャンピオンズカップ!出走馬15頭について確認しておこう。

 

①メイクアリープ

 重賞未勝利の格下馬で、GI初挑戦。勝ち身に遅い地味なタイプだが、デビュー以来掲示板1回もを外したことがなく、通算成績{4・5・1・1}は立派。OP昇格後も②、②、⑤、②着であり、OPが壁になっていない。その中身も濃くて、三宮Sでは後にJBCクラシックを勝つキングスソードのハナ差②着、重賞初挑戦となったみやこSでは今回1番人気のセラフィックコールの3馬身差②着。格下だが、決して弱い馬ではない。

 この馬の買いの材料は「みやこSを先行して連対した実績」である。チャンピオンズCにおけるみやこS組は、「差して①~③着した馬は消し、でも、先行して①~③着した馬は買い!」という目安がある。2014年以降、みやこSを差して①~③着した馬のチャンピオンズCにおける着順は、2014年①着のインカンテーションが➉着(4人気)、2015年①着のロワジャルダンが④着(8人気)、2019年②着のキングスガードが⑤着(13人気)2021年①着のメイショウハリオが⑦着(10人気)、2022年①着のサンライズホープが⑥着(11人気)など、好走できた例がない。対照的にみやこSを先行して好走した馬のチャンピオンズCにおける着順は、2014年③着のナムラビクターが②着(8人気)、2017年①着のテイエムジンソクが②着(1人気)など、好走例がある(※もちろん凡走例も多い。)。みやこSでセラフィックコールに交わされてもしぶとく粘っていたメイクアリープは、今回1枠1番を引いたこともプラス。人気はないが、穴に一考だろう。

 

②メイショウハリオ

 JRAの重賞は5戦して{2・0・2・1}で5戦4連対。勝ち星はG3(マーチS、みやこS)だけだが、地方Jpn1は帝王賞を2勝、かしわ記念を1勝の実績があり、このメンバーに入れば格は見劣らない。この馬の場合、問題は2つ。一つは左回りが苦手だということ。右回りの連対率が56.3%{7・2・2・5}なのに対し、左回りの連対率は28.6%{2・0・2・3}止まり。中京も3戦して{0・0・1・2}であり、勝ち星がない。中京の勝負所である3~4角では、内をロスなく立ち回るコーナリング適性が求められるが、この馬にそれができるか否か!?そこが問題だ。

 もう一つは時計不足だということ。近年のチャンピオンズCは勝ち時計が1分50秒を切ることも珍しくないが、メイショウハリオの最速持ちタイムは1.50.2であり、勝ち時計が1分50秒台を切るような競馬になると、スピード負けする可能性がある。以下は直近5年のチャンピオンズCの勝ち時計(前日の古馬1勝級のダ1800mの勝ち時計)を記したものである。

2018 1.50.1 (1.53.5:5F62.3) ルヴァンスレーヴ 

2019 1.48.5 (1.52.9:5F62.9) クリソベリル

2020 1.49.3 (1.55.0:5F65.2) チュウワウィザード

2021 1.49.7 (1.53.7:5F62.7) テイオーケインズ

2022 1.51.9 (1.55.2:5F64.9) ジュンライトボルト

2023 ?????? (1.54.6:5F65.2) ???

 御覧のとおり、今年の古馬1勝級の勝ち時計は、前記6年の勝ち時計の中では3番目遅かったが、5F通過が遅かった割には勝ち時計が1分55秒を切った。これは上りが速かったということ。今年の暮れの中京の馬場が2019~2021年並みに速いかどうかは不明だが、少なくとも2022年のような重い馬場ではないことだけは確かだろう。今の馬場は、持ち時計のないメイショウハリオ向きの馬場だとは言えないようである。

 

③ジオクリフ

 この馬は昨年の皐月賞馬であり、歴としたGI馬。しかもただのGI馬ではない。この世に2頭しかいない「イクイノックスに先着したことのある馬」なのだ。したがって、「格」から言えば、このメンバーに入れば、文句なしにNO.1といえる存在なのだが、皐月賞を勝った後はスランプ続き。その後は7戦して1度も馬券になったことがない体たらく。ダートはこれまで3戦し、すべてGIではあるものの、④着、⑪着、⑨着と見せ場がない。この馬の最大の問題点は、陣営にも迷いがあるということ。ドレフォン産駒ということでダートを使われているが、皐月賞を勝ったくらいだから、この馬は本来芝向きだろう。芝の1600~2000mを狙って使っていれば、馬柱がこれほど汚れることもなかったのに…。唯一の買いの材料は鞍上だが、GIを勝てるだけの勢いが感じられず、さすがに手が出ない。

 

④テーオーケインズ

 個人的には、今回一番評価に迷っている1頭。一昨年のチャンピオンズCの内容は凄かった。勝ち時計1.49.7(36.5=37.2=36.0:落差+0.5秒)は、良馬場のチャンピオンズCのデフォルトの1.50.1(36.6=36.9=36.6:落差+0.0秒)に比べて、テンが0.1秒速く、中盤が0.3秒遅く、上りが0.6秒速く、勝ち時計が0.4秒速い優秀な内容。小速→小遅→中速は、先行馬に有利な流れだったが、テーオーケインズは4角出口ではもう先行馬群に取りつき、そこから馬群を割ると、直線の追い比べでは1番人気のクリソベリをアっという間に置いてきぼりにするほどの瞬発力を示した。後は独走。②着以下につけた着差は、直線だけで、実に1.0秒!チャンピオンズCの歴史を振り返ると、レヴァンスレーブ、クリソベリル、チュウワウィザード、ゴールドドリームなど、過去に強い王者はたくさんいたが、勝ちっぷりや勝ちの内容という点からいえば、2021年のテーオーケインズが断トツのNO.1だ。ゆえに、本来の実力から言えば、今年のメンバーの中では、この馬以外に本命の印を打つ馬はいないのだが…。

 問題は去年の④着惨敗の理由である。あえて「惨敗」と記したのは、この馬の力をもってすれば、去年のようなレベルの低いチャンピオンズCで負けるはずがない、という意味である。後ろからジュンライトボルトに差されただけでなく、前にいたクラウンプライドやハピすら交わせないとは…。前年のパフォーマンスからすると、考えられないほどの酷い敗戦だった。「4角で外を回ったから」、程度の不利が敗因とは思えない。高柳調教師は、去年はデキがイマイチだった、今年は違うという口ぶりだが、果たしてその説明を鵜吞みにしてよいものか…。前走のJBCクラシックにしても、直線ではノットゥルノに差し返されていた。去年のチャンピオンズC時の調子やデキにあれば、いくら大井の2000mであっても、ノットゥルノに負ける馬ではないのだ。このレースで引退するという情報もあるし、あのレースを見る限り、「既に終わっている」可能性も否定できないのである。そもそも近年のチャンピオンズCというレースでは、前年に圧倒的な内容でこのレースを勝利したディフェンディング・チャンピオンが、次の年はコロっと負けるというシーンが続ている。クリソベリルしかり、チュウワウィザードしかり、そしてテーオーケインズしかりだ。いずれも前年のパフォーマンスを示すことができず、連覇を達成できなかった。特にテーオーケインズの場合、勝った時から既にマル2年もの月日がたっているだけに…。追切の動きを見る限り、去年より出来が良いことは間違いないと思うが、果たして2年前のパフォーマンスを再現できるかどうか!?そこがポイントだ。

 

⑤ドゥラエレーデ

 この馬もジオグリフと同じ芝のGI馬。とはいっても、ホープフルSは皐月賞よりもずっと格が下、しかも2歳のGIなので、ここに入っても「格上」という印象はない。他方、ジオグリフにくらべると、この馬はダートでの実績がある。ダートはこれまで2回走って、①着、②着。①着は未勝利戦でのものだが、②着はUAEダービー(G2)であり、あのデルマソトガケの②着。たしかにデルマソトガケには6馬身千切られたが、コンティノアールやぺリエールには完勝しており、少なくともこの馬がダートのOPレベルの実力を持っていることは間違いない。他方、GIで馬券になるほどの実力があるか!?といわれれば…、そこは未知数と言わざるを得ない。

 この馬の買いの材料は「先行力」だ。この馬はダートでも芝と変わらない先行力があり、それがこの馬の最大の武器。レモンポップの出方次第だが、ハナを切って、中盤を緩めず厳しい流れを作り出せば善戦も…。とはいえ、このチャンピオンズCというレースは、先行馬は活躍できるが、逃げ馬の成績はもう一つ。インティとコパノリッキーの③着があるだけで、連対実績はない。よって、買うとしても、連ではなく、3連系の馬券の③着までだろう。

 

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